TPP アメリカがカナダ・メキシコに「念書」~交渉参加なし
鈴木宣弘・東京大学教授は、日本はすでに昨年11月に参加の意思表示をしており、いま裏交渉で米国の要求する内容とのすりあわせがすすんでおり、その内容を米国が「妥当」と判断したら、野田首相があらたな「表明」をしなくても、明日にでも、米国が「日本の正式参加を認める」とアナウンスし決まってしまうという危険な局面にある。
5月7日に米国は10項目の自動車関連の要求事項を突きつけ、日本側も譲歩案を提示したことが判明しているが、説明をもとめる国会議員に政府側は、「何も説明できない」と繰り返すだけ、メデイアも報道しない。
「いま動かないと取り返しがつかない」と主張する。 政権打倒しかない。
全体は、24ページの長文で、様々な謬論も批判している。
「はじめに」の部分のところだけ引用。“国民無視の「ポチ外交」の暴走を許すのか 政策決定のプロセス”から最近正式参加した米とカナダ、メキシコの「念書」から交渉には一切口でしできない、という実態を暴露している。
◆必死で「入場料」を払っても、交渉の余地も逃げる余地もなし
・韓国は韓米FTAの交渉開始の「頭金」として多くの譲歩をさせられた時点で勝負は決まってしまったと悔やみ、日本に「この段階で食い止めないと取り返しがつかなくなる」と警告
・逆に、日本は無理な譲歩してでも早く入れてもらおうと必死に画策している・米国は「日本の承認手続きと現9ヵ国による協定の策定は別々に進められる」と言っている。
・米国は、メキシコやカナダの参加を認めたときに「念書」を交し、「すでに合意されたTPPの内容については一切変更を求めることはできないし、今後、決められる協定の内容についても、一切、交渉に口は挟ませない」ことを約束させている。
・日本政府の言う「とにかく入って、例外を作ればいいんだし、いやなら逃げればいい」というのはウソ。
裏交渉で多くの約束をさせられて参加すれば、交渉の余地も逃げる余地もない。
【TPP参加に向けての国民無視の暴走を止める 東京大学 鈴木宣弘 7/11】
◆はじめに-いま動かないと取り返しがつかない政局も流動的な中で、消費税、原発の問題がクローズアップされ、TPP(環太平洋連携協定)問題は動いていないかのように表面的に見えたのは間違いです。実務レベルでは、水面下で、米国の要求する「入場料」ないし「頭金」支払いの交渉は着々と進んでいます。
そして、ついに、TPPへの参加について、日本の決意表明を8月にも行う方針が決まったかのような報道が一部の新聞に出てきました。自動車については、ゼロ関税の日本市場に対して「最低輸入義務の台数を決めろ」というような米国の「言いがかり」の要求に必死の裏交渉で応えた成果が、米国が「とりあえず、このぐらいで許してやるか」という水準に近づいているのでしょう。実は、最も警戒すべきは、8月や9月でなくとも、いつ何時にも日本の正式参加が決まってしまう危険があるということです。日本はすでに2011年11月に参加の意思表示をしているのだから、日本が再度「決意表明」しなくても、米国が「頭金」を払ったと認めたら、日本の決意は示されたということで、明日にでも、米国が「日本の正式参加を認める」とアナウンスして、すべてが決してしまうかもしれないのです。米国が「決意を示せ」と言っているのは、何らかの機会に「入りたい」と日本が再度明言するという意味では必ずしもなく、自動車などの懸案事項に対して、しっかりと米国の要求に応える覚悟が示されるかどうかという意味です。
米国に対して必死の譲歩をして参加承認を画策しながら、政府は、5月22日の市民サイドの呼びかけによる集会でも、「日本のTPP参加と自動車、郵政、BSE問題などの問題は何ら関係がない」と口裏を合わせて答えました。しかし、そう言った数日後には、米国側の資料から、5月7日に米国からの使者が日本にTPP参加の「頭金」として10項目の自動車関連の要求事項を突きつけ、日本側からも譲歩案を提示したことが判明しました。そこで、国会議員の有志が説明を求める緊急会合を招集しましたが、政府側は、「何も説明できない」と1時間繰り返すだけで、何も語りませんでした。テレビカメラも回っていたのに、この様子は、地上波では、一切報道されませんでした。情報は隠すもので、出す内容はごまかすことしか考えていない政府に、「情報を出せ、ウソをつくな」と言っても無駄なので、もうやめましょう。とにかく、こんな国民無視の勝手な暴走を一日も早く止めなくては国がもちません。
反原発のデモも10万人を超える大きなうねりになって、報道せざるを得ない状況になってきました。TPPについても、国の将来に禍根を残さないように、早急に大きなうねりをつくり、一部の官僚、政治家、マスコミ、企業、研究者が国民を騙して、国を売り飛ばすような行為をストップさせなくてはなりません。ある県の青年農業者達が私に提案してくれました。「国会に座り込んでも事態は動かなかった。こんどはトラクターで国会に突入しようと思う。逮捕者が出たら、みんなでお金を集めて、一生のめんどうはみることにしよう。」
ともかく、まず、その切羽詰まった気持ちをみんなが共有すべきと思い、全国でこの話をしました。そうすると、ほとんどの農家や関係者のみなさんが、「そのときは、私たちも一緒に行くよ。その代わり、鈴木さんも一緒にトラクターに乗るんだろうね。」という話になりました。
こういう行動の是非に少し躊躇していた矢先に、フランス人の女性が、私のセミナーを聞きに来てくれていて、終了後に話す機会がありました。「日本人はおとなしすぎる。フランスを見て下さい。やるときは徹底しなくては。徹底すれば、政府は動かせる。」そうだ。我々は、中途半端なことをしていたのではだめだ。やるときは徹底しなくてはならない。さらに大きなうねりを一日も早く起こすときが来ています。「許せないものとは闘う」しかありません。
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