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ゼロシナリオ圧勝。「再稼働不要」も日々実証~ 脱原発こそ「決める政治」を

 再稼働しなくても電力は足りることが日々実証され、政府主催の「意見聴取会」で「原発ゼロ」が72%と圧勝。
 5月の推計と7月の実績を比べると供給で405万kW増、需要で306万kW減、計711万kWと大飯3・4号機の3倍増となる。
 さらにリスク管理として、中国電力と中部電力からピーク時に150万kWの融通をうけるが、両社の揚水発電は210万kW、460万kW。フル活用で融通受ければ問題ない。
“国民の負託にこたえるのが「決める政治」ではないか”とダイヤモンドオンラインのコラムは指摘する。
【関電「電力不足予測過大だった」 大飯3・4号機の3倍増 京都民報8/11】
【エネルギー政策意見聴取会に大飯原発再稼働 予想外の展開に浮足立つ政府と官僚 高橋洋一 [嘉悦大学教授]8/9】

【関電「電力不足予測過大だった」 大飯3・4号機の3倍増】

◇大飯原発3、4号機(237万キロワット)

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◇電力需給予測(5月18日発表)と、今夏データ(7月1日~8月6日)の比較。
・供給  揚水発電 223万キロワット(予測)→448万キロワット(7月6日)
他社・融通電力644万キロワット(予測)→742万キロワット(4日)
水力203万キロワット(予測)→285万キロワット(7月17日)
計405万キロワット電力供給量増
・需要 2987万キロワット(予測)→ 実際の最大需要(4日)2681万キロワット
306万キロワット需要減
◇計711万kWの余裕(大飯3.4号の3倍) ~ なお、関電側は需要予測データ「2010年並みの猛暑」/ 今年の猛暑日(35度以上、6日まで)は13日間、2010年の14日間とほぼ同等の「猛暑」。
(京都民報より)

【エネルギー政策意見聴取会に大飯原発再稼働  予想外の展開に浮足立つ政府と官僚 高橋洋一 [嘉悦大学教授]8/9】

 原発関係者が参加していたことで、「やらせ」と大批判を受けた聴取会(正式にはエネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会)。国民的な議論が必要とされ、全国10ヵ所で8月4日まで行われた。
 そもそもこの種の聴取会とは、どこまで意味があるのか。一応、国民の意見を聞いていますよというポーズにしか思えないという意見も多い。関係者が参加していようと、いまいと、いずれにしても「やらせ」みたいなものなのではないのかとすら思えてくる。

◆ゼロシナリオの圧勝に政府は大あわて

 この種の「官製審議会」方式は結論を誘導するようになっているという疑惑がある。政府案では2030年の電力に占める原発の割合について、「0%」「15%」「20~25%」の三つの選択肢を掲げていた。もちろん、2030年ではなく2020年に前倒しや、即時原発停止という意見もあるだろうが、そうした選択肢は作られていない(途中から三つのシナリオ以外の意見も述べることができるようにあったが、選択肢は三つのままだ)。
 役所で三つのシナリオを作る場合、真ん中に落とし込みたい意図がしばしばある。ところが、エネルギー問題では、それに反し、両極端であった。10ヵ所の聴取会での意見表明者を集計すると、「0%」1035人、「15%」158人、「20~25%」237人。それぞれの比率は72%、11%、17%と「ゼロシナリオ」が圧倒的に多かった。それにもかかわらず、それぞれのシナリオで同じ人数の意見表明をさせていたのは、「ゼロシナリオ」を不当に扱っていたといわれても仕方ないだろう。
 この数字をみたのであろう。あわてて、野田首相は「ゼロシナリオ」の実現に向けた課題を関係閣僚に指示した。2030年とまだ18年先であるので、その時に原発ゼロのシナリオを作るのは難しくない。枝野幸男経産相は、7日、原発依存度を2030年時点でゼロにすることについて「日本経済にマイナス(の影響)と思っていない。やり方を間違えなければ、むしろプラスだ」と述べた。理由として、太陽光など再生可能エネルギー・省エネ設備の導入による内需拡大、技術開発に伴う国際競争力向上を挙げている。

◆国民の負託にこたえるのが「決める政治」

 ここでは、頭の体操として即時ゼロの可能性を考えてみよう。今動いている原発は関西電力の大飯原発の3・4号機だけだ。要するに、即時原発ゼロは、原発再稼働するかどうかである。
 関西電力大飯原発3・4号機の再稼働では、まず再稼働ありきで、電力供給を増やす電力自由化に真剣に取り組んだ形跡はない。恫喝的に電力不足を煽る一方、世界標準の安全基準を取り入れず、2日で作ったとされる暫定基準で、しかも専門家の意見はどこにいったのか、官僚のシナリオどおりに素人大臣だけで、6月16日再稼働を決定するという暴挙だった。
 そもそも、こうした重大な話は政治問題にして、国民に信を問う形で選挙で決着すべきだ。消費税増税も同じだが、原発再稼働も、「決める政治」と称しながら、官僚の既定路線を追認しているだけ。官僚の既定路線を追認するのが決める政治ではない。選挙で国民から「実行してほしい」と託されたことを決めるのが、「決める政治」なのではないか。

◆大飯原発の再稼働は必要なかったかもしれない

 ここで、関西の電力事情を見てみると、再稼働が本当に必要だったかどうか、ある程度の議論ができる。もちろん、これは現時点での結果論でしかない。血のにじむような省エネの努力の結果、1割近いエネルギー需要が減少したことの貢献は大きい。また、2ヵ月前に、将来を完全に予想することの難しさもあるので、軽々に判断はできない。しかも、まだ夏のピークは終わっていない。したがって、以下に述べることは現時点までの結果論であることに留意してもらいたい。
 もっとも、関西の電力事情を見ると、もし再稼働がなくても7月は乗り切れたのも事実であろう。これは毎日公表されている「でんき予報」の数字からいえる(毎日の最大供給力は、需要に合わせて調整されるので、当日と直近の最大供給力と原子力を除いた最大供給力を掲示している。図表1)。

 こうした実績に基づき、需要はダウン、供給はアップという形で需給見通しは改定されている(図表2)。どうも、電力が足りないというのは「恫喝」の側面がなかったとは、7月については言い切れないようだ。このまま、8月がどのようになるのか注目したい。
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 こうしたデータから現時点で推察されることは、もし万が一に備えるとしても、事前に100万kW程度の供給対策をしていれば、大飯原発の再稼働は必要なかったかもしれないということだ。
 そのための即戦力としては、中国電力と中部電力からの電力融通がある。今年もピーク時には両電力から150万kWの融通を受けている。中国電力と中部電力の揚水発電(夜間の余剰電力を使ってダムに水をくみ上げ昼間に発電する。電力を貯める仕組み)はそれぞれ210万kW、460万kWある。そのフル活用で、関西電力に協力することも考えられるからである。

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