オスプレイ開発「不時着機能義務付けず」 米議会調査報告
緊急時に不時着できるオートローテーション機能を、開発の必要条件から削除--米議会調査局09年1月報告書が明かにしていた。
「ある」とパンフレットに書いている防衛省が、同機能を使用した際の移動距離のデータを把握していないのも当然といえる。「ない」のだから・・・ 防衛大臣は「勉強する」といっているが・・・
また、オスプレイの「長所」とされる航続距離の長さについても、海兵隊将校ら07年に論文で、危険をさけるため活用されてなく「最低」の評価となっている。
国民がこれだけ反対しているのに、拒否できない国って、世界の中にあるのだろうか。
【不時着機能義務付けず 02年開発推進時 沖縄タイムス7/19】
【防衛相「データない」 オスプレイ緊急時の自動回転飛行距離 琉球新報7/18】
【オスプレイ導入「最良でない」 海兵隊将校ら07年に論文で指摘 琉球新報7/15】
【不時着機能義務付けず 02年開発推進時 7/19】【平安名純代・米国特約記者】米国防総省が2002年、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのエンジンが止まった時に不時着ができるようにする「オートローテーション(自動回転)」機能を開発推進の必要条件から削除していたことが18日、分かった。米議会調査局(CRS)が09年1月にまとめた報告書のなかで指摘していた。当時、オスプレイの開発計画に携わっていた元米高官は沖縄タイムスの取材に対し「問題は認識していたが、海兵隊内部に計画の継続を望む声が強くあった」と述べ、01年の同時多発テロなどを背景に生産計画が継続されたとの認識を明らかにした。
オスプレイが実用段階に入る直前の2000年12月、乗員19人が全員死亡する墜落事故などが発生。このため、翌01年に飛行停止措置がとられ、4月にコーヘン国防長官(当時)が機体の不具合を分析する委員会を設置した。
しかし、同委員会は「根本的な欠陥はなく、開発中止の必要はない」(同委報告書)との結論を下し、後任のラムズフェルド国防長官(当時)は同年6月に02会計年度(01年10月~02年9月)に12機分の予算を計上。9月に同時テロが発生したのを受け、米議会もこれを承認していた。
その後、ボルテックス・リング(VRS)対策や油圧系統などを改良した後、02年5月に試験飛行を再開。その際、海軍省はオートローテーションなどの機能を必要条件から削除していた。計画継続を決定した当時の背景について、本紙の取材に応じた同高官は「海兵隊がテロとの戦いに(オスプレイの計画促進は)不可欠と強く主張していた。コスト面も購買方法を変更し、単価を下げることで議会側も納得した」などと説明した。
オートローテーションは、ヘリコプターがエンジン停止などの緊急時に風力で回転翼を回してつくった揚力で着陸する方法で、ヘリには通常その能力が備わっている。
米専門家らは、同機能を使用する確率は低いとしているが、04年8月の沖縄国際大学CH53ヘリ墜落事故では、「操縦不能となった後に同機能でサッカー場への着陸を試みたが、競技中だったため断念。大学構内に墜落した」(米海兵隊事故報告書)などと記述されており、オスプレイがヘリモードの場合には着陸の選択肢がないことになり、重大事故につながる恐れが懸念されている。
【防衛相「データない」 オスプレイ緊急時の自動回転飛行距離 琉球新報7/18】森本敏防衛相は17日、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備に絡み、墜落の危険回避のための機能「オートローテーション(自動回転飛行)機能」の到達距離について「(正確なデータを)持っていない」と述べ、安全性に関わる重要な情報を把握していないことを明らかにした。同機能を使用した際の移動距離は、緊急時に市街地などに墜落する危険性を回避できるかを測る指標となる。防衛省が発行した解説書は「緊急着陸の際、固定翼機モードで滑空するか、ヘリモードでオートローテーションを行う」と安全性を強調しているが、その根拠となる到達距離を把握していないため「説得力を欠いた説明」と言えそうだ。
解説書は「オスプレイの安全性」という項目で「飛行中に両方のエンジンが故障した場合、オスプレイはどうするのか」という質問を立て、それに回答する形で「滑空か自動回転飛行をする」と記している。
米国国防分析研究所のレックス・リボロ元主任分析官は、同解説書の記述について「通常のヘリに対して使われている説明だ」とオスプレイには当てはまらないと指摘し「オスプレイはオートローテーション能力が欠如している」と防衛省の説明を否定。
開発社のベル・ボーイング社も、緊急時に「オートローテーションに頼らない」とオスプレイのガイドブックに明記しているなど、同省の解説書の内容を否定する証言や記述は米国側からも複数出されている。
一方、現行機に関しては、防衛省が2007年8月に出した、沖国大ヘリ墜落事故後に実施された日米両政府の協議結果をまとめた資料に、高度330メートルを飛行時に自動回転飛行で750メートルの距離を移動できると明記されている。
森本氏は「滑空距離は固定翼機モードか垂直離着陸(ヘリモード)かで違う。オートローテーションはどれくらい滑空するのか、使わなければならない高度など、専門家の意見を聞きながら勉強しているところ。疑問があればアメリカに聞こうと思う」などと述べた。
【オスプレイ導入「最良でない」 海兵隊将校ら07年に論文で指摘 琉球新報7/15】【米ワシントン12日=松堂秀樹本紙特派員】垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの導入をめぐり、米軍内からも異論が出ている。海軍大学院大学(カリフォルニア州)に在籍していた海兵隊将校らが2007年に「傾斜式回転翼(ティルトローター)かヘリコプターか」という論文を発表。オスプレイと英海軍などが使用するヘリコプターのEH101との性能や費用対効果などを詳細に比較し、オスプレイの航続能力などを疑問視し「総合的に判断し、海兵隊が必要とする中規模輸送機として最良の選択ではない」と結論付けていた。
論文は海兵隊のストーザー、空軍のザモラ、海軍のデイ氏の3人の少佐の共著。経営学修士(MBA)の評価法を用いて「先入観を排除して」オスプレイ導入が最善の選択か、分析することが目的としている。
日本政府はオスプレイ配備について「(CH46ヘリと比べ)速度は2倍、搭載量は3倍、行動半径は4倍と高性能。抑止力が高まる」(玄葉光一郎外相)とし、脅威が高まっているとする中国や北朝鮮への抑止力を高めるとの認識を示している。
防衛省も同機の行動半径が尖閣諸島や台湾、中国まで達する図を作成。オスプレイが沖縄から近隣諸国に直接飛行するかのような印象を与えている。
だが、米軍幹部は論文でオスプレイのスピードを評価したものの、行動半径については「ヘリによる作戦はほとんど基地の直近で行われる」と指摘し、オスプレイの特長とされる長い行動半径を最低値で評価。さらに、オスプレイが飛行中に機体に付着する氷を取り除く除氷装置の不具合で過去に緊急着陸したことを挙げ「危険を避けるためオスプレイは長い行動範囲の航続力は活用せず、強襲揚陸艦で運ばれている」と指摘し、航続力が十分に活用されず、通常のヘリ同様、強襲揚陸艦に頼っていることを明らかにした。
幹部はオスプレイとEH101の機動力、生還能力、保全性、取得費などをMBA独自の評価法を用いて比較。スピードでオスプレイが勝るとしたものの「それで得られる効果はわずか」と指摘。兵員や貨物の搭載能力に類似性があるEH101は、英国やカナダ、イタリア軍などで運用されており、米大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」に選ばれた(現在は予算高騰で計画中止)ことを挙げ、「スピードは信頼性や保全性に相殺される。オスプレイは最良の選択ではない」と結論付けた。
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