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不ぞろいの中で育つ大事さ~宮大工の修行と教育

 東京新聞10/29のコラム。
宮大工・小川三夫さんの言葉「集団で技を学ぶには不揃いな子がいたほうがいいと思っています。年齢も経歴も性格も育ちもさまざまな子が、たがいを見ながら、自分の道を歩んでいくことができるからです」「急いだら人は育たんで。不揃いの中で育つのが一番や」~今の教育は目に見える成果ばかりを求めていないか、というもの。
 関連して内田教授が大阪府の教員採用試験の倍率か低下したことにふれ、有能が人材が集まらないといことは予想できたと指摘しながら、本質問題として、「手を抜く人間の摘発と処罰に熱中する組織はそれと同時にオーバーアチーブする人間を排除してしまう」と監視・管理強化では、組織のパフォーマンスは決して向上しないことにふれている。
【「総持ち」~ 宮大工の修行と教育 10/29】
【人々が「立ち去る」職場について 内田樹の研究室 10/24】

 小川さんは、著書『不揃いの木を組む』の中で、「不揃いのものを扱うのは、木でも人間でも大変だ。規格化されたものは楽だ。しかし、その不揃いの木を生かして一本一本組めば、千年越えても塔を支えているんだからな」と語っている。
 世界的に、ダイバーシティ(多様性)は、企業や社会の活性化にとってもキーワードとなっている言葉である。
学校、社会のあり方をもう一度考えないと・・・、とあらためて思う。

 内田氏の話は、松下幸之助氏の2:6:2の法則にもシンクロする話だと思う。

【コラム】 東京新聞 筆洗 2012年10月29日

 「集団で技を学ぶには不揃(ふぞろ)いな子がいたほうがいいと思っています。年齢も経歴も性格も育ちもさまざまな子が、たがいを見ながら、自分の道を歩んでいくことができるからです」▼法隆寺最後の宮大工西岡常一の唯一の内弟子を務めた後、「鵤(いかるが)工舎」を設立した小川三夫さんの言葉だ。塩野米松さんが聞き書きした『不揃いの木を組む』(文春文庫)から引いた。宮大工の世界にとどまらない知恵が詰まっているように思う▼鵤工舎での修業は十年間。長い年月は、隠し事や自分を飾ることは意味がない、と教えてくれる。修業に耐え抜いた若者には優しさが生まれ、心にはゆとりが出てくるという▼「学校でも器用な子のほうが先生には喜ばれるわけだよ。学校は促成栽培だから、器用なやつほど成績がよくて、いい子なんや」。早く簡単に仕事を済ませる要領の良さは、職人の世界では結局は損をするという。物づくりや職人世界では、「絶対あかんことだ」と小川さんはいう▼法隆寺や薬師寺の塔を内部から見ると、不揃いな材木でつくられ、一本一本が支え合って立っている。宮大工の世界では「総持ち」という言い方をするそうだ▼今の教育は目に見える成果ばかりを求めていないか。「急いだら人は育たんで。不揃いの中で育つのが一番や」。総持ちの思想からは遠くなったこの社会で、棟梁(とうりょう)の言葉は重く響く。

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