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教員養成「改革」 今必要なのは「修士レベル」か

 「いじめや不登校など複雑化する学校の課題に対応できる実践的な指導力を持った教員を育成するため」として中教審は、8月28日、大学院での「修士課程」を履修させ教員養成「改革」を答申した。
 東京新聞は、すでに7月に「高学歴化を図るよりも職場環境の改善が先決だ」、「雑務に追われ、子どもと触れ合うゆとりがない。山ほどの報告書を作ったり、めじろ押しの行事をこなしたりと枚挙にいとまがない。」「人事や予算を左右する学校運営の評価制度が先生を萎縮させたり、不祥事を隠そうとしたりする土壌となっている。」と社説で指摘しているが、現場のリアルな状況に沿った提起である。
 県下でも、報告におわれ、まともな教材研究ができないとか、評価制度が教育を窒息させている実態がある。
【教員養成改革 「修士レベル」は要らない 東京新聞社説7/23】【中教審 教員養成で修士課程履修を答申 NHK8/28】

①「学力テスト」という全国一律のモノサシが導入され、その結果に教育活動が振り回されている
 過去問や反復練習が幅をきかせ、本来の学び、わかる喜びがおろそかにされている。

②数値目標による管理と給与とリンクする査定昇給制
・「不登校なくす」など目標を持たされ、その目標を達成するため、1日1回その子に会いに行って顔を見れば、“不登校と見なさない”とか、実態の隠蔽であり、子どものが真に必要としているものとかけ離れたことがなされている。
・管理の徹底~ 学校の隣に農園を借り、子ども達と水撒き、草引きなど農作業などの実習にいくにも、出張伺いを書き校長に提出し、終わったら復命書を書く。そんなことにまで時間を費やさせている。

③管理を強化しながら教育内容も「一律化」
 到達度を全県的に把握するという「単元テスト」が導入され、それに会わせた授業が強制される。
 数の把握などにきちんと時間をかけた方が、その後の理解や自分で問題を解く力がつくことは多くの教育実践で示されている。教員は、子ども達の発達度合い、理解度合いに応じて、教科をさまざまに移動しながら真に力をつけるために努力・工夫してきた。そうした実践が、学力テストのB問題でも、結果としていい成績を残している例も生まれている。が、そんな工夫・努力が窒息させられようとしている。
 
④各種報告による多忙化、人事評価による自己責任の強まり、校長のリーダーシップによる学校運営が強調され、子どもの見る目や教育観を豊かに養う場である職員会議が形骸化、「伝達の場」化(子どもカンファレンスの場の喪失)し、教師集団の力がそがれている。また、かつては自主的な教育実践の研究・学習サークルが多数あり、その中で、新人はベテランの教師から多くを学び、また互いに学び合い力量を高めてきたが、多忙化はその時間も奪っている。

 生身の子どもを前にして、教師自身が互いに学び合い励ましあいながら力量を高めていく—そうした場の枯渇が、とりわけ若い教員の成長、その結果として教育の困難としてあらわれているのではないか。
  
日経BPの東京工業大学本川達雄教授と池上 彰氏の対談がおもしろい。
【日本の教養には「ナマコ」や「ヒトデ」が足りない 8/30】
社会で「役に立つか立たないか」の議論がすぐに出てくる、と批判している。

