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生活保護受給者の金銭管理委託~単なる労務提供は違法

 高知市が生活保護行政の一部をNPOに『請負』に出す。受給者の金銭管理―― 公務員である「ケースワーカーの指示にもとづいて、窓口におとづれる人に金銭の手渡しするだけ」の業務とのこと。
 プライバシー保持の問題がある。それに「請負」なら市は「指揮命令」も「連携して業務にあたる」こともできない。「指示にもとづき手渡すだけ」だから「大丈夫」と説明するかもしれないが、そうなれば、そもそも「請負業務」の規定に違反する。 

 「請負」については、旧労働省告示37号は、単なる労務提供を違法として、「業務の処理のための機械、設備、器材、材料、資材を自らの責任と負担で準備している又は自らの企画又は専門的技術、経験により処理している」ことを求めている。  
 自治労連が行った交渉で、職業安定局需給調整事業課は、「専門性」とは「普通の事業者にはない高い専門性や技術のことをいっているのであり、発注者が自分のところでできないから高い専門性をもつ事業者に請け負わせるもの。逆に言えば、発注者が指揮命令できるような業務は専門性があるとは言えない」と明快に解答している。

 これまでも様々あったが、公務が違法、脱法的行為に手を貸すことに問題意識を感じていない。昨年、委託業務について外部監査の指摘があった。

【アウトソーシング自体が目的化 外部監査2011/4】
 
 特徴的に指摘は以下のとおり。

◆モラルハザードと言える事態。
 総括的意見で、7割の契約で検査調書が作成されてない事実を「① 法令、規則等に従っていなくても何ら疑問を感じないことの問題点 ② 悪しき前例であってもそれを踏襲する「無批判な前例踏襲」の持つ問題点 ③ 守られていない規則が放置されていることの問題点 ④ それらの循環による悪習の定着という問題点」として、こんな状況では、どんな規則をつくっても無意味という主旨の指摘をしている。

◆アウトソーシング自体が目的化しているという指摘。
・ 「サービスの向上」について評価もなく、評価基準もない。再委託の横行、評価する側の職員の専門性の低下など・・
“まず「何をしようとしているのか」そのために「直営か委託かも含めてどのような手段によるのか」もう一度覚醒した意識下で再検討する必要がある”と指摘している。
・随意契約の理由の根拠のなさ、不透明さ。認識の過ち、他社との比較や調査もしてないとか、言い値のまま契約している、などなど・・・。

◆偽装請負や最賃など労働法違反の疑いの存在。
 公契約条例の必要性を指摘している。

 しかし、高知市は、その後も、給食調理委託の拡大、市営住宅の管理、窓口業務の委託、自治体コールセンター導入などと続いてきた。

 「覚醒した意識下で再検討」をしてきたのだろうか。

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