過酷事故・原発防災、断層審査~ 大飯原発止めないと説得力はない
深層防護の4層、5層にようやく着手。シビアアクシデントの基準は来年7月、原子力防災の方は東西南北への避難手段、場所の確保など必要となる(非居住区域をどうするのか、は不明だが)。また、断層審査は、13~12万年以降動いたかどうか、が基準と言う。
本気でやるなら少なくとも当分は再稼働できないはず。アウトになる原発も多数でるだろう。
その本気度を示すのは新基準を満たしてない大飯原発を停止させること。でないと説得力はない。
【クローズアップ2012:原発防災指針、対象135市町村 再稼働、高まるハードル 毎日10/4】
【断層審査を厳格化 規制委、旧保安院の基準否定 東京10/4】
【原子力規制委:過酷事故対策を義務に 「事業者任せ」転換 毎日10/10】
核のゴミの処理もゆきづまっている。新しいエネルギー政策を本格化させるためにも、原発ゼロへの政策転嫁が急がれる
【クローズアップ2012:原発防災指針、対象135市町村 再稼働、高まるハードル 毎日10/4】原子力規制委員会が3日公表した新しい原子力災害対策指針は、「原発事故は起こりうる」(委員)との基本方針の下、防災対象自治体を21道府県135市町村(現在15道府県45市町村)へ大幅に拡大したのが特徴だ。原発再稼働には周辺自治体の理解を得ることが前提で、電力会社にとって、新指針は早期再稼働へのハードルをさらに高めることになる。一方、対象拡大の結果、原子力防災とはこれまで無縁だった地域も住民避難対策などを進める必要が浮上し、戸惑う自治体もある。
◇「地元同意」難航は必至
新指針で、防災対策の重点区域に含まれるのは、富山▽岐阜▽滋賀▽鳥取▽山口▽福岡−−の6県。対象人口は現行の約73万人から約480万人へ一気に拡大する。これらの自治体は今後、住民避難などの具体的手順をまとめた原発の地域防災計画を来年3月までにまとめるが、約7倍に膨らんだ住民の避難・被ばく低減策をどう充実させるかが課題になる。
従来の指針は、原発から8〜10キロ圏のEPZ(防災対策重点地域)を中心に防災計画が策定されたが、今回は原発事故への備えを重視。事故の初動時点ですぐ住民避難をする5キロ圏のPAZ(予防防護措置区域)と、原子炉の事故進展やあらかじめ定めた放射線量を基準に避難や屋内退避をする30キロ圏のUPZ(緊急防護措置区域)−−の2段構えで対応する。
自治体の対象拡大に伴って、再稼働を目指す経済産業省や電力会社にとっては、「地元同意」の獲得が難航する可能性がある。
各電力会社は原発の運転などについて「事前了解」などのルールを定めた安全協定を周辺自治体と締結している。電力会社にとって、防災対象になる自治体が拡大すれば、その自治体と新たに協定交渉をする必要が生じ運転・再稼働のスケジュールに影響しかねない。
例えば、Jパワー(電源開発)が建設を再開した大間原発(青森県)の場合、UPZが導入されれば、津軽海峡対岸の北海道函館市の一部が30キロ圏に入る。函館市は建設差し止め訴訟の準備を表明し、地域防災計画の策定も拒否する方針を示している。
再稼働した関西電力大飯原発3、4号機の場合でも、立地する地元の福井県のほか、大阪府などを含む関西広域連合との合意のあり方をめぐって混乱した。
規制委は来年7月までにまとめる原発の「安全基準」で再稼働についての技術的な視点で判断する。電力会社幹部は今回の新指針とともに「再稼働に向けた二つのハードル」と受け止めている。【中西拓司】◇自治体、国対応遅れに不満
UPZに全国最多の約93万人が住む日本原子力発電東海第2原発。茨城県原子力安全対策課は「全員がどこにどう避難するのかを考えるのは、まだこれから」と頭を抱える。県の試算では、県内に登録されているバス7080台での最大搬送人数は24万人。自家用車での避難も想定しているが、渋滞の問題もあり課題は山積だ。
東海村は県に「広域避難になるので県が中心になって避難先を決めてほしい」と、担当者間の情報交換の度に伝えてきた。県は6月、UPZの14市町村を県庁に集めて勉強会を開催するなどしているが、具体化はこれからという。
政府要請で運転停止中の中部電力浜岡原発はUPZに約74万人が居住。静岡県原子力安全対策課の杉浦邦彦課長は「国の放射性物質の拡散シミュレーション結果がいまだに示されず、具体的なUPZの指定や避難方法の策定はできない」と指摘。原発から約2・3キロしか離れていないオフサイトセンターの移転など、こちらも課題が少なくない。
また、関西電力高浜原発から府県境まで4・4キロしかなく、UPZを想定した防災計画作りを進めてきた京都府は、国の取り組みの遅れにいらだちを隠さない。風向きによって放射性物質の拡散状況が大幅に変わるため、避難先の決定は難航。国のシミュレーション結果を待って避難先を具体的に決めたい考えという。
関西電力大飯原発の30キロ圏内にかかり、全国の政令指定都市で唯一UPZに入る京都市は、原発事故対応の暫定計画を3月に策定。9月1日にUPZ近くの住民を対象にした放射線量測定検査をするなど備えを進めてきた。吉田不二男・危機管理課長は「国はもっとスピード感を持って決定してほしい」と注文した。
