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原発ゼロへ エネルギー・環境戦略の策定にむけたISEP提言

 原発ゼロの社会を望む多数の国民の声に対し、あくまで原発に固執する政府のエネルギー・環境会議に提出された「原発をゼロにする場合の課題」。
その内容への反論・意見と、原発ゼロにむけ「原子力政策の抜本見直し」「省エネルギー(エネルギー効率化)」「再生可能エネルギーの本格的導入と電力システム改革」についての政策的提言。
 ブログには概略、政策提言詳細はHPより。
【「エネルギー・環境戦略策定」に対する意見 ISEP9/5】

【「エネルギー・環境戦略策定」に対する意見 ISEP9/5】

・概要
 国民の「少なくとも過半」(意見聴取会やパブコメ等では7~9割)が原発に依存しない「原発ゼロ」の社会を望んでいることが明らかになり、まさにその実現に向けたエネルギー・環境戦略の策定が求められている。ところが、9月4日に開催されたエネルギー・環境会議(第13回)の配布資料「エネルギー・環境戦略策定に当たっての検討事項について」(経済産業大臣提出)において「原発をゼロにする場合の課題」として示された4つの論点は、いずれもこれまでの原発推進を前提とした視点が数多く盛り込まれており、「原発ゼロ」社会の実現ための課題整理としてはいかにも非現実的かつ世論誘導型と言える。今こそ、「原発ゼロ」社会を目指すビジョンを示し、多くの国民が望むできるだけ早期の「原発ゼロ」の実現時期と、その実現に向けた具体的な戦略を国民の前に示すべきではないか。以下、この「原発ゼロにする場合の課題」の各論点への反論および意見を示す。

■ 論点1「関係自治体の理解と協力が得られなければ「即時ゼロ」となりうるリスクをどう乗り越えるか」

 その実現が困難になり、その存在意義が問われていた核燃料サイクル政策を継続し続けてきたことが問題であり、その中止に伴う課題は国と関係自治体との間でしっかり解決を図る必要がある。核燃料サイクルの意義として「再処理・高速炉利用によって、高レベル放射性廃棄物の体積を約7分の1に低減」とあるが、ガラス固化体だけを「高レベル廃棄物」と呼ぶのは詭弁であり、MOX使用済核燃料やTRU(超ウラン元素)廃棄物もある。さらに、「有害度が元の天然ウランと同じレベルになるために必要な期間か約10万年から約300年に短縮」や「将来、高速増殖炉サイクルが実現すれば、数千年間、ウラン資源を再利用可能」とあるが、それが全く実現できなかった国内外の歴史を見る必要がある。そもそも再処理・高速炉が実現できない現実を直視する必要がある。
 今後の使用済み核燃料の処理を含む原子力政策全般の見直しについては、下記のISEPからの提言を参照。

■ 論点2「原発ゼロによる国民生活への影響にどのように対処するか」

 「すべての原子力発電所の稼働なし」の場合「電力供給量の約3割が喪失し、需給がひっ迫」とあるが、今夏、全原発が止まっても需給の問題無しは証明ずみである。「燃料コスト増3.1兆円」は節電効果を見ない過大評価であり、だからといって不安全な原発を再稼働して日本が破滅するリスクとは比較不能である。
 「温室効果ガス排出量の増加」は原発過剰依存・石炭火力単調拡大してきたこれまでの政府の無策・不作為のツケ回しである。一層の省エネ、節電に努めれば、原発ゼロと温室効果ガス排出抑制は両立するのであり、この期に及んで、あたかもこれがトレードオフであるかのような見せ方をして温暖化対策を原発維持の口実に使うのは甚だ不適切である。2050年80%削減の長期目標を約束し、電力システムの再構築を最優先する方策も重要であり、業務部門や産業部門の省エネやエネルギー供給の分散化の進展を前提にすれば、さらなる温室効果ガスの削減が可能である(ISEPからの提言を参照)。

■ 論点3「エネルギーの選択肢として原子力を放棄した場合に不可逆的な影響が生じる経済、外交、安全保障問題にどのように対処するか」

 「核燃料サイクルを巡る日米関係」は何を言いたいか意味不明であり、現実には、大規模な使用済み核燃料再処理に固執する日本の姿勢が、韓国の再処理を誘引することに米国政府も懸念している現実がある。日本は早々に六カ所での再処理を放棄するべき(それでもなお東海再処理は当面残る)。
「化石燃料調達における交渉条件の悪化、地政学的リスク」は2030年時点の「原発ゼロ」(化石燃料輸入額16兆円)でも「原発15%」(同15兆円)でも大きな差はないにも関わらず、あたかも「原発ゼロ」だけが問題かのように強調するのは問題である。いずれのシナリオでもエネルギー安全保障や地球温暖化問題などの観点から脱化石燃料を目指すのは当然であり、エネルギー・システム全体の改革が求められる(詳しくはISEPからの提言を参照)。


