「限定的」を活かし原発ゼロへ~ 要は多数派の結集
関西広域連合が「暫定的」「限定的」との意見をついて、再稼働を政府の判断にまかせたことで様々な意見が飛び交っている。橋下市長の「事実上容認」や「敗北」の言葉を大手メディアが報じている。
再稼動に前向きな知事をふくむ関西広域連合として、声明を出すか、出さないか、の選択肢。その評価はいろいろあると思うが・・・ 原発ゼロへのたたかいは始まったばかりであり、国民は敗北していない。
【橋下市長、大飯再稼働「容認」の背景 TBS系(JNN)6/1】
行政論、運動論的に考えてみた。
少なくとも「暫定的な基準に基づく暫定的な安全判断」であり、夏場の関電内での電力不足へのリスクマネジメントとして「限定的」と言っている。再稼動反対の運動を大きくもりあげ、同時に、この内容を最大限に活用する必要がある。
安全性が確保されてないとの認識は一致している(そもそも確保されるのか、という原理的問題はあるが・・)。
電力も節電と広域対応で乗り越えられる可能性が示されている。が、「電力への不安」を抱える層がいるのも事実(フル稼働されている火力発電の突然の故障なども含めて・・・。ここは行政の立場として厳しい側面があるのは事実)。
和歌山県知事は「再稼動のリスクより経済のリスクの方が大きい」と発言している。
【経済影響額は2047億円 節電目標、達成できない場合試算 紀伊民報 5/29】
電力の供給と原発の安全性を天秤にかけるべきではない、というのは正論だろう。全力で節電でのりきり、あたらしいパラダイムへ転換させるチャンスというのも正論だと思う。
同時に、日々の生活をささえるため、ただでさえ厳しい営業をしいられている中小工場や停電が命にかかわる医療機関、自宅で酸素ボンベを使っている病人の不安もまた事実である。
その人に届く言葉をどう持つか、という問題がある、と思う(「不安」を煽っている政府が、パラダイムの転換の立場にたって力つくせば、不安も解消されるが・・・ )。
野田首相は、「再稼動」するならこの「暫定的」と「限定的」について態度を説明する責任が生じる。
とても説明できると思えないが・・・
それなしで再稼動を強行、またなし崩し的に再稼動を拡大すれば、国民の不信はさらに増大し、「夏場の電力不足が心配だから再稼動もあり」という「しかだかない派」も、原発ゼロの流れに大きく結集できる条件が拡大する。原発固執勢力の「電力や経済のことを考えない無責任な輩」という国民を分断させる攻撃は通用しなくなる側面も持つ。
また関西広域連合参加の自治体もさらに強硬に主張できる根拠となる(また、そういう立場を取らさないといけない)。
原発ゼロ派も色合いは多様(即時や10年以内とか)。そのもとで「原発ゼロ」への政治決断をさせる、という点で力をあわさないといけない、と思う。
すでに電力の地域独占に対し、広域対応、発想電分離、需要側のマネジメントなど、風穴もあけてきている。
「暫定的」「限定的」を、より多数を結集するためのハードルを突きつけた、というようにもっていかなくてはならない、のではないか。
「裏切った」とか、「それ見たことか」と論評していても一歩もすすまない。
原発ゼロの大きな戦線をきづくために、再稼動反対という正論の声の盛り上がりが土台となる、という形でリンクされている、と思う。
最後に決着をつけるのは国民のたたかい。誰かに委ねるものではない。味方を増やし相手を包囲するたたかいと思う。 財界の利益、アメリカの核戦略とリンクした原発政策のたたかいただからこそ、運動側も胆力ためされている、と思う。
【読売からの引用】橋下市長は声明発表後の報道陣の取材に、「僕は基本的には(再稼働を)認めません」としながらも、「知事、市長には(原発を)動かさざるを得ないという考えの人もいる。だけど、暫定的な基準に基づく暫定的な安全判断に過ぎないという考えは一致している」と語った。
仁坂吉伸・和歌山県知事は「再稼働のリスクより、経済的なリスクの方が重いと思う。計画停電になれば、経済はめちゃくちゃになる」と話した。
嘉田由紀子・滋賀県知事は「(再稼働に)慎重な姿勢は変わっていないが、国は既に再稼働を決め、細野大臣を送ってきた。それなら少しでも(再稼働を限定的にするという)取り分を取ろうということだ」とし、苦渋の決断であることを強調した。
【橋下市長、大飯再稼働「容認」の背景 TBS系(JNN)6/1】関西電力・大飯原発の再稼働について、大阪市の橋下市長は「うわべばかり言っていてもしかたがない。建て前論ばかり言っても。事実上の容認」と理解を示しました。およそ1か月前は「誰も安全だなんて言っていない。このまま進めるのは国家の重大危機」と述べるなど再稼働批判の急先鋒だった橋下氏。一転して容認した背景には何があったのか、橋下氏のブレーンに真相を問いました。
「うわべばかり言ってもしかたない。建て前論ばかり言っても。事実上の容認ですよ」(大阪市 橋下徹市長)
