デフレ脱却 賃上上昇が決定打 ロイター
安倍自民党総裁のインフレターゲット論。ロイターが「物価目標だけでは空手形」という証券会社のチーフエコノミストの声とともに、日本総研調査部長の山田久氏の「賃金上昇が決定打」と紹介している。
公共事業で不況脱出は、90年代以降、失敗し続け、浪費と借金増をもたらした政策。
とりわけ非正規雇用、ワーキングプアを改善が決め手と思う。きちんとした職業訓練、技能習得によるものづくりの土台を支えること、社会保障の担い手を築くこと、少子化に歯止めをかけることである。
【焦点:2%物価目標だけでは空手形、賃金上昇の青写真提示が必要 ロイター12/20】
ジョブ型労働市場と職務給制度への転換、技能立国の回復を担う分厚い職業教育などの失業対策を含む社会保障制度(間接賃金)の土台の構築が求められる。
【焦点:2%物価目標だけでは空手形、賃金上昇の青写真提示が必要 ロイター12/20】安倍晋三・自民党総裁が2%のインフレターゲットと政府との政策協定の検討を日銀に要請したが、経済専門家は、政府と日銀がその手段をセットで明示しなければ空手形に終わると指摘する。
最大の難関は消費者のデフレマインド解消とみられ、その決定打となる賃金上昇への道のりは、労使交渉が機能していない現在の日本では相当遠いからだ。物価目標に向けた政策協定であるなら、政府自らも5─10年単位で経済再生と労働市場改革の青写真を示した上で、日銀が具体的な達成手段とセットで物価目標を導入することが求められている。
<まずはゼロの壁突破を>
この冬、スーパー各社は日用品の広範囲な値下げを実施している。冬のボーナス減少やコンビニのPB(プライベートブランド)商品に対応せざるを得ない背景には、消費者の根強いデフレマインドがある。
この値下げには、日銀も頭を痛めている。対象が日用品でしかも多岐にわたるため、消費者物価への影響が大きいとみられるためだ。日銀内には、2%の物価上昇どころか、せめて物価が下がらない状態になればそこから先は上昇にはずみがつく可能性もあるとして「ゼロの壁」を突破することがまず第一目標との声もある。
消費者物価の上昇は、最終的には人々のデフレマインドを払しょくすることで実現するというのが、専門家の間で一致した見方だ。
JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は「日銀のインフレ目標を理解している消費者はごく一部であり、多くの消費者は実際に日用品の価格が継続的に上昇し始めて、ようやく物価の先高観が醸成され、期待インフレ率も上昇すると考える方が実感にあっている」とみる。
このため、安倍総裁がいくらインフレ目標をセットしても、インフレ期待を高める具体的な実現手段を示さないと実効性はないに等しい。クレディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏は「アコードはあくまで双方向の政策協調であり、政府・日銀が互いにコミットメントすることが必要であろう。インフレ目標を共有するというだけでは内容的に弱過ぎる」と指摘する。政府・日銀ともにどのようなプロセスで期待インフレ率を上げていくのかを示す必要がある。
<賃金上昇が決定打、賃上げ交渉のプロセスは消失>
安倍総裁は、物価を押し下げる要因である「需給ギャップ」を縮小すると宣言している。現実の国内総生産(GDP)が潜在的な供給能力を下回る「需給ギャップ」は現在15兆円程度ある。今回、安倍総裁が打ち出す10兆円規模の大型補正予算でもギャップは埋まらない。しかも、これまで景気対策をいくら実施しても、消費者のデフレマインド脱却は達成できなかった。景気対策そのものが大きな景気の振幅を生んだためだ。
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