一方、日本原電敦賀原発から13キロ離れ、旧指針では緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報提供を受けられなかった滋賀県は新たな指針を歓迎。放射性物質拡散を独自に予測し、原発から最長43キロまで「UPZ」とする県地域防災計画を決めていたが、防災対策重点地域の拡大で今後はSPEEDIの提供を受けられる。県では独自予測と併用し、国に防護機材や安定ヨウ素剤の財政措置を求めていく方針だ。【杣谷健太、樋口淳也、古屋敷尚子、姜弘修】◇四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)
伊方町(〜5キロ)、八幡浜市(〜10キロ)、大洲市、西予市、内子町、伊予市、宇和島市、山口県上関町
【断層審査を厳格化 規制委、旧保安院の基準否定 東京10/4】原子力規制委員会(田中俊一委員長)は、関西電力大飯原発(福井県)などで問題化している敷地内断層の評価方法について、旧規制組織の審査方針を否定し、より厳格に安全評価する方針を決めた。
旧原子力安全・保安院は断層のずれの大きさを安全性判断の材料とすることを検討していたが、ずれの大きさの正確な予測は難しいためこれを採用せず、断層が十三万~十二万年前以降に動いたかどうかで評価する。
耐震問題を担当する島崎邦彦委員長代理(東京大名誉教授、地震学)が共同通信のインタビューで明らかにした。島崎氏は「断層が動いたかどうかが、一番のポイントだ」と述べた。
保安院は、原子炉直下の断層でも、地震を起こす活断層との関連がなく、ずれが十分小さいと評価できれば運転継続を可能にする新基準を検討し、規制委に引き継ぐとしていた。島崎氏の考えは、さらに高度な安全性確認を求めるもので、保安院が想定した新基準の導入は困難となりそうだ。
過去の原発建設時の安全審査でも、北陸電力志賀原発(石川県)などの直下断層について、「仮に動いても、ずれは小さく安全性に影響はない」と、重視しなかったことを当時の通商産業省審査官が証言しており、島崎氏はこうした考え方も否定した。
規制委は今月下旬に予定する大飯原発の敷地内断層調査を皮切りに、原子炉直下の活断層が疑われる日本原子力発電敦賀原発(福井県)など計六原発を調べる。日本活断層学会などの推薦を受けた専門家ら約二十人規模の「現地調査団」が実施する。
島崎氏は「活断層調査全体への一般の方の不信感は強い」とし、過去の審査に携わった専門家は、たとえ安全性重視の立場であっても調査団には入れない方針を強調した。
島崎氏は、二〇〇六年に改定した現行の原発耐震指針については、規制委が策定する新安全基準の一部として見直し、来年三月末までに改定案をまとめたいとした。
【原子力規制委:過酷事故対策を義務に 「事業者任せ」転換 毎日10/10】原子力規制委員会は10日、炉心溶融に至った東京電力福島第1原発事故のような想定を超えたシビアアクシデント(過酷事故)への対策の法制化に向けた作業に着手した。過酷事故の発生リスクを確率で把握する手法を新たに取り入れ、電力事業者に低減策を義務づける。想定を超えた大事故が起きないことを前提とした従来の安全規制からの転換となる。
過酷事故につながる原因には大規模な自然災害、航空機墜落、テロが挙げられている。政府はこれまで電力事業者の自主的な取り組みに任せていたが、福島事故で全電源の長時間喪失を想定しなかったなど対策の甘さが露呈。自主規制の限界が明らかになり、政府は昨年6月、国際原子力機関の閣僚会議に提出した事故報告書で法制化を打ち出していた。
過酷事故対策は、規制委が今年度末に骨格を示す新たな安全基準の柱の一つ。原発再稼働で求められる前提条件になる。具体的には事故時の対策拠点となる免震事務棟の整備などが想定され、来年7月にも正式決定する。
規制委は、効果的な対策を講じるため、大事故が起きる確率をどこまで抑えるかを示した「安全目標」を設定する方針。具体的な値は今後検討するが、事業者にこの値を下回るよう、リスク低減策を求めることになる。この日の会合では、過酷事故対策の法制化を含めた新たな安全基準の検討にあたり、外部の専門家を交えたチームを作り、公開の場で議論することを決めた。欧米はすでに安全目標を策定している。日本は規制委の前身である原子力安全委員会の専門部会で検討。交通事故で死亡するリスクは年1万分の1程度とされるが、03年12月に「原発事故の被ばくで死者を出す危険性を年100万分の1以下に抑える」との中間とりまとめ案を示した。しかし、それ以降はたなざらしになっていた。
国会事故調査委員会委員を務めた規制委の大島賢三委員は「シビアアクシデント対策が後手に回り事故が起きた。自然現象やテロ対策まで広くカバーし、国際的に後れを取らないものにする必要がある」と述べた。【岡田英、中西拓司】
◇想定される主なシビアアクシデント対策◇
・電源設備の多様化、多重化
・非常用電源のバックアップ態勢強化
・放射性物質を浄化するフィルター付きベント装置
・原子炉建屋から出る水素除去装置
・復旧作業の拠点となる免震事務棟
・津波の浸水を防ぐ防潮堤
・原子炉建屋の防水性強化
・電源なしでも稼働する冷却装置
・がれきを除去する重機の常備化
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