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2012年度介護報酬改定の特徴(メモ)

 介護保険改悪の県下での影響を聞き取り調査するための基礎資料として、介護報酬の改定内容とその後の動きも含めた、私なりの「整理」。
 元資料は、大阪社保協介護保険対策委員で活躍している方のブログ「オンブズマン放談」より。感謝!

【2012年度介護報酬改定の特徴】

・2012年度報酬改定―― 特徴は「医療から介護へ」「引き下げ・軽度者切り捨て・短時間化」
・報酬は実質マイナス/処遇改善 要件を満たしたところ、3年間限定 
・地域区分の見直し 5区分0-15%上乗せ → 7区分0-18%上乗せ 
    アップは2割の自治体/全体で基本料減、大幅減の地域も多く三年経過措置
・生活援助縮小  60分を45分に。 重点化・効率化
・施設介護の基本報酬引き下げ/ 老健施設は、在宅復帰・ベッド回転率の高い施設を評価 
・医療から介護/ たん吸引の医療行為。グループホーム、老健施設での「看取り」加算。
・24時間対応サービス 報酬は定額制。「24時間何度でも」とはならない。/要介護度5の報酬は月30万4500円。利用限度額36.6万円に近く、他のサービスは抑制される。
・「総合事業」 
・基盤整備 介護基盤緊急整備等臨時交付金の1年延長/積み増しなし。基金残高のチェックを

◆処遇改善加算

・現行の介護職員処遇改善交付金(全額国庫負担)を廃止。介護報酬において「介護職員処遇改善加算」を新設し、1.1%~4.2%の加算を行う。  しかし3年限定。
 
・処遇改善加算分は、区分支給限度基準額の算定対象からは、除外される。しかし、介護報酬であるため、利用者負担(1割)にはそのまま転嫁される。
 
・処遇改善交付金と同水準だが、在宅・施設サービスで多数の「引き下げ」。実質マイナスの場合が多々ある。
 
例1)通所介護
 処遇改善加算、1.9%。/ 基本報酬は、
 小規模型の「所要時間5時間以上7時間未満」とされると現行(所要時間6時間以上8時間未満)とくらべて、要介護1で11%減、要介護5でも9%減。

例1) 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
 処遇改善加算2.5%/基本報酬は、多床室では、要介護1で3.2%減、要介護5でも2.7%減

◆居宅介護支援

①「自立支援型のケアマネジメントの推進」を「口実」、厳罰主義を導入

・運営基準減額の強化
→ 1回目 半額カット(3割カットから拡大)、2ヶ月目は全額カット(半額カット)。
→ サービス担当者会議やモニタリングが不適切とされると報酬全額返還となる。

・利用者の相談にのり、最大限努力しサービス調整をして支援をおこなっても、運営基準違反を指摘されれば、「報酬ゼロ」に。
・ケアマネジャーの労働を全否定し、「不正事業所」並みに厳しい措置である。これが、自治体レベルでは、いっそうきびしい運営基準の適用と指導監査を通じた締め付けにつながる危険性がある。

②困難ケースの受け入れ義務を「特定事業所加算」の要件に

・ 特定事業所加算は変化なし。
・「地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合においても、居宅介護支援を提供していること。」を特定事業所加算(Ⅱ)の要件に加え、「支援困難ケース」の対応を義務化。
(特定事業所加算 専門性の高い人材の配置、支援困難ケースへの対応など、より質の高いケアマネジメントを実施している居宅介護支援事業所に対して、一定単位数を加算するもの)

③「改善」と言える加算

入院時情報連携加算、退院・退所加算、緊急時等居宅カンファレンス加算(新規)など医療連携ばかり

④予防プラン作成 8件制限を撤廃。 

・地域包括支援センター(介護予防支援事業所)から、安い委託料で予防プランを押し付けられる構図はそのまま、委託件数が無制限になっただけ。
→ 自治体によっては、今後「地域包括ケアの拠点」の役割をはたすことになる地域包括支援センターの本来業務強化のため、予防プランはすべて居宅介護支援事業所へ委託、という風潮になりかねない。

