京滋知事の再提言「地元とし安全体制に参加を」「再稼働は逼迫時に限定」
「今夏の電力逼迫を理由に、再稼働に持ち込む」というもくろみは、電力のリスクマネジメントとして「限定的」と突きつけられたことで破綻した。結果として、原発に固執するのか、「ゼロ」「脱」「卒」へ転換するのか、という本質問題を浮上させることになった。また、福井県だけの判断で乗り切ろうとしたことも「国民の理解が前提」とボールをなげかえされた。、それは再稼働ノーの声の高まりが生み出した結果である。
また、これまで重視されなかった「地表のずれ」よる原発損傷の危険性も浮上。最新の知見をもとに、全原発での調査が必要と、専門家が指摘。たたかいはまたまだこれから。
10日、愛媛県庁包囲行動には、高知からバス6台など290名が参加する。
【大飯の限定再稼働要求=原発で7項目の再提言-京都・滋賀知事 時事6/6】
【京滋の知事、大飯再稼働で政府に再提言提出 京都新聞6/6】
【大飯原発、地表ずれる可能性 「早急に現地調査を」 専門家指摘 共同6/6】
【大飯の限定再稼働要求=原発で7項目の再提言-京都・滋賀知事 時事6/6】
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、京都府の山田啓二知事と滋賀県の嘉田由紀子知事は6日午後、大津市内で記者会見し、両知事が4月に行った共同提言への政府の回答を踏まえた7項目の再提言を、野田佳彦首相らに提出したと発表した。原発再稼働に関する政府の判断や安全の基準は暫定的なため、再稼働を電力需給の逼迫(ひっぱく)時に限定することなどを求めた。
記者会見で山田知事は「国民は今、安全性に大きな不安を感じている。首相は安全性を高めていく道筋をしっかり示し、判断してほしい」と要望。嘉田知事も「提言を出すということは、それだけ覚悟の表れだ。国から返答をいただきたい」と強調した。
【京滋の知事、大飯再稼働で政府に再提言提出 京都新聞6/6】滋賀県の嘉田由紀子知事と京都府の山田啓二知事は6日、大津市のびわ湖ホールで共同会見を開き、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、政府が示す「特別な監視態勢」に両府県を加えることなどを盛り込んだ「国民的理解のための原発政策への再提言」を発表、同日中に政府に提出した。
4月に共同提言した原発政策に関する7項目について、安全性の実現など政府の対策が十分でないことから、再度提出した。安全体制づくりに向けた地元自治体と住民参加の仕組みについては、原発から半径30キロ圏内の「緊急防護措置区域」(UPZ)に入る京都や滋賀の法的な位置づけが必要として検討を求めたほか、特別な監視態勢でも両府県を加えるよう強く要請。大飯原発再稼働を決めた政府の安全基準は暫定的と指摘し、「再稼働の時限は電力逼迫(ひっぱく)期に限定するのが筋」と強調した。
両知事の共同会見は4月の提言発表に続き2度目。事故で被害を受けるかもしれない地元として安全性を確保するのが狙い。監視態勢では福井県が両府県が入ることに難色を示しているほか、限定的再稼働では政府が否定的なため、あらためて見解を発表することで政府の判断を求める。
山田知事は「野田佳彦首相にはどう安全性を高め、脱原発依存への道筋を明確にしていくのか決意を示してほしい」と説明。琵琶湖を背景に嘉田知事も「決して福井県と対立するものではない。水も電気も供給側と使用する側は運命共同体だということをあらためて伝えたい」と述べた。
【大飯原発、地表ずれる可能性 「早急に現地調査を」 専門家指摘 共同6/6】再稼働問題で注目される関西電力大飯原発(福井県)で、敷地内を走る軟弱な断層(破砕帯)が近くの活断層と連動して動き、地表がずれる可能性があるとの分析結果を渡辺満久東洋大教授(変動地形学)と鈴木康弘名古屋大教授(同)が6日まとめた。渡辺教授は「原子炉直下を通る破砕帯もあり、早急に現地調査すべきだ」としている。
原子炉直下の破砕帯が動いて地表がずれると、安全上重要な設備を損傷させる恐れがあるため、原発の立地場所として不適格となる可能性もある。
経済産業省原子力安全・保安院は「既に専門家会議で破砕帯の活動性はないと評価済みだ」としているが、専門家会議委員で産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員は「大飯原発など若狭湾の原発は、現地調査であらためて状態を確認するべきだ」としている。
渡辺教授らが指摘したのは「F―6断層」と呼ばれる破砕帯。
1985年に関電が国に提出した大飯3、4号機の増設申請書によると、F―6断層は1、2号機と3、4号機の間の地下をほぼ南北に走っている。
当時の掘削調査で、坑内の南側壁面では断層の上を覆う地層が変形していないことなどから、関電は「国が原発の建設時に考慮するよう定めている、13万~12万年前以降に活動した活断層ではない」と判断。保安院も2010年に妥当と評価した。
これに対し、渡辺教授らは、同じ坑内の北側壁面の調査データなどを分析し、F―6断層が地層を上下にずらした可能性があると指摘した。
また、断層は粘土が混じって固まっていない可能性がある上、上部を覆う地層の年代も特定できておらず、活動が比較的新しい可能性もあると判断した。
さらに、F―6断層は海域などにある周辺の活断層と連動して動く可能性もあるという。
日本原子力発電敦賀原発(福井県)では、原子炉直下の破砕帯が動く可能性が4月、保安院の現地調査で判明。国の基準を満たさず、廃炉の可能性が浮上している。◎全原発で破砕帯調査を
【解説】原発の安全審査でこれまで国は、地震の揺れによる影響を重視してきたが、地表にずれを生じさせる破砕帯には注目せず、十分な調査も求めてこなかった。最近になって日本原子力発電敦賀原発で原子炉直下の破砕帯が動く可能性が判明しており、最新の知見に照らして全原発で破砕帯の調査をするべきだ。
大飯原発では1970年代の1号機建設の際、敷地内で多くの破砕帯が見つかり、関西電力は「F―6断層」を避けて原子炉を設置した。破砕帯は、断層活動で砕かれた岩石などが帯状に連なり、福井県の若狭湾周辺にある原発では敷地内に多く存在する。
敦賀原発では「ずれ方の特徴から古い時代の断層」「断層を覆う新しい時代の地層が変形していないので活動性はない」などとする日本原電の評価が妥当とされてきた。原子力安全・保安院の現地調査で評価が覆る可能性が出ているが、関電が大飯原発で行った調査や評価手法もほぼ同じ方法だ。
保安院がF―6断層を安全とする根拠も、基本的には80年代の掘削調査データなどで、古さは否めない。
保安院の専門家会議委員を務める産業技術総合研究所の杉山雄一(すぎやま・ゆういち)主幹研究員は「国の安全審査では事業者の調査データのすべてを確認しきれてはいない。全データの再確認や現地調査が非常に重要だ」と訴えている。◎考慮すべき断層はない
関西電力の話 大飯原発建設前の調査で破砕帯を確認しているが、破砕帯はいずれも非常に短いものだった。最も長いF―6断層については掘削調査などを行っている。その結果、地表をずらす破砕帯も含め、考慮すべき断層は敷地内にはないと考えている。国の耐震安全性確認の審議でも確認していただいている。
(共同通信)
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