「原発事故は対処可能だった」 東電、反対運動の拡大恐れ対策放置
東電が、福島原発事故について「事前の津波評価に基づく対策や、過酷事故対策を十分に取っていれば対処できた」とする不作為責任を初めて認める見解をまとめた。
CNNの報道は、対策を放置した理由を「新たに安全策を講じれば、地元住民や国民の間に原発の安全性に対する懸念が広がり、反原発運動を勢いづかせる恐れがあった」と、「人災」であることがわかる報道している。
ところが主要紙は経済面の小さな記事か無視、「産経」は3面で「自己批判」とか「気のゆるみがあった。厳しい意見相次ぐ」と報道しているが、
・・・どれも、肝心の「反対運動の拡大」「原発閉鎖の恐れ」から手をつけなかったという部分はない。
【「原発事故は対処可能だった」 東電、不作為責任認める CNN】
【東電、原発再開目指し「自己批判」 事故原因で見解一転 産経12】
【「原発事故は対処可能だった」 東電、不作為責任認める CNN10/12】(CNN) 東京電力が原子力事業改革のために設置した「原子力改革特別タスクフォース」は12日、昨年、巨大地震と津波により発生した事故で大惨事となった福島第一原発について、震災前に原発の安全性リスクを把握していたが、対策を講じると原発が閉鎖されかねないとの懸念からリスクを過小評価していたことを認めた。
東電の報告書によると、同社は2002年に格納容器ベントなどの過酷事故対策を講じたが、それ以降は何の対策も講じていなかったという。
その理由として、新たに安全策を講じれば、地元住民や国民の間に原発の安全性に対する懸念が広がり、反原発運動を勢いづかせる恐れがあったことなどを挙げている。
東電は、過酷事故対策を講じるまで原発の閉鎖を求められる懸念があった、とした上で、海外の過酷事故対策を参考にすれば、安全設備の多様化も可能だった、と述べた。
東電はこの1年間、福島第一原発事故の根本原因の究明に積極的ではないとして、世間の厳しい監視の目にさらされてきた。政府の事故調査・検証委員会も7月に出した最終報告書の中で、東電や原子力規制機関の災害対策、事故対応は不十分だったと指摘した。
ウォールストリートジャーナルも、
“同社は「過酷事故対策が不足した背後要因」の1つとして「過酷事故対策を採ることが、立地地域や国民の不安を掻き立てて、反対運動 が勢いづくことを心配した」ことを挙げている。
そのほかにも、対策が不足した理由として過酷事故対策の必要性を認めることが「訴訟上のリスクになると懸念した」、また、「過酷事故対策を実施するまでの間、プラント停止しなければならなくなるとの潜在的な恐れがあった」などと述べている。”と報告書の原因の部分について触れている。
【東電、原発再開目指し「自己批判」 事故原因で見解一転 産経10/13】東京電力は12日、福島第1原発事故の原因に関するこれまでの見解を一転させた。今回、不作為を事実上認めることで、訴訟リスクを抱えることになるが、経営再建に不可欠な柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を進めるには、これ以上自己弁護に終始しては再稼働への理解が得られないとの思惑がある。
東電は実質国有化に合わせて今年5月に「総合特別事業計画」を策定。平成26年3月期の最終黒字転換を目指している。収支改善のためには来年4月以降に予定している柏崎刈羽原発の再稼働は絶対条件だ。
だが、地元・新潟県の泉田裕彦知事は、再稼働は福島第1原発事故の徹底検証が前提だとの態度を崩していない。
今年6月にまとめた社内事故調報告書では事故の主要因は「想定外の津波」としていた。事故調委員長に当時の副社長を抜擢(ばってき)したこともあり、「自己弁護に終始」との批判を受けた。
その後に発表された国会事故調査委員会や政府事故調査・検証委員会でも東電の事故前後の対応を問題視する指摘が相次いだ。身内への検証の甘さが原発立地自治体への不信感とつながっていた。
「原子力ムラの体質からの脱却を強力に進める」(下河辺和彦会長)「事故対策をしなければ(原発)の運転の資格はない」(広瀬直己社長)と東電幹部が強調していたように、地元自治体が納得するには、説得力のある改革プランを打ち出さなければならない必要性に迫られていた。
◇
【用語解説】原子力改革監視委員会
東京電力が原子力部門の改革を進めるため、国内外の有識者を招き取締役会の諮問機関として設置。原子力部門を中心に構成される「原子力改革特別タスクフォース」が実務を担い、最新の安全対策など改革の内容を検討する。委員長は元米原子力規制委員会委員長のデール・クライン氏。委員はほかに英原子力公社名誉会長のバーバラ・ジャッジ氏、原子力エンジニア出身で経営コンサルタントの大前研一氏、国会事故調委員だった元名古屋高検検事長の桜井正史氏、東電会長の下河辺和彦氏の4氏。
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