◆ 訪問介護

①「訪問介護の生活援助の時間区分」 45分区切りに変更。

・「45分未満」は、60分未満とくらべ39単位減少、「45分以上」は、現行の60分以上より56単位も少ない。
 → 利用者は必要なサービスは受けられなくなる。事業所は大幅な減収となり、ヘルパーもいっそうの短時間に多数訪問を余儀なくされることになる。
☆その後、厚生労働省は、介護報酬の区分であり、必要なサービスの区分ではない、と「説明」

②介護予防訪問介護 「自立を促す」と切り下げ。

介護予防訪問介護費(Ⅰ) 1,234単位/月 ⇒ 1,220単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅱ) 2,468単位/月 ⇒ 2,440単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅲ) 4,010単位/月 ⇒ 3,870単位/月

③今回、新設された 「20分未満」の身体介護は、複雑怪奇である。

・身体介護の時間区分  1日複数回、20文未満の区分を新設
            (新規) 20分未満 170単位/回
30分未満 254単位/回 ⇒ 20分以上30分未満 254単位/回
60分以上 291単位/回 

20分未満の身体介護については、現場に一定のニーズがあったが、問題はその算定の要件である。
 
  夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)に行われる身体介護であること。
・午後6時から翌朝の午前8時までは20分未満の短時間ニーズに対応して身体介護を行っても算定可である。

・ところが、日中(午前8時から午後6時まで)は多くの「要件」がつけられた。
→ 
<利用対象者> 要介護3の中重度者に限定
・要介護3から要介護5までの者であり、障害高齢者の日常生活自立度ランクBからCまでの者であること。
・当該利用者に係るサービス担当者会議(サービス提供責任者が出席するものに限る。)が3月に1回以上開催されており、当該会議において、1週間に5日以上の20分未満の身体介護が必要であると認められた者であること。

<体制要件> 短時間身体介護と直接関係のない
・午後10時から午前6時までを除く時間帯を営業日及び営業時間として定めていること。
・常時、利用者等からの連絡に対応できる体制であること。
・次のいずれかに該当すること。
ア 定期巡回・随時対応サービスの指定を併せて受け、一体的に事業を実施している。
イ 定期巡回・随時対応サービスの指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している。

 ★厚労省の本音 → もともと、この20分以下の身体介護の新設については、厚労省は「定期巡回・随時対応サービスを利用すればよい」と否定的であったのが、審議過程で委員から求められて新設に至った経過がある。そのため、日中に提供しようとすれば、定期巡回・随時対応サービスの指定を受けるか「指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している」というヘンテコな体制要件をつけたのである。

 「普通の訪問介護事業所はダメ、定期巡回・随時対応サービスをめざす事業所にだけ認めてあげますよ」ということである。

◆「自立支援型のサービスの提供を促進」を名目に「生活機能向上加算」を新設。 

訪問リハビリテーション実施時にサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の共同による訪問介護計画を作成することが要件であるが、月にたった100単位である

◆減算ばかりの改定

①2級訪問介護員のサービス提供責任者配置減算
  サービス提供責任者配置減算(新規)⇒所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定

 平成25年3月31日までは、経過措置があって、平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合は、当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得するか、実務者研修介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、本減算は適用されない とされている。
 
 事業所はいまでも確保が困難なサービス提供責任者の配置に苦労することになる。

②指定基準の見直しで  サービス提供責任者の配置について、
・常勤の訪問介護員等のうち、利用者(前3月の平均値(新規指定の場合は推定数))が40人又はその端数を増す毎に1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこと(平成25年3月末までは従前の配置で可)。 

 となり「利用者40人に一人」とされるので、事業所によっては増員の必要がでてくるところもある。

③ 「同一建物訪問減算」の新設

同一建物に対する減算(新規)⇒ 所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定
 利用者が居住する住宅と同一の建物に所在する事業所であって、当該住宅に居住する利用者に対して、前年度の月平均で30人以上にサービス提供を行った場合、10%減算となる。しかし(当該住宅に居住する利用者に行ったサービスに対してのみ減算とされており、また、近くでも別建物であれば対象にならない可能性

◆通所介護  切り下げが集中

①切り下げの内容

・機能訓練指導員を配置して個別の計画作成等を評価する個別機能訓練加算(Ⅰ)27単位を廃止。基本報酬に丸め。
・通常型の基本報酬は、看護業務と機能訓練業務が兼務している実態が多いとして引き下げ。
・通常型よりも17%高かった小規模型の報酬単価は、実態は15%しか高くないとして引き下げ
・サービス提供時間区分の変更で、1割前後の報酬減
現状では、6~8時間区分の平均サービス提供時間は6時間27分であるとこの理由で「5~7時間区分」をつくって、大幅に報酬を引き下げ

