オスプレイ配備 米国の「使い走り」が、安保見直しの声を拡大
防衛大臣は、米国の「使い走り」「代理人」か・・・沖縄2紙の社説。知事でさえ「配備を強行した場合、(県内の米軍の)全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」と述べた。
【[オスプレイ配備通報]防衛相は「使い走り」か 7/1 沖縄タイムス】
【知事防衛相面談 配備拒否以外 道はない 琉球新報 7/2】
この問題は、安保そのものに向かわざるを得ない。
愛媛新聞は「外交上も米国追従でいいはずがない。政府は米国による今回の「オスプレイ配備押しつけ」を、日米安保体制の根本的な見直しと、主体的対米交渉を始める契機とするべきだ。」と社説。
【オスプレイ 配備中止し安保見直す契機に 愛媛新聞6/20】
また、危険性について、愛媛新聞は、「普天間から岩国に向かっていた米軍ヘリが伊方原発の南西1キロに墜落した1988年の事故が思い出される。まさに同じ線上をオスプレイは飛来するだろう」と指摘する。
原発ゼロとオスプレイ反対の運動が結びつく可能性がある。
【[オスプレイ配備通報]防衛相は「使い走り」か 7/1 沖縄タイムス】森本敏防衛相は、6月30日が沖縄にとってどんな日か、知っていたのだろうか。
自国民の不安や懸念をそっちのけに、防衛大臣が米国の「使い走り」をするようでは、世も末だ。
53年前の1959年6月30日、石川市(当時)の宮森小学校に米軍のF100戦闘機が墜落した。パイロットは墜落直前に脱出して助かったが、児童ら17人(後に後遺症で1人)が死亡、210人が負傷した。この事故は、今でも沖縄の人々の記憶に深く刻まれている。
宮森小では29日、追悼集会が開かれ、児童や遺族らが花や千羽鶴を手向け、黙とうをささげたばかりだ。
よりによって米政府は、追悼集会のあったその日に、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場への配備を通告した。
よりによって森本防衛相は墜落事故のあった30日に来県し、宜野湾市の佐喜真淳市長にオスプレイの受け入れを要請した。
おぞましい話である。政府は「CH46ヘリからMV22オスプレイへの通常の機種変更」だと説明するが、ことはそんな単純なものではない。
沖縄のすべての自治体議会がオスプレイ配備に反対し、決議や意見書を可決した。
米国でも日本本土でも受け入れられないことがなぜ、沖縄だったら許されるのか。
党派を超え、年齢を超え、職業を超え、多くの人たちがオスプレイ配備に怒りを募らせているのは、そこに、米軍基地をめぐる構造的差別の存在を感じているからだ。
オスプレイをめぐっては、米国内でも、さまざまな動きが浮上している。
安全性を疑問視する声は米軍関係者の中にも存在する。国防予算の大幅削減に取り組んでいる米議会も、オスプレイの安全性や保有機数などに不明な点がある、として海兵隊当局に情報公開を求めた。
4月のモロッコでの墜落事故も、6月のフロリダでの墜落事故も、最終調査結果はまだまとまっていない。
はっきりしないことがあまりにも多すぎるのだ。加害者は歴史を忘却しがちだが、被害の記憶は簡単には消えない。ましてやオスプレイの普天間配備は、沖縄にとって「今、そこにある脅威」である。
信頼性の乏しい米軍の中間報告をひっさげて、のこのこ沖縄を訪ね、欠陥飛行場への欠陥機の受け入れを要請する―一国の防衛を預かる大臣が、そんな政治感覚しか持ち合わせていないことこそが危機的、というべきである。
公正な負担を実現するため、日本における米軍基地のあり方を根本的に見直す必要がある。
基地の管理権を日本側に移し、地元自治体との間で基地使用協定を結ぶこと。基地の自由使用を保障した諸取り決めを廃止すること。地位協定を改定すること。外務省や防衛省の米国寄りの基地政策を監視し、県民の人権や財産を守るための、駆け込み寺的な第三者機関を政府の中に設置すること、などを真剣に検討すべきである。
【知事防衛相面談 配備拒否以外 道はない 琉球新報 7/2】ガス抜きのつもりだったのだろうが、むしろガスは充満してしまった。県民の不満は爆発寸前。森本敏防衛相の来県が招いた結果はそういうことだ。
米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行の方針を伝えたが、仲井真弘多知事や佐喜真淳宜野湾市長の姿勢で、県民の拒否反応の強さを肌で感じただろうか。
森本氏がこのまま配備を是認するだけなら、米国防総省(ペンタゴン)の代理人にすぎない。大臣たるもの、自国民の意を受け、米側に配備中止を談判するのが務めであろう。直ちにその交渉に入ってもらいたい。
知事との面談で森本氏は、米国内の墜落事故の調査結果が出るまで日本での試験飛行は保留となったことを指し「米側も日本側の懸念に配慮した」と述べた。保留は当然、日本の空の使い方を決めるのは日本であるはずだ。それなのに、少々飛行を延期するだけのことをありがたがるとは何事か。
日米安保条約第6条に関する「岸・ハーター交換公文」は、「装備の重要な変更」は日本政府との事前協議の対象と規定する。オスプレイ配備はこれに該当するはずだ。そうであれば、配備の拒否も日本側の選択肢となる。
だが属国根性の染みついた日本政府は「装備の一部変更」という米側の主張をうのみにし、事前協議に持ち込もうとさえしない。
あまつさえ、森本氏は宜野湾市長との面談で「モロッコの事故は(中略)機械的な不具合、システムの不具合で起こったものではない」と米側の説明をオウムのごとく繰り返した。主体性を喪失した大臣の姿は、情けない限りだ。
同じ面談では「(オスプレイを)岩国にとどめ置く期間は8月まで」とも述べた。8月には普天間飛行場に配備するということだ。県民総ぐるみの反発を、力で押さえ込もうという宣言にほかならない。
仲井真知事は面談で「オバマ大統領か誰か知らないが、誰が責任を持つんですか」と述べた。
面談後にはさらに、「配備を強行した場合、(県内の米軍の)全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」と述べた。
県民の生命と財産を預かる知事としての、強い決意の表れと受け止めたい。それは、県民大多数の憤りをも代弁してもいる。政府も配備拒否以外、道はないと知るべきだ。
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