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教育予算の貧困・日本~高い家計負担、悪化する教員の働く要件 OECD調査

・教育予算の公的支出はかなり低い。08-09年、他の加盟国と違い教育機関への支出額が低下。費用は、私的部門に大きく依存。
・他の加盟国と異なりこの10年教員の給与が減(9%も)。新人教員の給与は加盟国平均を下回る。労働時間は大幅に長いが、授業時間は短い。学級規模は2番目に大きい。
 〜 いじめ問題の解決にとっても、子どもの貧困、教員の多忙化など環境の改善が急務である。
なお「ほとんどの4歳児が就学前教育を受けている」となっている。これは「保育」は養護と教育を一体的に提供しているとの国際的な評価のあらわれである。新システムなど幼保一体化論の実質否定である。
【OECD 図表でみる教育2012/09/13:日本】


【調査概要】
・日本において経験のある教員の給与は、他のOECD加盟国と比べて高いが、初任給は低く、また労働時間は長い。さらに、OECD加盟国における傾向とは異なり、日本においては2000年から2010年の間に教員の実質給与は減少している。

• 日本は、外国人学生、特にアジアからの学生にとって人気のある留学先となりつつある。

• 日本の高等教育の授業料は高いが、学生の財政的支援へのアクセスは未だに限られている。

• 2010年において、日本の4歳児の97.2%が就学前教育を受けており、これはOECD加盟国中7番目に高い水準となっている。しかし、就学前教育に対する支出は低く、その費用のうちかなりの割合を家計が負担している。

• 日本の公財政教育支出は、対GDP比においても一般政府総支出に占める割合においても、他のOECD加盟国に比べてかなり低い。その一方、在学者一人当たりの教育支出は高い。これは、チリ、韓国に次いで3番目に高い水準となっている私的部門からの支出が多いことに依るところが大きい。教育支出全体の31.9%が私的部門により賄われているが、これには学校外の教育にかかる家計負担は含まれていない。

◆かつて日本の教員は高い給与を得ていたが、これは経験のある教員には依然として当てはまるものの、新人の教員にはもはや当てはまらなくなっている・・・

日本において経験のある教員の法定給与は比較的高い。勤続15年の最低限の教員資格を持つ初等・中等教育の教員の平均的な年間法定給与は、 44 788米ドルである一方、OECD平均は、初等教育が37 603米ドル、前期中等教育が39 401米ドル、後期中等教育が41 182米ドルとなっている(表D3.1)。
しかし、日本の初等・中等教育の教員の初任給は、25 454米ドルとOECD平均(初等教育28 523米ドル、前期中等教育29 801米ドル、後期中等教育30 899米ドル)を下回っており、このことは、日本が優秀な高等教育修了者を教職に誘致するにあたって課題となっている(Table D3.1)。

◆ ・・・さらに、日本の教員の法定勤務時間はOECD平均よりも大幅に長い。

日本の教員の合計法定勤務時間(1 876 時間)は、OECD平均(初等教育1 678時間、前期中等教育1 673時間、後期中等教育1 676時間)よりも大幅に長い(Table D4.1)。
これに対し、授業時間数そのものは、初等教育707時間、前期中等教育602時間、後期中等教育500時間と、すべての教育段階においてOECD平均(それぞれ782時間、704時間、658時間)よりも短い(Table D4.1)。しかし、日本における授業時間数は、2000年から2010年にかけてすべての教育段階において増加している。
2000年から2010年の間、ほとんどの国において初等教育の授業時間数が一定である一方、日本では11%増加している(Table D4.2)。

◆2000年以来、ほとんどの国では教員の実質的給与が上昇している一方、日本では低下している。

2000年から2010年にかけて、データの存在する国のほとんどにおいて勤続15年の教員の実質的給与が上昇している一方、日本(9%もの低下が見られる)、フランス、スイスにおいてのみ、教員の実質的給与が低下している(Table D3.2, Chart D3.3)。

