尖閣国有化 「冷静に平和的解決を」 沖縄の懸念 2紙社説
現地(県内)である沖縄の2紙が、冷静に、慎重に、知恵を絞った平和的解決を、と社説に掲げ、挑発的な対応を批判している。
「両国で偏狭なナショナリズムが台頭し、挑発的言動が繰り返されている。危険なことだ。… 中国を刺激し、反発を招く発言を続ける石原氏の振る舞いは、結果的に国益を損なっていまいか。」(琉球新報)
「石原知事の発言からは、外交センスもユーモアも感じられない。政治家としての資質さえ疑われる」(沖縄タイムス)
「尖閣をめぐって日中が武力衝突した場合、直接被害を受けるのは沖縄である。」(沖縄タイムス)。米軍基地が集中し、被害に苦しむ沖縄に、さらに負担と危険を押し付ける愚行は避けなければならない。
【[尖閣国有化]対立回避へ知恵を絞れ 沖縄タイムス7/10】
【尖閣国有化方針 冷静に戦略的互恵守れ 琉球新報7/10】
なお、以下の記事は重要である。
【尖閣国有化で説明求める 米国務長官、訪日の際に 産経7/11】【「尖閣、日米安保の適用範囲」と米国が見解強調 読売7/10】
見出しではわからないが、両記事とも、アメリカ国務省のベントレル報道部長が「米国は尖閣諸島の最終的な主権について(特定の)立場を取らない」、関係国が「平和的に解決するよう期待する」(9日の記者会見)との見解を示したことに触れている。
この方が重要である。多くの国民は知らないのではないか。見出しは「尖閣 米政府 『日本の領土』と認めず」だろう。
アメリカは、以前から尖閣の「領有権」について特定せず、同地域を「紛争地」と位置づけている。今は、日本が実効支配していて「施政権」が及んでいるので「安保」範囲という立場。だから、実効支配の実態がなくなると「安保」から外れる。という仕掛け。
尖閣問題で、アメリカは出て来ることはないだろう。 今やアメリカの支配層にとって、日本より中国の方が重要なのである(外務省世論調査)。
【[尖閣国有化]対立回避へ知恵を絞れ 沖縄タイムス7/10】尖閣問題は、沖縄にとって、自分たちの生活圏の問題である。尖閣諸島で最も大きい魚釣島の住所は、石垣市登野城2392番地。沖縄の人たちの中には「尖閣は誰のものでもない。沖縄のものだ」という意識が強い。
尖閣をめぐって日中が武力衝突した場合、直接被害を受けるのは沖縄である。漁業だけでなく、観光も壊滅的打撃を受けるだろう。離島の暮らしにも甚大な影響を与えるはずだ。
このようなぶっそうな話を持ち出すのは、尖閣諸島の領有権をめぐる問題が険しさを増しているからである。危険度は以前に比べ確実に高まっている。楽観は禁物だ。
政府は、沖縄県の尖閣諸島を地権者から買い取り、国有化する方向で水面下の調整を始めた。
尖閣諸島は五つの無人島と岩礁からなる。大正島は国有化されているが、魚釣島、北小島、南小島、久場島の4島は個人が所有しており、2002年から国が借り上げ、管理している。
今回、国有化を予定しているのは魚釣島、北小島、南小島の3島。どちらが「よりまし」かという点で言えば、東京都が購入するよりも、国が買い上げるのが筋だ。
ただ、尖閣国有化に対し、中国外務省は「必要な措置を講じ、断固主権を守る」と激しく反発している。国有化すれば中国は間違いなく対抗措置を打ち出すだろう。
両国が相手国の「意図」や「出方」を読み間違え、対応を誤ると、偶発的衝突が起きやすくなる。それが心配だ。
尖閣国有化を結果として後押ししたのは、東京都の石原慎太郎知事である。石原知事が打ち出した尖閣購入計画は大きな反響を呼び、都にはすでに13億円を超える寄付金が集まっている。
国有化に対し石原知事は、先に都が買い取って、そのあと国に引き渡したい、との考えを政府に伝えた。だが、石原知事の尖閣購入計画は、政治的に危うい要素を秘めている。
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」に赤ちゃんが生まれたというニュースは、多くの国民から歓迎され、子どもたちを喜ばせた。
ところが、どうだ。石原知事は「全然興味ない、あんなもの。『センカク』という名前を付けて(中国に)返してやるといい」と毒づいた。
その前の記者会見では、パンダに赤ちゃんが生まれたら「センセンとかカクカクとか付けてやったらいい」と言い放った。
石原知事の発言からは、外交センスもユーモアも感じられない。政治家としての資質さえ疑われるような八つ当たりだ。尖閣国有化について外務省は「所有権移転の問題であり、対外問題は生じない」と説明するが、知事発言が中国の国民感情を硬化させたのは間違いない。
尖閣問題が歴史問題、政治問題としての性格を帯びると、日中の対立は、抜き差しならないところまで進むおそれがある。
慎重さと知恵が必要だ。
【尖閣国有化方針 冷静に戦略的互恵守れ 琉球新報7/10】野田佳彦首相は、尖閣諸島(石垣市)を国有化する方針を固め、購入を表明している石原慎太郎東京都知事に伝えた。支持率低迷にあえぐ政権の浮揚につなげる思惑もあろう。中国は「日本のいかなる一方的措置も無効」と反発し、台湾も反発している。
日中の友好を深める好機だった国交正常化40周年は尖閣問題が影を落とし、両国関係は冷え切ったままである。
数次ビザ制度導入により、沖縄への中国人観光客が増えつつある中、日中友好の懸け橋を目指す本県にとって好ましい状況ではない。
国有化方針を聞いた仲井真弘多知事は戸惑いを浮かべ、「尖閣はもともと管理していた政府がきっちり管理して、周辺の安全確保をしていれば結構だ」と述べた。
現状の個人所有であっても政府が責任をもって管理し、不要な波風を立てないことが望ましいとの立場を示したものだ。
尖閣諸島が日本固有の領土であることは国際法上も、歴史的経緯からしても明白だ。
政府は「領土問題は存在しない」としつつ、あえて実効支配を示す港などの施設整備などの対応を取ってこなかった。1978年に日中平和友好条約締結のため、来日した■小平副首相(当時)と政府は、問題解決を将来に託した。
領土をめぐる感情的な対立で関係がきしむことを避け、両国は親善と経済交流の土台を厚くすることを優先してきた。
ここ最近の先鋭化しがちな嫌中国、反日本の世論が両国政府への圧力を強めることを懸念する。
石原氏が4月、地元沖縄の頭越しに東京都による購入計画をぶち上げて以来、両国で偏狭なナショナリズムが台頭し、挑発的言動が繰り返されている。危険なことだ。
上野動物園でのパンダ誕生をめぐり、石原氏は「『センカク』という名前を付けて返せばいい」と切り捨てた。中国を刺激し、反発を招く発言を続ける石原氏の振る舞いは、結果的に国益を損なっていまいか。
石原氏が主張する「尖閣諸島への自衛隊配備」に日本が踏み出せば、中国の知日穏健派の識者さえ、軍事的対抗措置に発展しかねないと危惧している。
声高な強硬派に押され、日中両政府は戦略的互恵関係の大切さを見失ってはならない。国連憲章にのっとり、あらゆる対立、摩擦も平和的に解決を図るべきだ。※注:■は「登」にオオザト
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