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辺野古移設・消費税増税ノー 沖縄県議選

 与党の自公が21議席で過半数を獲得できず。民主は4から1へ。野党、中道系は27議席。
 辺野古移設を容認した候補は1人もいない。消費税増税も候補者63人中50人と8割弱が反対、当選議員では8割強となっている。これの選択を尊重するのが民主主義であろう。
【新しい県民代表へ/命と人権守る使命感を 普天間返還は超党派で 琉球新報6/11】
【[県議選]政治不信が噴き出した 沖縄タイムス6/11】

【新しい県民代表へ/命と人権守る使命感を 普天間返還は超党派で 琉球新報6/11】

 第11回県議選で野党・中道系が過半数の27議席を獲得し、与党少数体制の継続が確定した。
 2期目半ばの仲井真弘多知事は、多数与党を回復し執行部・議会で主導権を握る盤石な県政基盤の確立を目指した。しかし、有権者はこれを認めず、野党・中道系の意向をくみ取った、より民主的な県政運営を迫ったと言えよう。
 県議会には県民の生命、人権を守る使命がある。風雲急を告げる米軍普天間飛行場返還問題では、日米合意の辺野古移設とMV22オスプレイの沖縄配備の阻止へ向け、超党派で取り組んでほしい。

◆一体改革にも審判
 当選者の中で「辺野古移設」容認を表明した人は1人もいない。本紙取材で「移設先問わず」と答えた2人は普天間早期閉鎖を志向しており、回答保留1人を除き「辺野古移設反対」が県議会の意思であることは今後も変わらない。
 野党・中道系が過半数の県議会の継続で、国が仲井真知事に期待する「辺野古回帰」の可能性は完全についえたと見るべきだろう。
 野田佳彦首相は県議選の結果を重く受け止め、実現不可能な辺野古移設を断念すべきだ。普天間の県外・国外移設や閉鎖・撤去へ向け、対米交渉をやり直すのが筋だ。
 日米関係への県民、国民の信頼を取り戻し、持続的かつ友好的な関係を維持したいのなら、日米両国は公正でも民主的でもない「辺野古移設」の強要をやめるべきだ。沖縄に過重負担を強いる差別的な安全保障政策こそ、根本的に見直すときだ。

 国政の争点、消費税増税については、立候補者63人中「条件付き賛成」が12人、「反対」50人、「どちらともいえない」1人だったが、選挙結果は「反対」が当選者の8割超を占めた。
 この結果は、野田政権が進める社会保障と税の一体改革にも、厳しい審判を下したと言える。
 歴代政権は米国とともに、民主主義や自由、基本的人権の尊重、法の支配を普遍的価値として掲げてきた。しかしこの国の現実は理想に程遠く、むしろ非人道的だ。とりわけ普天間問題や「欠陥機種」MV22オスプレイの沖縄配備をめぐる政権の対応は民意無視が続き、理不尽極まりない。
 野田首相に問いたい。この国は本当に民主的な国か、自由と人権が尊重される公正・平等な社会か。
 沖縄社会は全国平均の7割の県民所得、2倍の完全失業率、県内全雇用者の40・8%を占める非正規雇用労働者、大学進学率36・9%(2011年度)の低迷などさまざまな格差、矛盾を抱える。県経済を活性化して雇用を創出し、140万県民が安心して住める社会をつくることが急務だ。

◆監視機能を厳しく
 10年先を見据えた沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」が本年度から始動した。
 過去40年の振計は国が策定したが、新計画は初めて県が策定した。従来の高率補助に替わり、使途の自由度が高い沖縄振興特別交付金(一括交付金)も措置された。
 県や県議会、市町村、経済界などが連携・協力して計画を実現していかねばならないが、とりわけ県には一括交付金の適正運用で自らを律し、成果を着実に挙げていく自治能力が問われる。
 いきおい県議会にも議決機能だけでなく、より厳しい県政の監視機能や政策立案能力が求められる。
 今年4月、議会の基本理念や議員の責務、知事と県議会の関係などを定めた県議会基本条例が施行された。条例前文は1879年の琉球処分以降の激動の歩みを概観した上でこう記した。
 「県民を代表する我が議会は先人らの深い郷土愛、英知と努力により、県民とともに苦難の歴史を乗り越え、再び戦争の惨禍が繰り返されることがないよう恒久平和の実現を目指し、現在に至っている」
 新議員には、知事と共に二元代表制の一翼を担う自らの使命を自覚し、本県の自治の確立に向けた役割と責務を全うしてほしい。


【[県議選]政治不信が噴き出した 沖縄タイムス6/11】

仲井真弘多知事を支える自民、公明県民会議、無所属の県政与党は、県議会の過半数を制することができなかった。立候補者の数を絞ったことが裏目にでた形だ。
 任期満了に伴う県議会議員選挙は、野党・中立系が2008年の前回選挙に引き続き、過半数を獲得した。改選前の議席は与党21対野党・中立系26(定数48、欠員1)。今回の選挙で与党は21議席にとどまり、野党・中立系の27議席に及ばなかった。
 野党・中立系が勝利したことは、仲井真知事の今後の県政運営に極めて大きな影響を与えることになるだろう。
 今度の県議選によって米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる官邸や防衛省・外務省のシナリオは、もろくも崩れ去った。
 宜野湾市長選に勝利し、その勢いで県議選の過半数を制することによって、仲井真知事が翻意する環境を整える―それが政府の目論見だった。だが、政府の読みは、沖縄の民意を無視した我田引水の議論と言わざるを得ない。
 そもそも、選挙期間中、辺野古への移設を「保留」とした1人を除いて、立候補者全員が与野党の別なく現行案に反対した。仮に与党が過半数を獲得したとしても、「辺野古ノー」の選挙公約は揺るがなかったはずだ。
 日米両政府は、この事実を重く受け止め、直近の民意に謙虚に向き合わなければならない。
 この期に及んで、民意を無視して「辺野古が唯一の解決策」などと言い張るのは、民主主義を冒涜(ぼうとく)するものだ。
 投票率は、過去最低だった前回の57・82%をさらに大きく下回り、52・49%にとどまった。
 那覇市の投票率は48・12%で、50%にも達していない。
この数字は深刻だ。
 普天間問題に対する有権者の関心は高かったが、争点にはならなかった。待機児童対策など切実な暮らしの課題についても、多くの候補者が公約に掲げたため、争点がぼやけ、違いのわかりにくい選挙になってしまった。
 「誰が勝っても変わらない」「政治家が考えるのは自分のことばかりで、どの政党もあてにならない」「候補者がどういう人かわからない」―選挙期間中、そんな冷めた声を何回も聞いた。
 選挙公約を守らない民主党政権に対する反発と、政党政治に対する不信が、投票率低下につながったのは間違いない。
 その意味で、今回の選挙の真の敗者は、政党政治そのものだともいえる。
 投票率の低下について、県議会の中に、外部委員を含めた検討機関を設け、早急に対策を講じるべきである。その試みは、議会改革にもつながっていくはずだ。
 仲井真知事はこの4年間、少数与党の悲哀を何度も味わってきた。重荷を背負った県政運営、議会運営がさらに4年、続く。
 野党の協力なしに政策を実現することはできない。そのことを前提にした、県執行部と県議会の新たな関係を模索する必要がある。

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