◆日本では`経験のある教員の給与がOECD平均以上である一方、学級規模は大きい。

2010年の日本の初等教育の平均学級規模は28人となっており、これはOECD平均の21人よりも大きく、OECD加盟国中チリ(29人)に次いで2番目に大きい数字となっている(Table D2.1)。前期中等教育についても、日本の学級規模(33人)は、OECD平均(23人)に比べて大きく、OECD加盟国のうちでは韓国(35人)に次いで2番目に大きい(Table D2.1)。

◆日本の高等教育の授業料は高いが、学生への財政的支援は限られている。

日本は、高等教育における学生支援制度を改善するため努力をしてきているものの、ほとんどの学生にとって授業料は高く、その大部分が家計からの支出によって賄われている。2008年~2009年度において、日本の公的な大学型高等教育機関の学生は、授業料として平均4 602米ドルを支払っている。これは、データの存在するOECD加盟国の中では、アメリカ合衆国(6 312米ドル)、韓国 (5 193米ドル)、イギリス(4 731米ドル)についで4番目に高い数字となっている。反対に、日本において公的な貸与補助や奨学金/給与補助を受ける学生は33%しかおらず、これに対し、アメリカ合衆国においては76%、イギリスにおいては94%の学生が学生支援を受けている (Table B5.1, Table B5.2, Chart B5.1)。日本は、高等教育に対する公財政教育支出の対GDP比がOECD加盟国中最も低い国の一つであり、OECD平均が1.1%であるのに対し、0.5%にとどまっている(Table B2.3)。

◆日本では、ほとんどの4歳児が就学前教育を受けている・・・

教育における早期の投資は、学力を上げ、経済的・社会的成果を向上させる可能性がある。例えば、最近の「OECD生徒の学習到達度調査」(PISA)の分析の結果、1年以下の就学前教育を受けた生徒は、就学前教育を受けていない生徒よりも、読解分野において平均で30点得点が高い(これは、9ヶ月分の学校教育に値する)ことが示されている。さらに、1年以上の就学前教育を受けた生徒は、就学前教育を受けていない生徒よりも平均で54点得点が高い(これは、1年分以上の学校教育に値する)ことが示されている(OECD, 2009: PISA 2009 Results: Overcoming Social Background, Table II.5.5)。

2010年において、日本の4歳児の97%が就学前教育機関に在学しており、これはOECD加盟国のうちでも7番目に高く、OECD平均の81%を大きく上回る。データの存在する39か国中16か国が、90%以上の就学前教育への在学率を示しており、フランスとオランダではすべての4歳児が就学前教育を受けている。メキシコでは2005年から2010年の間にこの年齢集団の在学率が70%から99%へと上昇しており、これは就学前教育の義務化が行われたことを反映している(Table C2.1)。

◆・・・しかし、就学前教育に対する公的支出は比較的少なく、その費用のうちかなりの割合を家計が負担している。

日本における就学前教育段階の子ども1人当たりに対する年間の教育支出額は、5 103米ドルであり、OECD平均の6 670米ドルを大きく下回っている(Table B1.1a)。これは、高等教育に対する教育支出とは対照的である。さらに、2009年における日本の就学前教育に対する教育支出の対GDP比は0.2%であり、これは、データの存在するOECD加盟国の中で、アイルランド、オーストラリア、スイスに次いで4番目に低い水準であり、OECD平均の0.5%を大きく下回る(Table B2.2)。
日本における就学前教育に対する教育支出のうち55.0%が私的部門により賄われており、その多くが家計支出である。家計支出は、就学前教育に対する支出全体の38.3%を占めており、これは、データの存在するOECD加盟国のうち韓国、オーストラリアに次いで3番目に高い水準である。一方、フランス政府は、就学前教育に対する教育支出の94%を公的支出で賄っており、その対GDP比は0.7%となっている(Table B2.2, Table B3.2a)。


