原発ゼロ 「電気料高騰」のウソ
「電力不足」の脅しは、結果として「原発ゼロ」の可能性を実証することになった。そこで次なる標的は予想通り「電気料金高騰」。 原発ゼロで、「3兆円の燃料費増」「2倍になる」というもの・・・・ まったくデタラメな数字なのだが、それを垂れ流すメディア、政治家などがあとを絶たないので・・・
そこで、もとの資料を見て整理してみたい
【エネルギー環境会議9/4 経産大臣・資料「原発ゼロとする場合の課題」】【国家戦略室 シナリオを検証するにあたり踏まえるべき視点 コストの抑制、空洞化防止」】
◆「3兆円増」
・2010年度 発電にしめる原発の割合 32%を他の発電でおぎなった場合、というケース
①すでに1割前後も進んだ省得る・節電の実績を無視したもの。「3割削減したら原発は要らない」ということを示す。
②燃料費??? 1kWh当り LNG10円 石油16円
・総合資源エネルギー調査会 (2011.3) 発電コスト(建設費・運転費・燃料費など)
石油火力 14-17円 LNG火力 6-7円
~ 燃料費だけになっているのに、高くなっている。
③LNG比重の増加を無視。
試算は今年6月時点との比較。今後はLNG発電、特に新式のコンバインドサイクル方式の普及がすすみ、さらにコストは低下すると見込まれる。
④液化天然ガスの高値購入問題
日本は、カタール産を16ドルで購入。ロシアから天然ガスを購入している中国や欧州の価格は、10ドル前後。
中部電力は、アメリカから初めて輸入することになった天然ガスの価格は従来の2/3程度に。
◆「2倍になる」
①コスト検証には、4つの試算が示されている。全体としてそんなにかわらない。
・「2倍」というのは、「地球環境産業技術研究機構」の試算。
原発20-25%の場合も1.7~1.8倍と同じくらい上がる
・「国立環境研究所」の試算 ゼロの場合も20-25%の場合も同じ1.4倍。
②省エネ技術や節電行動を無視した数字
「科学技術振興機構 「エネルギー・環境に関する選択肢」の国民生活への経済影響を解析 —家庭における省エネ対策の推進・所得階層間の格差是正がカギ—
消費電力が多い家電を1995製と05年製で比較すると、消費電力はエアコンで43%減、冷蔵庫は実に72%減になっている。今後、省エネ性能の向上や節電の広がり等で、年間の総電力消費量は現行1.1兆kW時から0.8兆kW時に約27%下がると予測。
原発ゼロなどで電気代の単価があがっても、家庭の電気代は今より半減も可能、としている。
この点について財界系シンクタンクも・・
・
【政府案は技術進歩を過小評価 家庭の電気代はむしろ減少する ――三菱総合研究所 小宮山宏理事長に聞く 8/17】
◆原発の真のコスト
①事故補償
・自然エネルギー財団 福島事故の損害賠償や除染が20兆~75兆円
・ライプチヒ保険フォーラム 福島並みの事故がドイツで生じた場合、最大損害額730兆円(2011年5月)
~ 無制限の損害保険について、高知県知事は「なかなかそういった保険は想定しづらいのではないか」と答弁。リスクに対応できない。
なお原発輸出というシステム輸出は、運転も担って稼ぐというもので、事故の際の賠償は、日本国民の税金・電気代でまかなわれる危険がある。「儲けは企業、リスクは国民」というインチキ商売。
②安全対策 ~ 、IAEA「5層の深層防護」
・「格納容器はこわれない」ことを前提した安全対策の抜本的な見直し。
原発10キロ内の非居住地域の設置(土地買収)、30キロ内住民を25時間(「原子力防災」著者・松野元氏・・・原子力災害対策特別措置法15条通報(全交流電源喪失)」から25時間以内に30キロ内は退避させる。)で退避させる道路整備と輸送手段の確保。
③バックエンドコスト
国の19兆円に対し、大島教授は、74兆円になると示している。
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