■ 論点4「論点1〜3に対応した上で、国民と共有すべき中長期の道筋をどのように描くのか」

この中長期の道筋については、下記のISEPからの提言を是非、参考して頂きたい。

【ISEPからの提言】

2011 年3月11 日に、東日本を襲った巨大地震とそれに続く大津波の影響は、計り知れない被害をもたらした。なかでも東京電力福島第一原子力発電所は、巨大地震と大津波の影響で、全電源が失われた後に、冷却水の喪失から炉心溶融、そして大量の放射性物資の環境中への放出など、史上最悪の原子力災害という事態に陥り、今なお収束していない。放出された大量の有害な放射性物質は福島第一原発の周辺地域にとどまらず、広く東日本の広い範囲の土壌に沈着し、大気中の放射性物質は偏西風の影響などにより世界全体に拡散しており、海洋中に放出された放射性物質は太平洋全域に広がりつつある。

この深刻な原子力事故は複数の事故報告書での指摘にもあるとおり、これまでの日本の原子力・エネルギー政策とその実施過程での多くの過ちの結果であり、特に政官財が強固に結びついた「原子力ムラ」に代表される無責任体制が、いわゆる「安全神話」を作り出し、今回の重大事故に至った。その過程で地震や津波のリスクを無視した原発の建設および運転が各電力会社(沖縄電力は除く)で行われ、事業者からの自己申告に基づく安全審査だけで経済性を再優先して30年を超える長期間の運転を認めてきた。さらに高速増殖炉「もんじゅ」や六ヶ所村再処理工場などすでに破綻していた核燃料サイクルの各事業の実施を前提として、使用済み核燃料について非常にリスクの高い保管方法(使用済み核燃料プール)が各地で行われてきたが、その保管容量はすでに限界を迎えようとしている。

よって、これまでの原子力政策の過ちを真摯に反省し、国民の安全と安心を確保するには、現存する50基の原子炉の事故リスクを最小化するために2030年までの出来るだけ早期に原発比率をゼロとし、使用済み核燃料のこれ以上の発生を可能な限り止め、核燃料サイクルを即時中止する「ゼロシナリオ」が日本にとってただ唯一の選択肢である。かつその「ゼロシナリオ」の中でも可能な限り早期の脱原発が最も事故リスクを抑えることができるため、2020年までのできるだけ早い時期での具体的な脱原発(全原発の廃炉)の立法と工程の策定およびその確実な実施を求める。そして、核燃料サイクルを即時中止すると共に、直接処分を前提とした安全な乾式中間貯蔵のあり方などについて、早急な国民的な合意形成と、実施工程の策定、実施に向けた具体的な取り組みが必要である。

さらにこれまでの硬直的なエネルギー政策を根本的に見直し、原発の様な大規模電源に依存せず、電力・熱利用・輸送燃料を含む分散型へのエネルギー・システム全体の転換を実務的かつ中長期的な視点で目指すべきである。具体的にはエネルギー需要全体の根本的な見直しを行い、最終的なエネルギー需要を削減する省エネルギーを目標値を持って推進すると共に、集中型電源により失われてきた「発電ロス」を最小化し、エネルギー効率を最大化するための分散型の電熱併給システム(コジェネレーション)への転換、化石燃料の利用効率や再生可能エネルギーとの協調運転を可能とする高性能・高機能設備への更新、可変速揚水発電を含む水力発電の更新や最適化などを推進する。よって、2030年までの省エネルギーの政策目標としては、最終エネルギー需要で35%以上とし、省電力についても30%以上を目指す必要がある。これにより、温室効果ガスの排出量に大きな影響を与える一次エネルギー供給の量を2030年までに2010年比で4割程度(約40%)まで削減することができる。この様な適切な地球温暖化対策により温室効果ガス排出量についても2030年には40%以上の削減(1990年比)を目指すべきであり、日本としての国際的な気候変動対策への貢献として2020年においても温室効果ガス25%削減(1990年比)の目標は基本的に堅持すべきである。

再生可能エネルギー政策については、欧州の様に明確かつ十分に高い政策導入目標を設定し、その実現に向けた政策を立法して、着実に実施していく必要がある。「ゼロシナリオ」における2030年の導入量は発電量に対して35%だが、欧州各国ではすでに2020年の段階で30%を超える高い政策目標を掲げており、2030年の政策目標としては50%を超える目標が望ましい。実際には2030年までに30%の省電力が達成できる場合、再生可能エネルギーの総発電量は3900億kWh程度となり、「ゼロシナリオ」での再生可能エネルギー導入量の1割増し程度となり、総発電量に占める再生可能エネルギー比率50%以上は十分に実現可能な政策目標である。さらに長期的にはエネルギー安全保障(自給率)、化石燃料の限界や気候変動リスクを考慮して2050年頃までには電力・熱・輸送燃料を含む再生可能エネルギー比率を100%近くにすることも長期的な地域および国家のビジョンとして視野に入れるべきである。

再生可能エネルギーの本格的な導入拡大においては、電力セクターにおける送電網の中立・公正的な運用への組織変更(発送配電分離)や、卸電力の自由化と電力市場形成、電力小売全面自由化などがこれを後押しする。さらに、分散型の熱利用やコジェネレーションを導入し、地域分散型のエネルギー・システムへ転換することが必要である。輸送燃料については、都市計画や流通網など交通システム全体の根本的な見直しと共に、脱化石燃料への本格的な取り組みが求められる。2050年までの長期的なビジョンを睨み、少なくとも2030年頃までには石油に依存しない輸送・交通システムを確立している必要がある。

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