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福島事故 国民の命より、組織の利益優先がもたらした「人災」 国会事故調 

福島原発事故を検証してきた国会事故調の報告書を公表。
 
報告書は、「(組織の利益を守る使命が)国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向をしりながらも、それらに目を向けず安全対策は先送りされた。」「この事故が『人災』であること明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」と断じている。
 なお、原子力防災について、全電源喪失の問題は「研究し尽くされていた。法律やシステム、マニュアルは完備していた」(松野元・元原子力発電技術機構・緊急時対策技術開発室長)、また国会でも追及されている。政財官が一体で「意図的に『無視した』」のであり、「人災」というより「犯罪」というべきだろう。
 以下は、「概要版」からの抜書き。
 【国会事故調 報告書公表】
【「格納容器は壊れないことにする」~推進のロジックが葬った「原子力防災」の知見(メモ)】 

国会 なお、時事の記事のタイトル「福島原発事故は「人災」=官邸の介入批判-電力会社の監視求める・国会事故調報告書 時事7/5」は、報告が強調している「人災を特定個人の過ちとする限り問題の本質の解決にはならない」という立場と相容れない。

  深層防護ができていないにも関わらずなしくずしの再稼動をすすめた野田政権、国会事故調の報告もまたず、民自公の談合で、さっさと新規制庁の枠組みをつくったことが、報告が指弾する「国民の命より、組織の利益優先」そのものである。

◆はじめに

 「事故は終わっていない」からはじまり、根本的原因として、政財官が一体となり、国策として進む中で、「規制の虜」が生まれた。
 「(組織の利益を守る使命が)国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向をしりながらも、それらに目を向けず安全対策は先送りされた。」「この事故が『人災』であること明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」と断じている。

◆事故の根源的原因として

 「当然備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかった」。
 「深層防護について5層のうち3層までしか対応できてないことを認識しながら黙認してきた。」「事故は防げた可能性がある。」
 「何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局(メモ者 自公政府の意思で)及び東電経営者が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは事故の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策がとられないまま3.11を迎えたことで発生したものであった。」

 「東電は新たな規制が導入されると、既設炉の稼働率に深刻な影響を生ずるほか、安全性に関する過去の主張を維持できず、訴訟などで不利になるといった恐れを抱いており、それを回避したいという動機から、安全対策の規制化に強く反対し、電気事業連合会を介して規制当局に働きかけてきた。」

 「保安院が原子力推進官庁である経産省の組織の一部であったこと等から、安全について積極的に制度化していくことに否定的であった。」

 「東電は、市場原理が働かない中で(メモ者 地域独占)、情報の優位性を武器に電事連等を通じて歴代の規制当局に規制の先送りあるいは基準の軟化等に向け強く圧力をかけてきた。この圧力の源泉は、電気事業の監督官庁でもある原子力政策推進の経産省とま密接な関係」と癒着構造を指弾。


 「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電気事業者の『虜』」になっていた」などを指摘し「明らかに人災であった」と認定。

◆「直接的原因」

「安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えない」、地震による損傷の可能性を「否定できない」としている。

◆「運電上の問題の評価」

「シビアアクシデント対策がない場合、全電源喪失状態に陥った際に、現場で打てる手は極めて限られていることが検証された」と、「運転員、作業員個々の問題に帰するのではなく」と備えの欠落そのものを最も大きな問題と指摘している。

◆『緊急時対応の問題』

「官邸、規制当局、東電経営陣には、その準備も心構えもなく、その結果、被害拡大を防ぐことはできなかった」と指摘。
  官邸に寄る直接的介入については「重要な時間を無駄にするというだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果になった」「重要なのは時の総理の個人の能力、判断に依存するのではなく、国民の安全を守ることのできる危機管理の仕組みを構築することである。」
 
 一方、東電については、後述の【事業者】の中で、「シビアアクシデントによって、周辺住民の健康等に被害を与えること自体をリスクとして捉えるのではなく、シビアアクシデント対策を立てるにあたって、既設炉を停止したり、訴訟上不利になったりすることを経営上のリスクとして捉えていた。」
「現場の技術者よりも官邸の意向を優先した」「官邸の過剰介入を責められる立場にはなく、むしろそうした混乱を招いた張本人」。

 結論として「常により高い安全を目指す姿勢に欠け」「緊急時に、発電所の事故対応をしえ出来ない現場軽視」の姿勢は「原子力を扱う事業者としての資格があるのか」と疑問を呈した。

◆「被害拡大の要因」

 避難指示が住民に的確に伝わらなかった点について「規制当局の原子力防災への怠慢」「当時の官邸、規制当局の危機管理意識の低さ」に求めている。

◆「問題解決にむけて」

「この『人災』を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはなら」ない。「関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱うものには許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先せず、組織の利益(メモ者 主要には、「事業者の最大の利益に傾注」)を最優先する組織依存のマインドセット(思い込み、常識)であった。」
 
 「規制する側とする側の『逆転関係』を形成した真因である『組織的、制度的問題』がこのような『人災』を引き起こした。」「この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替えた、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。」
 

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