「人権に関する県民意識調査」 雑感
高知県が実施し、1351人から回答を得た意識調査。回答者の22.9%が60歳代、27.5%が70歳以上と半数をしめており、それが結果にどう影響したのか、という点は気になる。
総じて行政の人権問題というと、権力による人権侵害、政府による人権保障など縦関係でなく、対人関係など横関係のものに矮小化されている。
以下、気のついたことのメモ
【2012年度 人権に関する県民意識調査(速報)】
◆人権全般
①基本的人権について 知っている 78.8%
2割強が知らない、という事実は、軽視してはならない。
②基本的人権が守られている 22.6% そう思わない11.6%
③日本における人権問題として関心のあること
高齢者47.4%、障害者42.7%、子ども36.3%、インターネットによる人権侵害33.2%、拉致32.8%、震災における風評被害など31.9%、同和27.7%、女性22.4%
・階層的と個別課題が並列されている。
・若者の就職難、結婚もできないような非正規雇用の蔓延、貧困の拡大がそもそも人権問題として設問にもなっていない。
25条の社会権を更生する重要な内容として、教育権と労働権があるのだから。
・同和は7番目。
・女性差別の認識が極めて低い /ジェンダーギャップ指数との乖離
基本的人権とは何か、人権問題とは何か、が問われていない。
④自分の人権が侵害されたと思った経験
ない68.4%
・人権問題というのはヨコの関係の範囲でとらえられていているのではないか。
それは「ある」と応えた人への設問に明確にあらわれている。
「あらぬ噂、悪口、かげ口」54.9%、「名誉・信用の毀損、侮辱」27.3%、「パワハラ」20.6%でトップ3で他の設問も「○○での不当な扱い」となっている。
・人権問題とはなにより、縦の関係=社会権を保障させるために憲法にもとづき行政を統制、公権力による人権侵害の是正にあると思っている。
貧困、失業などが基本的人権の侵害として設問にもなっていない。
◆同和問題
①はじめて知ったのはいつか 小学校、中学校で67.3% 18歳以降は7.8%
②知ったきっかけ 学校でおそわった30.9%、家族から聞いた28.0%
→ 学校で教えることで「同和問題」が存続しているともいえる。
家族から聞いたきっかけは、子どもからの問いだったろうと思われる、がどうか。
③同和地区、同和地区の人をきにするかどうか。
気にしない53.0%、結婚するとき30.3%
→ 86年の地域改善対策協議会 の意見具申「今後における地域改善対策について」の「新たな差別意識を生む様々な新しい要因」の解決の視点が重要である。「同和問題」と言っても解決の仕方が違う。
この問いからは、なぜそう思うかはわからない。
たとえば、過去に、行政の主体性の欠如で、言われなき理由で「糾弾会」などでひどい目にあった経験とか、意見具申の言う「あたらしい差別意識」が、「気になる」の大分をしめていれば解決方法が変わる。
ゆえに、この問いからは、何をすべきかは見えてこない。
④仮にあなたにお子さんがいて、その結婚相手が同和地区出身者だったとき・・・
意思を尊重する44.9%
反対するが子ども意思が強ければ認める 23.3%
わからない14.7%
認めない 3.5%(家族・親族反対)、5.1%(絶対)
・認めないは1割にも満たない。
・年齢層でどういう回答をしているか、わからないので変化がわからない。
・なにより上の問いと同じく「気になる」原因がわからない。よって解決方法は不明。
⑤なくす方法
・差別をしないよう「人権を大切にする教育、啓発活動」「人権意識を高める」が3割台
ここは、逆差別がダメとも読める。
・自然になくなる 3割
→ この設問にも、85年意見具申の内容が反映されていない。
◆女性
・女性の人権を守るために必要なことの回答
「働きながら家事など両立できる環境の整備」70.8%で圧倒的。
次ぎが「男女平等に関する教育」27.3%、「啓発活動」21.2%。
・仕事と家庭を両立させるために行政が力をいれるもの
育児・介護休暇制度の取得しやすい環境75.0%、
学童保育など充実、時間外勤務の短縮、年休の取得が24-25%。
◆子ども
・問題と思う事例 「いじめ」「いじめを見て見ぬりをする」「保護者の虐待」が6割台。
児童売春・ポルノ42.1%、大人の考えの強制18.4%
→ 「子どもの貧困」は設問にもなっていない。
・必要な対策
「他人への思いやりを教える」37.5%
「成績重視の改め」33.5%
「教師の資質等を高める」32.7%
→ 備忘録「いじめ事件とどう向き合うか」でとりあげたが、教育行政転換の必要性を示している。
・子どもの権利条約を知っていますか、とか聞いたらどうかと思う。
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