◆他の多くのOECD加盟国同様、日本においても教育は依然として多大な経済的利益をもたらす・・・

より高い学歴を達成するほど、就業率は上昇し、失業率は低下する傾向にある。日本において、後期中等教育が最終学歴である男性の就業率が85.7%、失業率が6.4%であるのに対し、大学型高等教育または大学院のプログラムを修了した場合、就業率は92%に上昇し、失業率は3.4%に低下する。女性については、後期中等教育から大学型高等教育へと学歴が上がることにより、就業率は61.2%から68.4%へ上昇し、失業率は5%から3.2%へ低下する。日本では、就業率における男女差は、学歴に関わらず一定である一方、他のOECD加盟国では、平均的に、就業率における男女差は、学歴が上がるにつれて顕著に縮小する傾向にある (Table A7.1a, Table A7.2a, Chart A7.3)。

◆・・・このことは、高等教育を修了する若年者人口の増加の一因となっているかもしれない。

2010年には、日本における成人の45%が高等教育を修了しており、これはOECD加盟国(平均31%)の中でも最も高い数字の一つである。日本の25~34歳人口における高等教育修了者の割合は57%であり、これは55~64歳人口における高等教育修了者の割合(29%)と比べはるかに高い。このことは、若い世代ほど高等教育修了者が拡大していることを示している。このことは、他のOECD加盟国においても、25~34歳人口の高等教育取得率は平均38%、55~64歳人口では23%、と同様の傾向が見られる(Table A1.3a)。さらに、現在の25~34歳人口の高等教育取得率が維持された場合、日本における高等教育を修了した成人の割合は、将来的にさらに大きく拡大すると予想される(Chart A1.3)。

◆日本は他のOECD加盟国に比べて教育への投資が少ない・・・

世界的な経済危機にも関わらず、ほとんどのOECD加盟国においては、2008年から2009年にかけて、教育支出(公財政支出と私費負担の合計)が増加している(Box B2.1)。これは、日本の場合にはあてはまらず、この期間に日本の教育機関への支出は低下している。それにもかかわらず、日本における教育支出の対GDP比は、2000年の5.0%から2009年には5.2%まで上昇している。ただし、これは依然としてOECD平均の6.2%を下回っている(Table B2.1, Chart B2.1)。日本における公財政教育支出の対GDP比は3.6%、一般政府総支出に占める割合は8.9%であり、これに対し、OECD平均はそれぞれ5.4%、13.0%となっている(Table B2.3, Table B4.1)。

◆・・・しかし在学者一人あたりの教育支出は増加しており、特に高等教育において増加が著しい。

2009年において、日本の初等教育から高等教育段階までの在学者一人当たり年間教育支出は、10 035米ドルであり、OECD平均の9 252米ドルを上回る(Table B1.1a)。これは主に、日本の高等教育段階における教育支出(在学者一人当たり年間15 957米ドル)がOECD平均(13 728米ドル)に比べ高いことによるものである。しかし、初等教育、中等教育、及び高等教育以外の中等教育後の教育段階(8 502米ドル)においては、OECD平均(8 617米ドル)と同等の水準となっている(Table B1.2)。2005年から2009年の間の高等教育段階における学生1人当たりの教育支出が13%増加している一方、初等教育、中等教育、及び高等教育以外の中等教育後の教育段階においては、5%しか増加していない。これらの傾向は、全体としてみれば、他のOECD加盟国とはほぼ逆の傾向であり、他のOECD加盟国では、高等教育段階の在学者一人当たり教育支出が9%しか増加していない一方、初等教育、中等教育、及び高等教育以外の中等教育後の教育段階においては15%増加している(Table B1.5a, Table B1.5b)。

◆日本の教育投資は私的部門に大きく依存している。
2009年における、日本の全ての教育支出に占める私費負担の割合は、31.9%であり、チリ、韓国に次いで3番目に高い。これは、OECD平均である16%の二倍近い数値である(Table B3.1)。なお、この数字には、日本において相当な額にのぼると推測される、学校外の教育にかかる家計負担は含まれていないことは特筆に値する。この比較的高い私費負担の割合は、特に、就学前教育(OECD平均が18.3%であるのに対し55%)及び高等教育段階(OECD平均が30%であるのに対し64.7%)において顕著である。さらに、これらの教育段階における教育支出全体に対して、就学前教育段階では38.3%、高等教育段階では50.7%が、家計負担から来ている(Table B3.2a, Table B3.2b)。


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