米干ばつに加え、豪西部、インド、ロシアでも
過去60年最悪の干ばつに見舞われているアメリカ。トウモロコシ、大豆、大豆ミールが史上最高値をつけ、小麦も08年以来の高値。豪西部、インドも「現状では過去最悪」の深刻な干ばつ。世界第三位の小麦輸出国のロシアも干ばつで在庫が低水準になっている。輸入規制の懸念がひろがっている。
ところで、日本の食料自給率は、カロリーベース39%(前年度と同率)、生産額ベース66%(前年度※から4ポイント低下)・・・「食料の安全保障」はどうなっているのか。
【豪西部の小麦生産が干ばつで危機に、9月末までに相当量の降雨必要 ロイター8/16】
【インド、深刻な干ばつの恐れ 食料インフレ加速か 朝日8/10】【ロシア国内農場の穀物在庫は06年以来の低水準、輸出規制の恐れも ロイター8/16】
【2011年 食料自給率 農水省】
【豪西部の小麦生産が干ばつで危機に、9月末までに相当量の降雨必要 ロイター8/16】[シドニー 15日 ロイター] オーストラリア最大の小麦生産・輸出地帯である同国西部が干ばつの脅威にさらされている。米穀倉地帯の大規模な干ばつやロシアの収穫高減少もあり、世界的な穀物供給懸念が拡大しそうだ。
予報では、豪西部の小麦地帯における乾燥状態は、十分な降雨パターンが戻るまで少なくとも短期的に続く見込みだ。
ウエスタンオーストラリア州では7月、いくつかの地域で記録的な低水準となる降雨量となった。アナリストらは、一段の悪化を回避するには、9月末までに相当な量の降雨が必要だと指摘している。
オーストラリアは世界第2位の小麦輸出国。政府は今年の小麦生産高について、前シーズン比18%減の2410万トンに落ち込むと見込んでいる。ウエスタンオーストラリア州は通常、豪全体の3分の1以上の小麦を生産している。
ラボバンクの穀物・油糧種子担当シニアアナリスト、グレイドン・チョン氏は「降水不足にさらされている農作物は非常に多い」と指摘。「あとは今月の残りと9月の状況次第だ。特に9月は重要になる。今後2カ月程度にかけて相当な量の降雨が必要だ」と述べた。
世界第3位の小麦輸出国であるロシアの生産高も干ばつで減少しそうだ。
複数のアナリストによると、2012/13年の収穫高は2割減少し、約4550万トンになる見通し。ただ、ロシア穀物組合のトップは先週、輸出量は予想よりも拡大しそうだと述べた。
【ロシア国内農場の穀物在庫は06年以来の低水準、輸出規制の恐れも ロイター8/16】[モスクワ 16日 ロイター] ロシアの農業関連の調査会社ソブエコンは16日、国内農場の穀物在庫が需要増から歴史的な低水準となっており、輸出規制につながる恐れがあるとの見方を示した。
同社は国家統計局のデータを引用し、8月1日時点の農場の穀物在庫は1573万トンと2006年以来の低水準で、前年比では18%減少していると指摘。特に輸出業者からの需要が大きく、在庫積み上げに動いているという。
小麦の在庫は1061万トンと2003年以来の低水準を記録し、前年比では30%の減少。販売量は前年比で60%増加した。
主要輸出地域であるクラスノダール地方およびスタブロポリ地方では、穀物在庫が半減した
【インド、深刻な干ばつの恐れ 食料インフレ加速か 朝日8/10】インドで少雨が続き、深刻な干ばつに陥る恐れが出てきた。北部の穀倉地帯などが不作になれば国内の食品価格が急騰しかねない。米国でも干ばつが広がる中、世界的な食糧インフレが加速する可能性もある。
インドの雨期は6~9月。地方によっては例年より3~5割も降水量が減り、コメや豆類など初冬に収穫する農作物の作付けが減っている。パワル農業相は「現時点で(過去40年間で最悪の干ばつだった)2009年より状況は悪い」と発言。野村インドは、今年度の穀物生産が前年度より8%ほど減ると予測する。インドが農作物輸出を制限したり輸入を増やしたりすれば、国際価格を押し上げるおそれがある。
インドの1~3月期の実質経済成長率は前年同期比5.3%とリーマン・ショック後より低い水準。一方、折からの通貨ルピー安で原油など輸入品の価格が上がり、卸売物価指数の前年同月比の伸び率は7%台に高止まりしている。雨不足は、消費を鈍らせるインフレの火に油を注ぎかねない。(ニューデリー=庄司将晃)
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