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規制委・拡散予測 滋賀県予測の半分以下?

 原子力規制委員会が24日公表した拡散予測。事故後1週間の積算被ばく線量が100mSVとなる地点でもっとも遠い地点は19・9キロ。一方、滋賀県が実施した予測は43キロ。
 ともに福島第一原発を基準にしたものだが、滋賀県の予測は地形や気象条件を踏まえたもの。規制委は地形条件を考慮しておらず、1週間同じ方向に風が吹くなどが条件、また放射性物質の放出量など前提が違うとのこと。
 そもそも福島第一原発で放出された「死の灰」は、原子炉内総量の1割程度、放射性ヨウ素やセシウムなどは1~2%と言われており、福島並でいいのか、最悪の想定をしなくていいのか、という問題がある。
 「拡散の範囲ではない」という新たな安全神話にならないとよいが・・・
【拡散シミュレーション結果 規制委10/24】
【規制委拡散予測 「滋賀県予測と別、評価困難」 京都新聞10/25】
【原子力規制委:放射性物質拡散予測 広域戸惑う自治体 嘉田・滋賀県知事「基礎データに」毎日10/24】

 できるだけ被曝しないほうがよい、ということになると100mSVでなく、詳細な予測も必要である。

【括規制委拡散予測 「滋賀県予測と別、評価困難」 京都新聞10/25】

 原子力規制委員会が24日公表した原発事故を想定した放射性物質の拡散予測では、日本原子力発電敦賀原発で過酷事故が起きた場合、長浜市にも影響が及ぶと推定された。すでに独自の拡散予測を公表している滋賀県は、「県の拡散予測とは条件設定が異なり別物。評価は難しい」と受け止めている。

■国に詳細説明要求

 規制委の拡散予測では、事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる地点が、敦賀原発から南東19・9キロの長浜市まで到達すると予測した。
 一方、県は昨年、琵琶湖環境科学研究センター(大津市)の独自システムを使い、放射性物質の拡散を予測。敦賀原発から半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)を超える最大43キロ地点までが屋内退避が必要な「100~500ミリシーベルト」となり、県は長浜、高島両市の一部を「県版UPZ」に含めた。
 規制委と県の予測には条件設定の違いがある。県の予測が地形や気象条件を踏まえたのに対し、規制委は地形条件を考慮しておらず、風が吹く確率の低い方角への予測を除くなどしている。
 また、放射性物質の放出量や、被ばく状況などの前提も異なっている。同センターの山中直・環境監視部門長は「同じ数値でも単純比較できない。県と同等の条件設定の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測を出してほしい」と話す。
 県防災危機管理局は「今回の予測は前提が違い、解釈が難しい。国に詳しい説明を求めたい」としている。
 ただ、今回の規制委の予測でも、放射性物質が府県境を越えて拡散することは明らか。嘉田由紀子知事は、原発立地市町と隣接していないことを理由に安全協定の締結自治体を限定する意向を示した関西電力などに対し、「不合理さを自覚し、被害予測に応じた協定を結んでほしい」と訴えた。

【原子力規制委:放射性物質拡散予測 広域戸惑う自治体 嘉田・滋賀県知事「基礎データに」毎日10/24】

 もし大規模な原発事故が発生したら−−。国の原子力規制委員会が初めて示した原発事故発生時の放射性物質の拡散予測は、影響が広域に及ぶ可能性をまざまざと示した。自治体は今後、対策を急ぐことになるが、原子力規制庁自らが今回の予測について「信頼性に限界がある」と認めており、困惑も広がった。

 ■福井県
 今回のシミュレーションでは、原発のない福井県小浜市でも、隣接町にある関西電力大飯原発や高浜原発で想定の事故が起きた場合、大部分で住民避難が必要になるとされた。市の防災担当者は「大飯原発の南側で遠くまで達するという試算だが、実感としては北西の風が吹き、市街中心部への影響が大きいと思う」と話し、「あらゆる拡散状況を考慮した広域的な避難対策を国が主導して示す必要がある」と指摘した。さらに、「これだけ広域となれば、避難ルートや輸送手段は単独自治体で対応できる問題ではない。対策に違いが生じないように考慮してもらいたい」と注文を付けた。

 ■滋賀県
 滋賀県は昨年、琵琶湖環境科学研究センター(大津市)の大気モデルを応用し、福井県の各原発の事故を想定した放射性物質拡散予測を独自に実施。放射性ヨウ素の甲状腺被ばく線量が100ミリシーベルトを超える範囲が最大43キロに達し、琵琶湖も汚染の可能性が高いことが示された。
 滋賀県によると、規制委が出した今回の予測結果は▽地形を考慮していない▽線量の指標が異なる−−など、県の予測条件と異なる部分が多いが、高線量予測が30キロを超える可能性は合致しているという。独自予測を担当した山中直・同センター部門長は「国は一定の気象条件が7日間続くというあり得ない想定。一部の風向きを考慮しない計算方法に違和感を覚える」と話した。嘉田由紀子知事は「ようやく国がデータを出してくれたと歓迎したい。今後分析し、より実効性のある防災計画の基礎データにしたい」と話した。

 ■京都府
 京都府では今回、同府南丹市と京都市右京区の境付近が「30キロ圏」を超えて国際原子力機関(IAEA)の避難判断基準に達するとされた。京都市は大飯原発30キロ圏内に左京区の山間部がかかっている。試算を見た京都市の防災危機管理室の担当者は「30キロ圏を超えて、どの地域にどんな対策が必要なのか、情報収集したい」と話した。

 ■大阪府
 大阪府消防防災課は「大規模な事故が起きれば近隣府県からの避難者を受け入れる必要性が出てくる」とする。府は従来、京大原子炉実験所(熊取町)などでの事故を想定し、最大半径500メートル圏内で防災計画を立ててきた。京都、滋賀両府県の防災計画や、関西広域連合の対応を見ながら、府の防災計画に反映させていく方針だ。【松野和生、姜弘修、加藤明子、林哲平、平野光芳】
 
◇「迅速対応評価」「教訓踏まえず」−−識者に両論
 今回のシミュレーション公表について、住田健二・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「自治体が原発事故の事前の準備について検討する一つの判断材料を(規制委員会発足から)短期間で提供した点は評価できる」と語った。また「関西圏で心配されている琵琶湖への影響は、今回のデータだけでは判断できない。滋賀県は独自に試算しているが、対策の必要性を考えるため、今後国としても、琵琶湖に特化した拡散予測をする必要もあるのではないか」と指摘した。
 一方で、放射線防護に詳しい笠井篤・元日本原子力研究所研究室長は「今回の試算で地形を考慮していないのは致命的だ」と指摘する。笠井さんは「信頼性の高い試算には、地理条件は欠かせない。特に若狭湾沿岸地域は起伏が多く、福島第1原発の周辺地域よりも地形の影響を受けやすい。根拠があいまいな試算を基に事故に備えよという発想は、福島事故の教訓が生かされていない」と批判した。【須田桃子】

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