ISD条項 米国無敵~賠償金ゼロ
NAFTAでは、1990~2010年にISD条項(投資家対国家間の紛争解決)によって訴えられたのは、カナダが28件、メキシコが19件、アメリカが19件。
敗訴して支払った賠償金はカナダがおよそ118億円、メキシコが143億円に対してアメリカはゼロ」とのこと(「地上」10月号 家の光協会)。
訴えは、米国人が総裁を独占し続けている世界銀行傘下のICSID(国際投資紛争解決センター)などの国際仲裁委員会の仲裁人が判定する。やはりね・・・。
【投資の自由化による影響(3回) 考えてみよう!TPPのこと10/19】
上記記事の前号では
“この5月に、米国の不動産専門ヘッジファンド運用会社の「ローンスター」が、買収していた銀行の売却が韓国政府の規制により遅れたとして、損害賠償などを韓国政府に要求している”
と紹介されている。
農業、医療、公共事業、保険、自治体の地産地消の取組・・・ 国家主権を売りわたす行為。
繰り返される米兵犯罪、オスプレイ配備強行・・・ と同じ政治の流れ。
【以前整理した資料から・・・】
○「収用と補償」条項
・元々は産油国による油田国有化に対抗する為に米英によって編み出されたルール。
「収用」(政府が民間企業を国有化、資産を強制的に接収)に対する「補償」(外資が「収用」で被った損失の代償を求めることができる)。
・米国が持ち出した「間接収用」という危険な規定。
「間接収用」とは、資産の接収など物理的な損害を受けていなくても、現地国政府の法律や規制のせいで外資系企業の営利活動が制約された場合、収用と同等の措置と見なして損害賠償を請求するというもの。
○「投資家VS国家の紛争解決」条項 /ISD(Investor-State Dispute)条項
「間接収用」で「被害」を受けた外資が、相手国政府に損害賠償を請求する手段
世界銀行傘下のICSID(国際投資紛争解決センター International Center for Settlement of Investment Disputes)などの国際仲裁委員会の仲裁人(数名)が判定。審理は非公開で、判定は強制力を持つが、不服の場合でも上訴することは出来ない。 判定の基準は、「外資が損害を被ったか否か」という一点。
☆NAFTA(北米自由貿易協定)で初めて取り入れられた条項(次いで韓国。オーストラリアは拒否)
・メキシコの廃棄物処分場建設 地元自治体の不許可が違反とし、1600万ドルの賠償
・カナダ ガソリン添加物MMT(神経性有毒物質)の使用禁止を違反として、3億5000万ドルの損害賠償を請求、カナダ政府が政経撤廃に追い込まれた。
・カナダ 水の大量輸出を禁止したブリティッシュ・コロンビア州政府に対して、4億ドルの損害賠償を請求。
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Comments
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実は、アメリカはFTAを全面批准せず、国内法優先になるように限定批准しています。つまり、
米国の連邦法>米国の州法>米韓FTA>韓国の法律
米国の連邦法>米国の州法>NAFTA>カナダの連邦法>カナダの州法
米国の連邦法>米国の州法>NAFTA>メキシコの連邦法>メキシコの州法
となっています。だから、米国政府を相手取ったISDはすべて棄却されるようになっています。つまり、不平等条約です。
なお、下記にも詳細な記述があります。第24回以降に注目です。
http://www.sap.com/japan/campaigns/2010/ifrs/expert.epx
このコラムは、公認会計士、税理士、システム監査人、上場企業の経理の世界では
非常に有名なものです。この会社は世界最大の会計ソフト会社で、我が国の上場企業の85%が採用しています。
Posted by: 愛国者 | December 08, 2012 10:06 PM