「領土問題は存在しない」では解決しない~ 各紙社説を見る
日中国交回復の過程で、自民党政府は、「領土問題の存在」を認める「棚上げ」合意をしている。にもかかわらず、「領土問題は存在しない」の立場にたつので、外交的解決もできない。理をつくして日本の主張を相手国に届けることもできない。
「領土問題は存在しない」…一見勇ましいこの立場が、日本の立場を弱くし、外交的解決の足かせになっている。「領土問題は存在する」事実にたって外交努力をすべき。日本共産党の提案後のマスコミの社説には、外交戦略の再構築、見直しを説くものが多い。
【外交交渉による尖閣諸島問題の解決を 日本共産党・提言9/20】
【 なお、外交的に解決するということは、主張は理をつくしながら、その時点、その時点での妥協点を確認していく作業と思う。特に実利に関係する漁業、海底資源開発では、様々なオプションがあると思う。中国側の要求が「棚上げ」合意を守れ、という点も注目に値する。
沖縄タイムズ9/25主張「外交立て直しが急務だ」で「日本外交は戦後、あらゆる面で「日米基軸」を貫いてきた。だが、米中2大国の関係は冷戦時代の米ソ関係とは異なる。日中関係の将来像を明確にし、政治・経済・文化のあらゆる分野で交流の機会を増やし、太いパイプを築いていく。そのような地道な取り組みが必要だ。」と結んでいる。
米中は戦略的対話を重ね、軍事協力も深化させている。「冷戦」的発想でなく、隣国との平和共存を構築していく必要がある。
【産経・主張 9/22】
玄葉光一郎外相も「日本の対外発信を強化しなければ」と語ったが、中身がはっきり見えない。日本が尖閣で「領土問題は存在しない」との立場をとってきたことが足かせになっていないか。
【毎日社説 9/22】
過去の棚上げ合意を否定し、領土問題は存在しない、という姿勢を続けるだけで事態を改善することができるのかどうか、改めて考える必要がある。」
日経社説 9/25】
「まず尖閣をめぐる日本の主張を中国にも世界にも、しっかりと伝えていくことだ。」
【東京新聞社説 9/25】
中国は「日本が実際の行動で、共通認識に立ち戻り、対話による解決を」(外交筋)との姿勢だ。
政府は、中国の揺さぶりと本音をきちんと見極め、話し合い解決へ、もっと知恵を絞るべきだ。自民党総裁選の最中でもある。対中国強硬論ばかりが高まるのは危険である。
【読売社説 9/26】
両国が協議の継続で一致したことは評価できる。外相や首脳同士の対話も重ね、事態打開の道筋を模索すべきである。
【西日本新聞社説 9/24】
直接の引き金は日本政府による尖閣諸島購入の閣議決定だ。東京都の石原慎太郎知事が購入計画を打ち出す中「より安定的な維持管理につながる」(野田佳彦首相)との判断だが、中国は「争い棚上げ」の原則を日本側が一方的に踏みにじった-と受け止めた。
・・
日本は「尖閣に領土問題は存在しない」との立場だが、沈黙のままでは立場が不利にならないか。
基本的立場は堅持しつつ、中国側と首脳レベルで会談して事態沈静化の方策を探るべきだ。外交努力を通じて日本の領土である根拠を世界に示し、各国の理解を得ることが大切である。
【琉球新報社説 9/25】
尖閣問題は国際法の解釈や歴史認識も絡み複雑化する雲行きだ。日本政府は状況を直視し、長期的な平和と安定に向けた外交戦略の再構築、展開に注力すべきだ。
【高知新聞社説 9/25】
対中外交を立て直すとともに、対話による解決に全力を尽くさなければならない。
… 北京できょうまで日中の外務次官が会談するのに続き、国連総会の場を利用した外相会談も調整している。こうした対話を一つ一つ重ねながら、関係修復への糸口を探る努力を双方が続ける必要がある。
« 「舟券売り場」と東西軸エリア活性化 | Main | 原子力規制委の記者会見 「原発ゼロ」の赤旗は出席ダメ »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 202408地方議員学習交流会資料+α(2024.08.15)
- 「原発」固執は、脱炭素の障害 再エネ普及の足かせに (2024.08.08)
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 2405地方議員学習交流会・資料(2024.05.16)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
Comments