 (例1)小規模型通所介護費の場合
(所要時間6時間以上8時間未満の場合)  (所要時間5時間以上7時間未満の場合)
要介護1 790単位/日            要介護1 700単位/日   11.4%減
要介護2 922単位/日            要介護2 825単位/日
要介護3 1,055単位/日     ⇒     要介護3 950単位/日
要介護4 1,187単位/日           要介護4 1,074単位/日
要介護5 1,320単位/日            要介護5 1,199単位/日 9.1%減

→  サービス提供時間を延長して「7~9時間」の区分にしても 要介護1で19単位、要介護5でも56単位しか増えないので、延長によるコスト増に追いつかない可能性がある。
 (所要時間7時間以上9時間未満の場合)
要介護1  809単位/日
要介護2  951単位/日
要介護3 1,100単位/日
要介護4 1,248単位/日
要介護5 1,395単位/日

・通常型でも大幅な引き下げで、現行の個別機能訓練加算(Ⅰ)27単位を組み入れてもこの引き下げ。

②「延長加算」は、12時間までみとめた。

11時間以上12時間未満 ⇒ 150単位/日
 
 ☆全体として、安い費用で、長時間対応させるというもの

③個別機能訓練加算は
 (現行)
個別機能訓練加算(Ⅰ)27単位  ⇒  基本報酬に組み入れ廃止
個別機能訓練加算(Ⅱ)42単位  ⇒  個別機能訓練加算(Ⅰ)に名称変更 42単位
                    個別機能訓練加算(Ⅱ)(新規)  50単位

→ 個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件は、
専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士等を1名以上配置。
・ 、利用者ごとの心身の状況を重視した、個別機能訓練計画を作成。
・ 個別機能訓練計画に基づき、理学療法士等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に行う。


 ★「自立支援促進」「生活機能向上」の強調。が、加算はわずか。

◆通所リハビリ  医療保険から介護保険への露骨な誘導

①通所リハビリでは、 「医療保険からの円滑な移行を促進する」を目的に
・短時間の個別リハビリテーションの実施について重点的に評価
・長時間のリハビリテーションについて評価を適正化          を柱に報酬改定が行われた。

②具体的内容。

◇長時間の引き下げ基本報酬
 現行は、「2時間以上3時間未満」は、「3時間以上4時間未満」×0.7とされていたものを新たに区分を新設し、従来より高い基本報酬とした。
(例)要介護1 現行 270単位 ⇒ 284単位(5.1%アップ)
   要介護5 現行 585単位 ⇒ 509単位(7.1%アップ)
 一方で、「4時間以上6時間未満」と「6時間以上8時間未満」は2.5%程度引き下げた。
(例)4時間以上6時間未満  要介護1  515単位 ⇒ 502単位(▲2.5%)
                  要介護5  955単位 ⇒ 931単位(▲2.5%) 

◇個別リハビリ加算の複数回化  
 1月に13回を限度として1日につき80単位を加算していた「個別リハビリテーション実施加算」
→ 1月に13回を限度に80単位を1日に複数回算定できるに変更。1時間以上2時間未満であれば、実施時間内であれば何回でも個別リハビリテーション実施加算の算定が可能となり、医療保険の「疾患別リハビリテーション(外来)」(20分以上の個別リハビリ月13回まで可能)と同等の扱いとなった。

◇リハビリマネジメント加算の要件緩和
 現行は、「リハビリテーション実施計画を策定し、月8回以上通所リハビリテーションを利用」が要件とされているリハビリマネジメント加算を、「月4回利用」に緩和した。

◇「重度療養管理加算」を新設    「手厚い医療が必要な患者」も介護保険へ

・一日たった100単位。受け入れる利用者は 要介護4又は5であって・・・
イ 常時頻回の喀痰吸引を実施している状態
ロ 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
ハ 中心静脈注射を実施している状態
二 人工腎臓を実施しており、かつ、重篤な合併症を有する状態
ホ 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
ヘ 膀胱又は直腸の機能障害の程度が身体障害者障害程度等級表の4級以上であり、ストーマの処置を実施している状態
ト 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態
チ 褥瘡に対する治療を実施している状態
リ 気管切開が行われている状態

