原発ゼロ・自然エネルギーいかす地域・自治体づくり 自治労連・提言
自治労連の提言。基本条例、基本計画の策定、住民支援、自治体直営の取組み例など、まちづくり、むらづくりの一環として自然エネを位置づける自治体の取組みが整理されている。全体は23ページになるが、自治体の具体的とりくみ部分の整理。
また、長野県大町市、岩手県葛巻町を例に取組みと課題の分析、全国各地、首都圏の事業者の取組みなども紹介されている。
【原発ゼロ、再生可能エネルギーをいかす地域・自治体をつくるために 自治労連・提言8/15】
なお、立地自治体の対策として、「原発ゼロと雇用問題について」
“、原発廃炉には最低20年間にわたる膨大な作業が必要です。廃炉作業を進めながら、再生エネも含めた新たな雇用の場を創出することが求められます。
現に2011年5月に運転を停止した浜岡原発を抱える静岡労働局では、電力会社等の人事担当者らにヒアリング調査した結果、原発労働者は中部電力が800人、協力会社・関連企業で2千人の計2800人について運転停止後も原発の維持管理などで、雇用は基本的に維持する方針との説明を受け、「運転を停止しても維持管理が必要で、雇用や地域産業の影響はあまり生じない」との見解を示しました。”
と説明。また財政支援についても使用済核燃料の管理など廃炉に至る過程での一定の支援の必要性にも言及している。
≪自治体として再生可能エネルギーを推進するための提案≫
◆自治体が「再生可能エネルギー推進条例(仮称)」を制定して、次のような取り組みを実施する。
再生エネを推進する事業は、地産地消、地域循環のまちづくり・むらづくりの一環として進める。地域の合意を得て小規模・分散型で進めなければなりません。手間をかけ、地域で細めに再生エネを広げる取り組みは、営利を目的にした大企業では担えません。
◆基本計画の策定
基本計画を策定します。計画には、少なくとも次の事項を定めることが必要です。
① 基本理念、目的
「原発ゼロ」「地域経済の振興」、「地球温暖化防止と環境保全」、「住民の安全・安心の確保」、「住民・地元事業者主体」など、再生エネを推進する理念、目的など。
② 住民・地元事業者との連携と取り組みへの支援方針
③ エネルギーの地産地消、CО2削減の目標設定(○○年までに○○%に)
④ 地域整備計画…………自然環境、住環境、地元産業、景観等に配慮し、住民・地元事業者の合意で進める発電施設等の設置計画など
⑤ 地域経済振興策………地域の中小商工業、農林水産業、観光業などの振興、雇用の拡大と結び付けた事業の策定
⑥ 地球温暖化防止、CО2削減、省エネ、省電力化の取り組み
⑦ 環境教育(学校、保育所、幼稚園、社会教育などでの環境教育事業)
◆自治体に担当部署、専任の職員を配置。関係機関と協力した資源の調査・発掘
◆ 住民、地元事業者の取り組み支援
① 再生エネ事業を担う主体づくりを行うこと。
住民や地元事業者が主体となって、再生エネ事業を推進する組織が設置されるよう援助し、自主的な活動が促進されるように、自治体として必要な支援を行います。自治体は、住民・地元事業者が主体となる組織と連携、協力をして再生エネ事業を推進します。
② 地元事業者が、再生エネ事業を担えるように技術、人材育成などの支援を行うこと。国、都道府県、民間専門研究機関とも連携・協力して地元事業者への支援を行うこと。
③ 各種許可に関わる行政手続の支援を行うこと。
(ⅰ)再生エネの事業を進める住民・地元事業者へ、各種の許可申請(電気事業法に関わる申請、水利使用許可申請など)、発電所等の設置に関わる地域住民・利害関係者との調整など行政手続きに関わる支援を行うこと。
(ⅱ)自治体が所有する行政財産の目的外使用許可、施設の貸与を行うこと。普通財産の貸付を行うこと。
④ 住民、地元事業者の負担を軽減する財政支援を行うこと。
住民や地元事業者が初期費用の負担を少なくして、再生エネをいかす電力施設を設置できるように財政支援を行うこと。
(ⅰ)事業の初期投資等に対する補助を行います。融資などの支援も信用金庫など地元の金融機関と連携して行うこと。
(ⅱ)太陽光パネルを自治体として一括購入し、単価を低くして、住民に安価な価格で提供すること。
(ⅲ)住民が発電した電力を自治体が購入し、自治体の施設等の電力に使用すること。
(ⅳ)再生エネ設備の設置やメンテナンス工事等に地元業者を利用する住民に補助を行うこと。
(ⅴ)キューピクル(電力会社との契約が50kWを超える契約となる場合、設置する必要がある変電設備)の設置や保守点検に関わる補助などの支援を行うこと。
◆ 自治治体の入札・契約を活用した支援。
(ⅰ)再生エネに関わる自治体の設備工事やメンテナンスなどに、地元の事業者を優先して発注すること。
(ⅱ)総合評価型入札を活用し、省エネ、再生エネ活用を積極的に進める地元事業者を有利に評価する制度を設けること。
◆ 農林水産業を支援し、再生可能エネルギーを推進。
①バイオオマス・エネルギーを活用した再生エネ施策を進めること。
畜産廃棄物、間伐事業と一体での木材や藁などの有機物から発生するバイオマス・エネルギーを活用する。
②未利用農地を活用し、住民・地元事業者が主体となって発電施設を設置。
政府は、遊休荒廃農地など未利用農地の転用を簡易に進める「規制緩和」を行い、大企業の参入を促進して大型メガソーラー施設などの設置を進めようとしている。地域の農業振興計画や地元住民の意向に配慮をせず、外部からの企業誘致で事業を進めるやり方には歯止めが必要。一方で、遊休荒廃農地を放置したままでは農地全体の荒廃にもつながる。
未利用農地は、食料自給率の向上をめざし、農地として活用するための対策が前提。牧草地や景観形成作物地などにすることとあわせ、当該の農地に地元の住民、農業従事者が主体になって太陽光や小水力などの小規模発電施設を設置できるように援助をすることも考えられる。
荒廃が著しく農地として回復する見込みのない未利用農地については、農業委員会の適切な判断のもとに転用を行い、地元住民・事業者が主体となる小規模発電所を設置することも考えられる。農業委員会は、自治体の農業振興計画や環境、景観との整合性をもった未利用農地の再生エネ事業への活用について建議し、住民・地元事業者主体で事業が進められるように援助するなどの役割を発揮することが期待される。
◆自治体として省エネ、省電力化を進める。
◆自治体の施設等を活用し、直営による事業の促進
省エネ化と電気料金の節約、電力の地産地消の推進と地域経済の振興、災害など非常時での対応に役立つ。
① 庁舎、図書館、公民館、市民会館、保育所、幼稚園、小中高等学校、大学、学校給食調理施設、公立病院、福祉施設、公営住宅など公共施設への太陽光発電施設の設置。
② 上下水道施設を活用した小水力発電。
③ 廃棄物処理施設などで発生する熱エネルギーを活用した発電。
④ 自治体が所有する普通財産を活用した発電。
◆地域の環境教育とCО2削減の取り組みと結合
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