それは市場原理の考え方であり、各種の数値目標、人事評価とも同根と思う。
 

【教員養成改革 「修士レベル」は要らない 東京新聞社説7/23】

 力量のある先生をどう育てるか。中央教育審議会の特別部会は修士レベルの学びが必須だと結んだ。だが、それで学校現場の抱える課題をクリアできるのか疑わしい。頭でっかちの先生は要らない。
 特別部会の話し合いは結論ありきだった印象が強い。小中高などの先生になるには大学院修士課程の修了を条件とするという民主党の公約が出発点だったからだ。
 将来の学校教育はどうあるべきか。どんな先生が求められ、どう養成するのか。そんな素朴だが、肝心な問いに答えるやりとりは抜け落ちていた。
 グローバル競争社会にあって子どもの学力を向上させる。いじめや不登校、障害のある子にきめ細かく対応する。先生には高度の知識と技能が必要とされている。
 だから大学四年間に加え、実習を組み込んだ一~二年ほどの修士レベルの課程を修めさせる仕組みにする。それが特別部会が打ち出した改革の要点だ。理論と実践の積み重ねこそ優れた先生を輩出するという発想のようだ。
 しかし、それでは研究者の養成ではないか。専門職とはいえ医師や弁護士などとは違い、先生が向き合うのは繊細で未完の子どもたちだ。理屈や法則通りに物事が運ばない方がむしろ自然だろう。
 大津市の男子中学生の自殺問題では、教育委員会や学校が責任逃れや自己保身に躍起の様子だ。
 学校は「いじめのない学校づくり」を宣言していた。男子がいじめられて自殺したとすれば看板倒れだ。そんな論理と心理が、いじめを見聞きしたという子どもたちの訴えを封殺したのではないか。
 子どもへの愛情や信頼、そして教育への情熱を欠いては先生の仕事は務まらない。それは大学院で学んだからといって備わる資質や能力ではない。
 高学歴化を図るよりも職場環境の改善が先決だ。今の先生は雑務に追われ、子どもと触れ合うゆとりがない。山ほどの報告書を作ったり、めじろ押しの行事をこなしたりと枚挙にいとまがない。
 授業の計画や教材の研究、保護者面談や家庭訪問といった大事な活動は二の次だ。人事や予算を左右する学校運営の評価制度が先生を萎縮させたり、不祥事を隠そうとしたりする土壌となっている。そんな指摘がある。
 先生が生涯学び続ける姿勢は大切にしたい。だが、文部科学省のお手盛りにも映る「教職大学院の拡充」は必要あるまい。先生は教壇に立ってこそ鍛えられるのだ。

【中教審 教員養成で修士課程履修を答申 NHK8/28】

相次ぐいじめや不登校など複雑化する学校の課題に対応できる実践的な指導力を持った教員を育成するため、中教審=中央教育審議会は教員養成の在り方を見直し、大学の4年間に加え大学院での「修士課程」を履修させるよう、平野文部科学大臣に答申しました。

これは、中教審の三村明夫会長が、平野文部科学大臣に答申したものです。
それによりますと、グローバル化や少子高齢化と社会が大きく変化し、いじめや不登校など生徒指導上の課題が複雑化するなかで、教員には高度な専門知識と実践的な指導力が求められるとしています。
 このため、教員としての基礎的な知識や技能を学ぶ大学4年間の「学士課程」に加え、大学院で1年から2年程度の「修士課程」を履修し、学校現場で長期間の実習を行うなどして教科や生徒指導の実践的な力をつけさせるとしています。
 これに伴い、教員免許の新たな制度も設けるとしていて、当面はこれまでどおり、大卒者にも教員免許を与えるものの、採用後、できるだけ早い時期に修士課程を履修し、新たな免許を取得すべきとしています。
答申を受けた平野文部科学大臣は、「教員が社会の尊敬と信頼を得られるよう、答申をしっかりと受け止め、施策に取り組んでいきたい」と述べました。
 文部科学省は今後、学生が「修士課程」の履修を行う大学院をどう整備するかや実施の時期、新たな教員免許制度の創設に向けた法改正などについて検討することにしています。

◆専門家“採用後のトレーニングには限界”
28日の答申について、教員養成の在り方に詳しい東京学芸大学の岩田康之教授は、「教員が実践的な力を養ううえで、現場にある程度長い期間いることが重要だが、採用されてからオン・ザ・ジョブトレーニングでやるには限界がある。大学が責任を持ってやる教員養成教育の中に、実践的な要素を多く取り込むことが必要だ。大学での教員養成に対する考え方を、大学の人たちも少しずつ変えていく必要があると思う」と話しています。

◆「即戦力」に期待 支援の在り方には課題
答申のように「修士課程」の履修が必要とされると、教員養成の在り方はどう変わるのでしょうか。
現在、教員養成系の大学では4年間、国語や理科といった教科を指導するための知識や技能のほか、教員の役割や生徒指導の理論などを学び、教員としての基礎的な知識や能力を身につけます。
 また、学校現場で行う教育実習は、3週間と短期間に限られています。
 今回の答申で示された大学院での「修士課程」の教育は、大学4年間の学びに加えて学校現場での長期の実習が主体となります。
 期間は具体的に決まっていませんが、より長期間学校に入り、子どもや教員とともに過ごすことで、子どもの興味をひく効果的な授業方法を学んだり、いじめや不登校など生徒指導の問題にも直接関わったりすることができます。
 こうした現場での体験を踏まえ、大学院でより専門的な理論を学ぶことで、教員としての指導観を身につけ、実際に教員になった際、即戦力になると期待されています。
 一方、新卒で教員として採用された学生は昨年度、全国でおよそ9000人いることから学生が学ぶ大学院をどう整備するかや、長期間の教育実習の受け入れは学校の負担ともなり、現場の支援の在り方が課題となっています。
 さらに、修士課程の履修で経済的な負担が増える学生への授業料の免除や奨学金の充実などの対策も求められることになりそうです。

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