 という重篤な状態で、2時間以上の受け入れ。「介護から医療へ」への強引な推進。

★介護保険のリハビリは、区分支給限度額の枠内でケアプランに組み込まれて初めて実施可能。医師が必要と認めても実施できない場合が少なくない。
→ 維持期を含めてリハビリは、医師が指示するOT・PT・ST等の専門職種による医療行為であり、患者の病態に応じて医療保険から給付されるべきである。

◆介護老人福祉施設       多床室の切捨てと軽度者追い出し    

①多床室の切捨てと軽度者追い出し

・施設系はすべてマイナス改定  / くに介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は大きな引下げ
・多床室と軽度者により大きな引下げ   多床室3.2~2.8%減。要介護1,2が3.2%の減
・個室も1%程度以上ダウン  / 唯一据え置きは、ユニット型個室・要介護5

②重度者・困難者受け入れ /唯一の新設加算、
  認知症行動・心理症状緊急対応加算(新規) ⇒ 200単位/日  しかも「7日」のみ。

③日常生活継続支援加算 22単位/日 ⇒ 23単位/日

 1単位引上げ で、算定要件はさらに厳しく
 ≪算定要件 以下のいずれか≫
・要介護4若しくは要介護5の者の占める割合    65% ⇒ 70%以上
・認知症日常生活自立度Ⅲ以上の者の占める割合   60% ⇒ 65%以上
・たんの吸引等(※)が必要な利用者の占める割合  15%以上(今回新設)

④「看取り」の推進  診療報酬は加算、介護報酬は加算なし


★基本報酬を大幅に引き下げた上に、まともな加算なしで、重度者・困難者の受入れと「看取り」を押し付け
→ 政府の事業仕訳の場を含め執拗になされた「特養の内部留保」批判は、このような改定への地ならしであった。
  
◆目玉サービス  「定期巡回・随時対応型サービス」の普及計画

①「定期巡回・随時対応型サービス」の普及計画  3年後も8割の市町村でゼロ

・厚労省 5月1日「第5期介護保険事業計画の全国集計について」公表。
・2014年度で定期巡回サービス実施見込も
全国329(全保険者1580) 3年後も8割の市町村で利用者ゼロの見込み
集計概要の数字でも2014年度で利用者 全国1.7万人/日 
・2桁以上の保険者の見込みになっているのは、東京都・大阪府の34をはじめ、茨木県、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県。 
 宮崎県と沖縄県はゼロ、青森県、栃木県、徳島県は1。
・「41保険者中34」という大阪府でも、 2014年度 大阪市853人/月、堺市62人/月、東大阪市24人/年にとどまっている。

→ 「地域包括ケアを支える基礎的サービス」と位置づけたこの定期巡回サービス。だが、
「地域包括ケア」は「大都市圏中心」発想であり、都市部であっても厚労省の思惑通りになっていない。

②「介護予防・日常生活支援総合事業」
・2012年4月実施 84市町村、5.4%。(昨年11月に国保中央会調査) 

◆自費サービス化に対する行政対応

①川崎市通知(広島市、大阪市でも同様の通知)

「平成24年度介護報酬改定による生活援助時間区分の見直しについて(通知)」
 さて、平成24年4月介護報酬改定において、生活援助中心型の所定単位数を算定する場合の時
間区分の見直しが予定されています。
 今回の見直しは、あくまでも介護報酬の評価を行う際の区分の変更であり、これまで保険給付の
対象として提供されていたサービスについて、例えば事業所側の規定により一律に60分を超える
場合には自費徴収を行うとする等の取扱いは認められません。
 このようなケースは、発見次第指導・監査の対象となりますので、適切な利用料の徴収を行って
いただきますよう、お願いいたします。
 また、一部報道等において、生活援助の提供が45分までに制限される等の情報が見受けられま
すが、4月以降においても、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき位置付けられている
サービスについては、サービスの削減を行う必要はなく、例えば60分を超える部分についても「所
要時間45分以上」の区分として保険給付の対象となることを申し添えます。

