「国防軍」規定と「九条2項」の持つ意義
「自衛隊はどこから見ても軍隊。そう規定するだけ」といったのはイラク戦争に協力した小泉元首相。
今また「国防軍」の話が出ているが、憲法九条2項「戦力不保持」の意味かが極めて大きい。ここをいじると海外で戦争できる国になる。ウソではじめられたイラク戦争で自衛隊を派兵したものの「直接の武力行使」という最後の一線が守られたのは、この規定による。
「1項 戦争放棄」は、パリ不戦条約(1928年)以来の世界の流れ。
≪戦争放棄は、日本国憲法 特有ではない≫
1項「戦争放棄条項」は、国際紛争を解決する手段としては戦争、武力行使はしないことを定めたもの。実は、これは日本国憲法に特有なものではない。
・1927のパリ不戦条約(「戦争放棄に関する条約」)の第一条は「国際紛争解決の為戦争に訴ふることを非」、「国家の政策の手段としての戦争を放棄すること」と規定されている。
そして同条約では、同時に、各国の自衛権を宣言した。
・国連憲章も、不戦条約など世界の平和の流れ、伝統をうけついで制定されました。不戦条約と同じく自衛のための戦争は容認するけれども、武力の行使は禁止することが規定されている。
(この中で、)
・イタリアも戦争放棄をうたう憲法を持っている。また、憲法ではないが各地の地域共同体や国家間の友好条約でも「の国際紛争を解決する手段としては戦争、武力行使はしないこと」を基本としている。
≪ヒトラーも自衛のため戦争 自民前職≫
自衛郡があっても、戦争放棄条項があれば、侵略戦争はおこらないか・・・
すべての戦争を平和を唱えてやってくると批判したのは抵抗詩人のアラゴンである。
12月3日、高知市でひらかれた公開討論会で、自民党前職は「自衛以外の目的の戦争は1つもない。ナポレオンもヒトラーも自衛のためのもの。」というトンでもない論理で、侵略戦争を否定している。
国連憲章には、制定時にアメリカの強い要求で「集団的自衛権」の規定が入った。軍隊を個別的自衛権のためだけでなく、自国が武力行使でする規定である。
加盟国が武力攻撃をされたときは、その国を助けるため、武力使用を認める規定である。
この規定は、政治の部隊では、実際の使われ方は、アメリカのベトナム戦争も、旧ソ連のチェコ侵略、アフガン戦争など侵略に使われた。
≪2項「戦力不保持」の重要な意味≫
ここで「2項」の規定が重要とかる。「戦力不保持」。
自衛のための最低限の実力をもつ、それは戦力ではない、としながらも、「他国を侵略できる武器はもたない」「海外での浮力行使できない」と、解釈改憲を重ねても、自民党政府でも解釈はできなかった。
内閣法制局長官の答弁 「九条二項があるのは侵略戦争を否定するためである。……九条二項でいう戦力の保持を否認しているのは、侵略戦争に役立つとかあるいは自衛を超えるとか、そういうものについて保持を否認している」(1971年5月7日、衆議院内閣委員会)
よって、国防軍、自衛軍の規定を入れることや、集団的自衛権を可能にするということは、イラク戦争でアメリカとともに戦い、ドロ沼の戦争に踏み込み、殺し殺されるという事態を招いていたということになる。
そのイラク戦争参加への総括もされていない。
4日付の琉球新聞社説は
「個別政策への関心とは別に、私たちは「平和憲法」をかなぐり捨てるような極端な政治主張が強まり、戦後民主主義に終止符が打たれるのではないかという一抹の不安も禁じ得ない。
日本が奇跡的な戦後復興と高度経済成長を成し遂げられたのは、自民党政権が野党と対立と協調を繰り返しながらも「軽武装・経済重視」路線を貫いたこと、憲法9条を大切にして戦争を放棄する「平和国家」として戦後歩んできたことが大きな要因だろう。
「平和国家・日本」のイメージそのものが、日本のソフトパワーであり、外交カードとしても強みを発揮してきた。これを「専守防衛」「非核三原則」などの国是が下支えし、日本は戦争をしない国、できない国として歩んできた。」と指摘し“「平和国家」の強みを引き続き生かし切れるのか、「戦争をできる国」への一歩を踏み出すのか。”と問うている。
【衆院選公示/「戦争放棄」かき消すのか 民主主義再生の契機に12/4】
何が外交パワーなのか、よく考える必要がある。
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