公約違反、離合集散の横行〜政党らしい政党とは
政権公約にことごとく違反。解散総選挙を遅らせるために成立しないことがわからながら、単独で議事を強行する民主党。消費税増税を公約違反と追及しながら、財界に言われると、その増税を民自公の談合で強行。さらに増税推進の野田政権への国民の怒りの広がりと、早く解散総選挙にもちこみ政権復帰したい思惑から、3党合意を批判する問責決議に賛成した自民党(公明党は退席で、増勢の最大の功労者の地位を守る)
そして総選挙を前にした、政党の離合集散・・・
なぜこうも簡単に公約違反をしたり、政党渡り鳥が横行するのか。政党とはなにか、が問われている。
中央公論2012.9号、片山義博・元鳥取県知事と飯尾潤・政策研究大学教授の対談。「“まともな人”が政治家になれない理由」が興味深い。
「“まともな人”が政治家になれない理由」
中央公論2012.9号、片山義博・元鳥取県知事と飯尾潤・政策研究大学教授の対談。
テーマは、政治家にとって最も重要な責任感を教え、政治家を要請する機関がない。というもの。
◇その役割を、欧州では政党が担っている―-
・ドイツでは、大学を出た学生が党員になり、地方の活動家になる。きっちり仕事をしていれば地方議会に出馬するように言われ、させに目があると認められると、州レベルの選挙に出してもらってキャリアを重ね、能力のある人は首長、大臣へ道も拓ける
・イギリスは、公募制だが、保守党も労働党も政治家を育てる地方組織がある。候補者を選定すると地方組織が選挙運動をやり、議会活動などで能力があると認められると、楽に当選できる選挙区に変えるなど国政に集中できる環境をつくる。
→ 日本では、派閥、労組、霞ヶ関、または二世、政治家秘書など限られたルートしかなく、それが枯渇している。また公募といっても選挙は候補者自身で行う。または著名な政治家にくっついて政治家になるという「あやかり商法」的な政治家の促成栽培。
◇政党とは
・政党は、党員がいて、党員たちの願いをかなえるために政策があり、その政策を実現するために候補者を選定して当選させる。議会でそうした候補者が多数派を形成して、権力をにぎり、政策を実現する。
・が、自民党も民主党も、その選挙区の候補者の個人後援会の集合体か、企業・団体ごと政党に所属しているのが実態。
・日本には共産党などを除くと政党らしい政党はない。
・日本の政党は、政治家になりたい人たちの組織になっていることが諸悪の根源。現職議員と落選議員を中心になって作られている組織だから、新たな候補者を発掘しようという動機を本能的に持ち合わせない。ライバルを自らつくる殊勝な人はいない。
・「大阪維新の会」…この政党も草の根で党員を集めて、政策を考えるという地道な基礎工事なしに、次の選挙に出せそうな人を見つけて、促成栽培しようとしている。政治家になりたい人を中心に組織しようとしている意味では既存の政党とまるで変わりません。
→ 有権者が自分達の主張を実現するために政党を組織することが重要。選挙に出る政治家は氷山の一角。それを支える党員が水面下に大勢居るのが政党。だが、日本の政党の多くは水面下にほとんど何もない。これが日本の政治の弱さの根源。
以下は別情報
◆“敵ながらあっぱれ”自民総裁
8月31日、東京・永田町の自民党本部。そこで開かれたある会合で、谷垣禎一総裁が講演しました。
谷垣氏は、3年前の総選挙で失った政権を奪回するため、同党が地方組織から立て直しを図ってきた経過に触れながら、こうのべました。
「日本(の政党)で地方組織をしっかりし、どこへいってもそれなりのレベルの地方議員をもっているのはそう多くない。共産党というのは、そこは敵ながらあっぱれで、それなりのレベルの地方議員を持っている」
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