復興予算 原子力ムラに。42億円流用
復興特別会計で、「もんじゅ」などを運営する原子力機構の核融合エネルギー研究費に42億円が流用されていた。事故収束、除汚に関する研究費として計上された100億円超の4割にあたる。
9日のNHKスペシャルでも沖縄の国道整備、岐阜県のコンタクトレンズメーカーが新しい製造ライン作成の補助金、反捕鯨団体対策費23億円。国立競技場補修費3億円、青少年交流事業72億円、刑務所の職業訓練、公安調査庁のテロ対策費など被災地以外に205事業、2兆円超。
国難に乗じて税金の流用~予算確保・献金・選挙支援・天下りという政財官の癒着構造が元凶。
【復興予算 原子力ムラに もんじゅ運営独法 核融合研究、42億円流用 東京9/16】
【シリーズ東日本大震災 追跡 復興予算 19兆円 NHK9/9】
【許せぬ復興予算流用 長崎新聞コラム9/12】
今回の消費税増税も、何に使われるかわからない。消費税導入以来の消費税収と、法人三税の減少分が、ほぼ同じことが実証しているが・・・
政治の癒着構造を明らかにするうえて、復興予算の徹底検証は極めて重要。また、そこにどっぷりつかってきた政党ほど「愛国」「国益」を声高に主張しているという点でも、「政治」の本質を示している。
【復興予算 原子力ムラに もんじゅ運営独法 核融合研究、42億円流用 東京9/16】政府の二〇一二年度予算の復興特別会計のうち、高速増殖原型炉「もんじゅ」などを運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の核融合エネルギー研究費に四十二億円が計上されていたことが分かった。文部科学省は一三年度予算の復興特別会計でも、四十八億円の研究費を概算要求している。東日本大震災の被災地復興のため、国民に新たな負担を求めた復興予算が復興とは直接関係のない「原子力ムラ」の事業に使われた。(中根政人)
原子力機構に対し、一二年度予算の復興特別会計からは百億円超が支出された。このうち、東京電力福島第一原発事故の収束や除染に関する技術開発費などを除く四十二億円は、日本や欧州連合(EU)、米国、中国など七カ国・地域が核融合エネルギーの実用化を目指して共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)の研究事業に充てられた。ITERは、日本国内では、青森県六ケ所村と茨城県那珂市に研究拠点がある。
復興とは無関係との指摘について、原子力機構は「被災地の研究拠点を通じて、復興を支える技術革新を促進できる」と強弁。文科省も「被災地の産業振興だけでなく、日本全体の復興につながる」と説明している。
京都大原子炉実験所・小出裕章助教は「被災地の復興を最優先に考えるならば、むしろ原子力機構の不要不急な研究事業を削減して財源を確保する取り組みが不可欠だ。核融合エネルギーは、実用化のめどが立っておらず一般会計も含めて研究予算を付けること自体が無駄遣いだ」と批判している。
政府は、東日本大震災の復興財源について、所得税や住民税の増税などで一一年度から五年間で計十九兆円を確保した。だが、津波で甚大な被害を受けた沿岸部の被災地へ十分に回っていないことや、被災地以外の公共事業などに使われていることに疑問の声が上がっており平野達男復興相は実態調査を財務省に要請している。
原子力機構は原発推進の経済産業省や文科省の幹部らが天下りしOBが再就職した企業・団体と多額の取引を行っていることなどに批判が集まっている。◆省庁が分捕り合戦
災害復興予算の問題に詳しい宮入興一・愛知大名誉教授(財政学)の話 東日本大震災の復興予算は、被災地の復興に加えて「活力ある日本の再生」が編成の目的とされた。そのことで、復興を口実にした各府省の事業予算の分捕り合戦が起こり、復興とは無関係な事業にお金が回る事態に陥っている。
原子力機構が研究費を復興特別会計から計上したのもその一例で、被災地のためではなく、予算をより多く確保したいという姿勢の表れでしかない。
<国際熱核融合実験炉(ITER)> 太陽で起きている核融合と同様の状態を人工的につくり出し、発電に使えるかどうかを実験する装置。実験炉の建設地をめぐっては、日本と欧州連合(EU)が誘致合戦を展開したが、2005年にフランス国内への建設が決定した。実験炉の運転開始は20年を予定している。
【許せぬ復興予算流用 長崎新聞コラム9/12】 火事に遭いながらも保険金などで金回りがよくなることを「焼け太り」というが、消火活動を手伝うふりをして、まんまと被災者救援金の分け前に預かり、丸々と肥え太ることを何と言うか▲浮かぶのは「食い物にする」だ。他人の不幸に乗じて得をするのだから、これはもう、被災者を食い物にする行為と言っていい。東日本大震災の巨額の復興予算が、霞が関の官僚によって好き放題に流用され、被災者が食い物にされている▲9日放送のNHKスペシャル「東日本大震災、追跡・復興予算19兆円」によると、復興増税で調達した復興予算が、沖縄の国道整備、反捕鯨団体対策、国立競技場補修、刑務所の職業訓練、公安調査庁のテロ対策など、被災地と無縁の事業に流用されていた。予算総額19兆円のうち、流用は2兆円を超えた▲その一方で、被災地には復興資金が回らず、津波で流された商店や診療所の再建資金補助が受けられない人々の苦境も紹介されていた。流用の罪は重い▲原田泰・早大教授は著書「震災復興 欺瞞(ぎまん)の構図」(新潮新書)で、そもそも復興費用の積算自体がいいかげんで、予算が野放図に積み上げられていると指摘した。いいかげんに積み上げられた予算は、実にいいかげんに散財されていた▲東日本大震災から1年半。復興は進まない。震災を食い物にして省庁権益の肥大化を図る霞が関のゆがんだ官僚機構。その改革なくして復興はない。
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