原発対策~廃炉のスキームがあってこそ 県交渉
7日、国民大運動実行委員会の県への要求交渉があった。対応したのは副知事。普段裏方の私も初めて交渉の席に・・主に原発問題で発言。
県は「(条件を整えながら)徐々に原発依存からの脱却」「世界最高水準の安全対策が必要」というまじめなスタンスであり、短時間なので行政論的に問題を明らかにすることに絞った。
まず、シビアアクシデント対策…「計画があるので再稼働してくれ」という電力会社の主張を認めないことを確認した。
次に、原子力防災~避難対策。
このブログでたびたび取り上げている松野元氏の4/23毎日新聞のインタビューを例に話した。
「日本の対策の致命的欠陥は本当に避難できるかの保証がない」「電源喪失など異常事態から25時間以内で全員避難できない原発は廃炉にすべき」と主張しており、現にアメリカ・ニューヨーク州では、知事が避難計画を承認せず廃炉になっている。
現状は、ステービィによる放射汚染の被害想定も出されてなく、高知県の影響もシミュレーションもなく、10月末に抽象的な「原子力災害対策指針」がだされたが、まったく再稼働の条件はない。
(放射能汚染の想定は、以前、申し入れもし、県としても強く要望しているとのこと)
こうした対策(「12-13万年」から「40万年」にかわった活断層の調査もある)をきちんと実施すれば、たとえ原発を認めたとしても、数年は動かない。
拙速な稼働を許さない、万全の安全対策をとるという立場に県は立っているが、問題の核心は、電力会社の経営問題。
原発ゼロでも「電力は足りている」。が、その決定をすると、残存簿価がゼロになり、廃炉引当金の不足が一気におもてに出て4兆4千億円の特別損失が発生。多くの電力会社が破綻する。四電は2012年度末では1千億円の資産超過だが、今年度の赤字で吹っ飛ぶ。それは原発は固定費が異常に高く、停止してもコストが減らないから。
電力会社の経営問題として、再稼働がせまられている。が、きちんと対策すれば、数年は動かない。
だから廃炉できるスキームが必要・・・原発は、40年稼働で原価償却と廃炉引当金の積み立てができるスキームで運営しているから、突然の廃炉は、経営に直結する。原発部門を切り離し、精算できるスキームが必要。4兆4千億円というが、毎年、電源開発税で3千数百億円、電気代の中の再処理対策として2千数百億円、計6千億円近くが核燃サイクル維持のために負担させられており、その財源と金融機関の貸手責任も含め対応すれば、対応は十分可能。
県の安全を第一にする立場、自然エネルギーの本格的推進の立場を、現実にするには、脱原発は技術開発の問題としてとらえるのでなく、電力会社の経営問題であり、その解決、廃炉のスキームを研究し、知事会などで提案してほしい。
という話をした。
このことはまったく視野に入っておらず、初めて聞いたようだった。
まじめに、真摯に対応するのが高知県政の特徴。新たな動きに期待したい。
« 「11.11 原発ゼロ行動」に連帯する高知集会 | Main | 全原発が「立地審査指針」不適合/「稼働は困難」と規制委員長 »
「高知県政」カテゴリの記事
- 不登校も介護休業の対象になりうる (2025.04.03)
- 1月の日米防災訓練、自衛隊「南海レスキュー」への対応・考(2024.12.11)
- 高額療養費、年金、高等教育、中山間地直接支払、周産期医療、学校給食 意見書案 2412(2024.12.08)
- 2024.11地方議員学習交流会・資料(2024.12.02)
- 24年9月 意見書決議・私案 「選択的夫婦別姓」「女性差別撤廃・選択議定書」(2024.09.05)
「原発・エネルギー」カテゴリの記事
- 「原発」固執は、脱炭素の障害 再エネ普及の足かせに (2024.08.08)
- 気候正義 残余カーボンバジェット あと数年? (2024.01.15)
- 「汚染水」放出の愚挙 ~合意無視、コスト高、廃炉・核廃棄物処理の見通しなし (2023.08.23)
- 国連「ビジネスと人権」部会・訪日調査・声明 11分野で、政府・企業に国際水準の行動求める(2023.08.13)
- 政経データ メモ(2022.12.09)
Comments
« 「11.11 原発ゼロ行動」に連帯する高知集会 | Main | 全原発が「立地審査指針」不適合/「稼働は困難」と規制委員長 »
活断層の有無が問題になるのは、原発の危険を避けるため。
判断が難しいのなら、いったん原発を止めてゆっくり納得のゆくまで学者同士で話し合えばよい。
これが、英語でいう「フェイル・セイフ」の考え方。
日本語には未来時制がないので、日本人には最悪のシナリオを想定することが難しい。
目の前に危険が迫るまでは、自分は安全であると考える傾向がある。
Fail-safe: 万一の失策・故障に対する安全確保のこと
http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/
Posted by: noga | November 09, 2012 10:05 PM