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社会保障解体推進法案 ~民・自・公「3党合意」

  公約違反、密室談合による消費税増税と一体で、自民党の対案をベースにした「社会保障制度改革推進法案」は、人権としての社会保障を解体するとんでもない代物である。
  これを国会でまともに議論することなく、3党合意で押し付け、可決しようとする民主主義を否定する暴挙でもある。社会保障解体推進法案は 一般世間に全く知られていない。

【社会保障 ・税一体改革に関する確認書】.
【税関係協議結果】
 追記・・・日弁連の反対声明。 
【社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明 日弁連6/25】

【社会保障制度改革推進法案】

◇目的

「 受益と負担の均衡のとれた社会保障改革の基本的考え方を定め、社会保障制度改革国民会議の設置によりこれを推進する」

→ 障害者自立支援法で示された考え方。生きるために必要な措置も「受益」として、障害が重いほど負担が重い、という天下の悪法とお手本。


◇基本的考え方

「自助、共助、公助の最適バランスに留意し、自立を家族、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援する」

→ 憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という規定の否定。  
自己責任と相互扶助を基本に、国はそれを支援するだけ。社会権を否定した究極の「自己責任」論。


◇「年金、医療、介護では、社会保険制度を基本とし、国と地方公共団体の負担は社会保険料に関する国民負担の適正化に充てることを基本とする」

 → 民間保険と同様の「保険主義」が軸。 公費負担は、保険料負担の適正化(一部の低所得者対策)に限定。


◇「公費負担の費用は、消費税収(国・地方)を主要な財源とする 」

→ 公費負担の財源は 消費税収入の範囲内。 「社会保障切捨てか、消費税増税か」という悪魔の選択をの選択を国民に迫る仕掛け。


◇「公的年金制度」

「財政の現況および見通し等を踏まえて、社会保障制度改革国民会議において、結論を得る」
「社会保障番号制度の早期導入を実施する」
→ 番号制度は、財界が求める給付し過ぎを死亡時に清算する仕組みと連動。成りすまし犯罪など問題が多い。


◇医療保険制度

「財政基盤の安定化、保険料に関わる公平の確保、保険料給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図る」
→ 「療養の範囲の適正化」とは、風邪などは保険給付の対象から外すという流れのもの。混合診療の拡大。

「人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備する」
→ 医療費を削減するために、現在もおこなわれている医療から施設へ、施設から在宅へ。という追い出しの加速をするということ。


◇介護保険制度

「介護保険の保険給付の対象となる介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、低所得者をはじめとして保険料に係る国民の負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保する」

→ 「サービスの範囲の適正化」とは、現在すすめられている軽度者や生活援助などの保険給付外しの流れを加速するもの。


◇国民会議

「国民会議は、委員20人以内で組織し・・・内閣総理大臣が任命する」

→ 小泉構造改革の経済財政諮問会議などの再来。財界代表と御用学者によって、好き勝手に社会保障改悪をすすめる場となる。


◇消費税増税に対する低所得高齢者対策

消費税10%実施の2015年10月に、基準額として「月5000円」の「福祉的給付措置」を制度化。
対象は、「介護保険制度の保険料軽減の低所得者区分2の範囲等を参考に」

→ 非課税世帯の年金80万円以下の高齢者に限定に限定。しかも基準額月額5000円を年金保険料納付済み期間に応じて減額する(納付機関/480ヶ月。減免期間は、基準額の1/6で算定)

◇生活保護
 貧困の拡大、捕捉率の低さは問題にならず、0.数%しかない「不正需給」、稼働層の受給をことさらに問題視。


【子ども子育て新システムにかかわって】
・最大の問題である保護者の「直接契約」という仕組みは変わってない。
・長時間保育、短時間保育という認定の仕組みが変わっていない。
・保育料の徴収は、民間保育所だけは、市町村が徴収する。公立保育所は?
・認可制度を前提としながらも、「機動的に対応できる仕組みを導入」とし、「社会福祉法人、学校法人以外の者に対し」・・として株式会社の参入が許容されている。

【社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明 日弁連6/25】

 民主党、自由民主党及び公明党が今国会で成立を図ることにつき合意した社会保障制度改革推進法案(以下「推進法案」という。)は、「安定した財源の確保」「受益と負担の均衡」「持続可能な社会保障制度」(1条)の名の下に、国の責任を、「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み」を通じた個人の自立の支援に矮小化するものであり(2条1号)、国による生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、日本国憲法25条1項及び2項に抵触するおそれがある。

 すなわち、推進法案(2条3号)は、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料負担に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」として、年金・医療・介護の主たる財源を国民が負担する社会保険料に求め、国と地方の負担については補助的・限定的なものと位置付けており、大幅に公費負担の割合を低下させることが懸念される。

 また、推進法案(2条4号)は、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとするとしているが、財源の確保は、憲法13条、14条、25条、29条などから導かれる応能負担原則の下、所得再分配や資産課税の強化等の担税力のあるところからなされなければならない。

 さらに、推進法案(4条)は、新設する社会保障制度改革国民会議の審議を経て社会保障制度改革を具体化する立法措置を講じるものとしているが、社会保障制度改革をめぐる国民的議論は、全国民の代表である国会において、全ての政党・会派が参加し、審議の全過程を国民に公開すべきであり、内閣総理大臣が任命する僅か20名の委員による審議に委ねることは民主主義の観点から不適切である。

 最後に、推進法案(附則2条)は、「生活保護制度の見直し」として、不正受給者への厳格な対処、給付水準の適正化など、必要な見直しを実施するとしている。しかし、生活保護受給者の増加は不正受給者の増加によるものではなく、無年金・低年金の高齢者の増加と非正規雇用への置き換えにより不安定就労や低賃金労働が増大したことが主たる要因である。むしろ、本来生活保護が必要な方の2割程度しか生活保護が行き届いていないことこそ問題である。給付水準の見直しについては、最も低い所得階層の消費支出との比較により、保護基準を引き下げることになりかねず、個人の尊厳の観点からも是認できない。

 当連合会は、2011年の第54回人権擁護大会において、「希望社会の実現のため、社会保障のグランドデザイン策定を求める決議」を決議した。しかし、推進法案は、上記のとおり、社会保障制度の根本的改悪、削減を目指すものとなっており、当連合会の決議に真っ向から反する法案である。

 よって、当連合会は、今国会で推進法案を成立させることに強く反対するものである。

2012年(平成24年)6月25日

 日本弁護士連合会
 会長  山岸 憲司


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