31日、関西電力・大飯原発の再稼働を容認すると明言した大阪市の橋下市長。野田総理も「最終的には私の責任で判断する」と発言していて、大飯原発の再稼働に向けた動きは最終段階に入りました。再稼働の容認を明言した橋下市長ですが、これまで原発の建設や再稼働には反対の姿勢を続けてきました。
「新規原発ないし原発の延長計画、これを府県民の総力で止めにかかる」(去年4月)
「誰も安全だなんて言ってない。このまま進めていくことは国家の重大危機だと認識」(4月)
ところが、5月に入ると橋下市長の発言に変化が見られるようになりました。
「もし再稼働ということがあるなら、動かし方。それは臨時なのかどうか、1か月か2か月か3か月か、そういう動かし方もあるのではないかと」(19日)
そして、31日・・・
「事実上の容認ですよ。この夏どうしても乗り切る必要があれば、暫定的な基準で暫定的な安全判断かもわからないが、もうそれは容認と」こうした発言の変化の背景や真意について、大阪市特別顧問の古賀氏は次のように説明します。
「きのうの段階で政府は絶対(大飯原発を)動かすことがはっきりしたので新しい段階に入った。あれこれ言い訳するのは潔くない。それよりはここで一回整理をして次の戦いに入っていこうと」(大阪市特別顧問 古賀茂明氏)
政府の試算で、大飯原発が再稼働しなければ電力が14.9%不足するという関電管内。原子炉2基をフル出力させるには6週間かかるため、夏の電力需要のピークに間に合わせるには今がギリギリのタイミングという事情もあります。
「『安全は万全なものではない、不十分だ』と政府に認めさせる。そういうものならば再稼働はフル稼働はあり得ない。どうしても足りない夏の間だけだと。9月には止めるんですねというところになんとか持っていきたい」(大阪市特別顧問 古賀茂明氏)
30日に開かれた関西広域連合の会合。関係者によりますと、非公開の部分で齋藤官房副長官から次のような発言があったといいます。
「もう決めます」(齋藤勁官房副長官)
「再稼働を決めるということか?」(出席者)
「そう理解していただいて結構です」(齋藤勁官房副長官)
出席者はこのやりとりで“政府が大飯原発の再稼働に向けて押し切ろうとしている”と判断。これまで再稼働に反対してきた関西広域連合でしたが、結局「限定的」という表現を使って、政府が適切に再稼働を判断するよう求める声明を発表しました。
「あくまでも暫定的、限定的。臨時的再稼働はやむをえないと言う方が気持ち的には近い」(滋賀県 嘉田由紀子知事)
「積極的な判断はこの(声明)中ではしていない。(夏の)需給をにらんだ暫定的、限定的な稼働」(京都府 山田啓二知事)
再稼働に向けた手続き。次に福井県議会とおおい町が同意すれば、最終的に福井県知事が判断します。おおい町では・・・
「安全さえきちんと守っていただければ、私は賛成ですけど。事故だけはちょっと・・・小さい子がいるので」(住民)
政府は、福井県知事の理解が得られたと判断すれば、来週改めて関係閣僚会合を開き、再稼働を決定することになります
【経済影響額は2047億円 節電目標、達成できない場合試算 紀伊民報 5/29】和歌山県の仁坂吉伸知事は29日、今夏の節電対策について、家庭やオフィスで15%以上の節電ができない場合、産業部門で27%以上の節電が必要になり、経済影響額が2047億円に上るという県の試算を示した。仁坂知事は「節電を説得して誘導するだけでは15%を達成できないのではないか」と懸念を示した。
仁坂知事が定例会見で説明した。県は昨夏、節電のための行動計画を設けて、家庭やオフィスで前年比10%以上の節電を求める対策を実施。産業部門に対しては生産活動維持のため目標値を決めなかった。
県によると、関西電力和歌山支店管内の節電率は家庭用で8・1%、オフィスなど業務用で9・3%、産業用で4・9%だった。気温の影響を考慮すると、実質的な節電効果は家庭で約3%、業務用で約5%だったという。
政府は関電管内で7月2日~9月7日の午前9時~午後8時、2010年夏より15%以上の節電を要請するとしており、仁坂知事はこの節電目標を達成するには家庭で昨年実績の5倍、オフィスで同3倍の取り組みが必要だと説明した。
その上でオフィスや家庭で昨年実績2倍の節電効果があったとしても、産業部門で27%の節電が必要になるとし、生産調整して節電を行うと、経済波及効果も含め、県内全体で生産額が2047億円の減少になるという見込みを示した。
県は今後、具体的な節電対策をまとめた行動計画を策定する予定。仁坂知事は「すべての人が15%の節電に取り組まなくてはならない。県民の皆さんにできる限り情報を知ってもらい、それぞれの対応を期待したい」と述べた。
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