女性の「非正規」過去最高の54.7% 正規12万人減・非正規18万人増 女性労働白書
厚生労働省の女性労働白書「2011年版(平成23年版) 働く女性の実情」によると
・正規は12万人減・非正規は18万人増、非正規の割合は、54.7%で過去最高
・子育て世帯の有配偶者の労働力率、10年前より大幅上昇
・出産後も継続就業する妻の割合 1980年代後半よりも低い38.0%
正規の継続就業は上昇しているが、非正規は低下18%。その非正規が過去最高に
・子の出生後、「パート・アルバイト」として就業する者が多い
→ 改善されない出産・子育て環境。それでも、不況、全体的な賃金低下のもと、パートなどで家計を支えるに働く女性の増加 ・・・・ 保育所の待機児童が減らないはずである。
【「2011年版(平成23年版) 働く女性の実情」】
◆雇用形態 正規は12万人減・非正規は18万人増
・就業者数 前年比1万人増2,523万人。完全失業者数 前年比11万人減
・雇用者数 2,237万人 前年に比べ8万人増加
・雇用形態 正規は12万人減・非正規は18万人増
非正規の割合は、54.7%で過去最高に
・家族従業者 前年比3万人減の141万人、 自営業主 前年比4万人減の134万人
→ 不況を反映した零細・中小業者の廃業。失業者減も、生活費を支えるために非正規雇用に流れているといえないか。正規減は、不況によるリストラに加え、出産・子育て環境の厳しさ、男性の長時間労働と家事参加の少なさが原因か。
◆労働力人口
・労働力人口 前年比11万人減の2,632万人。
・M字カーブの底の値は、0.9%上昇し、67.0%
労働力率 、「25~29歳」(77.2%)「45~49歳」(75.7%)が左右のピークとし、「35~39歳」を底となっている。
◆ 配偶関係別労働力率の変化~「25~29歳」、「30~34歳」の有配偶者の労働力率上昇幅大
10年前(2001年)比で
「30~34歳」 最も上昇(8.8ポイント上昇)しているが
これを配偶関係別にみると、
未婚者の労働力率 0.4ポイント上昇。
有配偶者 9.3ポイントと大きく上昇。
「25~29歳」の有配偶者の労働力率も10年前に比べ9.6ポイント上昇
→ 低下する賃金をパート、アルバイトで埋めあわせする、そんな姿が見える。M字の底が上がっているのは、決して「共同参画」の前進とはいえない。
◆出産後も継続就業する妻の割合
1980年代後半 39.0% 2000年代後半38.0%と微減。第1子出産前後の妻の継続就業は、依然として低い状況
◆第1子出産前後に就業継続をした妻の割合
「正規の職員」 1980年代後半40.4%→2000年代後半52.9%へ12.5ポイント上昇
「パート・派遣」 1980年代後半23.7%→2000年代後半18.0%
◆女性の再就職について
〜 就業状況の変化~子の出生後、「パート・アルバイト」として就業する者が多い
・出産1年前の母親の状況
「常勤」(32.6%)、「パート・アルバイト」(16.2%)、「自営業・家業、内職、その他」(5.7%)、「家事(専業)、無職、学生」(44.9%)
・出産半年後 常勤、パートとも大きく低下
「常勤」(16.0%)、「パート・アルバイト」(3.6%)と大きく低下。
「家事(専業)、無職、学生」74.0%
・子どもが9歳になった時点
「常勤」18.3%と微増
「パート・アルバイト」36.8%と大幅増
◆就業率と潜在的労働力率の差
「35~39歳」15.0%、「30~34歳」14.8%と大きく、働く意欲はあるものの就業に結びついていない者が多く存在し
ている
◆継続就業を困難にする要因~子育て期の男性の約5人に1人が週60 時間以上就業
・25~44 歳の女性の1週間の就業時間 /子育て期の女性の3-5割が短時間就業
週35 時間未満の就業の割合、
「25~29 歳」(26.5%)、「30~34 歳」(34.8%)、「35~39 歳」(43.5%)、「40~44 歳」(46.8%)
・25~44 歳の男性の1週間の就業時間
週35 時間未満の就業の割合は約1割程度
週60 時間以上就業している割合
「25~29 歳」(15.4%)、「30 ~34 歳」(17.6%)、「35~39 歳」(19.0%)、「40~44 歳」(18.6%)。
◆6歳未満の子を持つ夫婦と子どもの世帯の家事・育児・仕事時間
~家事・育児への夫の関わりは極めて低調)
・共働き世帯
妻の家事関連時間5時間37 分(うち育児時間2時間8分)、仕事等の時間4時間19 分
夫の家事関連時間59 分(うち育児時間30 分)、仕事等の時間は8時間43 分
・夫が有業で妻が無業の世帯
妻の家事関連時間は8時間40 分(うち育児時間3時間50 分)、仕事等の時間は2分
夫の家事関連時間は59 分(うち育児時間34 分)、仕事等の時間は8時間42 分
◆末子妊娠・出産時の退職理由
・「女性(正社員)」
「家事・育児に専念するため、自発的に辞めた」34.5%
「就業時間が長い、勤務時間が不規則」(26.1%)
「勤務先の両立支援制度が不十分だった」(21.2%)
「解雇された、もしくは退職勧奨された」13.9%
・「女性(非正社員)」
「家事・育児に専念するため、自発的に辞めた」48.1%
「体調不良などで両立が難しかった」19.0%
◆所定内給与額の男女間賃金格差
女性一般労働者(常用労働者のうち、短時間労働者以外の者)
所定内給与額(決まって支給する現金給与額から、超過労働給与額を差し引いた額)
前年比1.9%増 23万1,900円。
うち、正社員・正職員 2.0%増 24万8,800円、
正社員・正職員以外 同0.8%増 17万2,200円。
男女間の賃金格差(男性=100とした場合の女性の給与額)
一般労働者70.6(前年69.3)、正社員・正職員73.3(同72.1)、正社員・正社員以外77.5(同74.7)
→ 比率改善は、男性の賃金低下とのメダルの裏表の関係
正社員の周辺部分が減、その層が、常用雇用の非正規となり・・・未婚の女性が増え、常用雇用ではキャリアアップに伴う賃金上昇 と考えられるのではないか。
子育て期の女性の3-5割が短時間就業、というように、就業形態そのものに格差がある。
« 新・規制庁人事案 今度も原子力村では・・・ | Main | TPP アメリカがカナダ・メキシコに「念書」~交渉参加なし »
「雇用・労働」カテゴリの記事
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
- 最高裁元判事のコメント・考 ~「司法における固定観念化とジェンダー差別」克服の重要性(2024.05.04)
- 「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望(2024.04.25)
「ジェンダー」カテゴリの記事
- 24年9月 意見書決議・私案 「選択的夫婦別姓」「女性差別撤廃・選択議定書」(2024.09.05)
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 2405地方議員学習交流会・資料(2024.05.16)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
- 最高裁元判事のコメント・考 ~「司法における固定観念化とジェンダー差別」克服の重要性(2024.05.04)
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 女性の「非正規」過去最高の54.7% 正規12万人減・非正規18万人増 女性労働白書:
« 新・規制庁人事案 今度も原子力村では・・・ | Main | TPP アメリカがカナダ・メキシコに「念書」~交渉参加なし »
Comments