②ある自治体での事例
・これまで1時間半程度の生活援助を提供していた訪問介護事業所が報酬改定を受けて、地域で数社が話し合い
 ・生活援助は1時間以内しか提供しない
 ・要支援の方は45分以内にする
 ・これを超える分については自費(15分500円、30分1000円)をいただく
 ことを申し合わせた。
  
・当該自治体の担当課の対応
 「自費サービスは保険外の契約なので保険者がどうこう言えるものでない」とまったく放任。
厚労省の「一律に時短短縮は不適切」「これまでどおり60分、90分のサービスは可能」とのQ&Aなどについても市としては事業者に通知・伝達せず。報酬改定説明会も開かず。
・こんな自治体があちこちにある。厚労省がいうところの「誤解」に基づく、事業者による利用者無視の強引な時間短縮と自費サービス化である。

◆ホームヘルプの「家政婦化」 買物の弾力化

・平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(平成24 年3 月16 日)で「生活援助における「買い物」サービスについて、利用者宅に訪問するための移動中に商品を購入することは可能」との見解をしてした。
・訪問介護の生活援助は家政婦の家事代行とは根本的に異なる。
 「頼まれたものを買ってくる」という 「お使い」であれば、前回訪問時でも電話でも買物内容を聞けばいい。 しかし、ヘルパーは まず利用者の居宅を訪問し、ようすを観察し、買物についても、一緒に冷蔵庫の中を確認したり、献立を相談したり という 生活意欲を引き出す 自立支援の要素があることが多く、生活援助の対象者が独居の利用者が多いことからも重要。厚労省自身12年前にはその立場で通知を出している。
・認知症高齢者の場合、買物を依頼したことを忘れている方や、購入品の内容や釣銭など、一つ間違えばトラブルになりかねない。
・この発想の行き着く先
介護保険で提供しなくても「宅配サービスの方が合理的」。調理は「配食サービス」、洗濯は「洗濯屋の集配サービスで」と 生活援助をバラバラにして商品化し、介護保険の対象外となっていく。

◆まとめ  診療報酬・介護報酬同時改定と「一体改革」

1 野田政権が「一体改革」の第一歩と位置付ける同時改定

①入院から在宅・住宅へ、医療から介護への方針を強化し、医療・介護給付費の削減と、医療・介護提供体制に抑制に踏み出す
②2025年までに7回実施される診療報酬改定、3回実施される同時改定を見通した計画を立て、今次改定は政策的に誘導する第一歩と位置付ける

2.「一体改革」が示したシナリオ 2025年

▽病床数:一般病床は129万床が必要になるが、26万床削減
     長期療養は34万床が必要になるが、6万床削減
     病床全体で202万床が必要になるが、43万床削減
▽入院患者数:162万人/日に増加するが、33万人削減
▽外来患者数:5%削減 ⇒外来受診日数を1億日減らす
▽要介護認定者数:3%削減 

 → 介護分野での「地域包括ケア」構築は、医療のこの削減の受け皿に他ならない。

3 診療報酬の主な改定内容 

①「医療と介護の円滑な移行」

▽急性期、回復期リハビリテーションは医療保険、維持期(生活期)リハビリテーションは介護保険という医療と介護の役割分担
▽「維持期リハビリ」の医療保険から介護保険への移行
▽脳血管疾患等・運動器リハビリテーションについて、要介護被保険者は「2014年3月31日までに限る」
 要介護被保険者で標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できない場合は、点数を引き下げ
 「維持期のリハビリテーションを医療(保険)でみるのは原則的には次回の改定までとさせていただく」(鈴木厚労省医療課長) 
▽介護保険のリハビリテーションに移行後、医療保険の疾患別リハビリテーションを算定できる期間を2カ月間に延長

→  介護保険のリハビリ関係の報酬改定はこの要請にこたえる内容そのものである。

②「入院医療」関係は在院日数削減と病床機能再編

▽13対1・15対1病棟の入院基本料
 90日超入院患者は、一律に療養病棟入院基本料で算定
 90日超入院患者を、出来高算定とするが、平均在院日数の計算対象に追加
▽一般病棟の7対1入院基本料の平均在院日数を短縮
▽亜急性期入院管理料
 脳血管疾患等・運動器リハビリテーションを算定したことのない患者について算定入院管理料1は、算定日数限度を90日から60日へ短縮
▽金曜入院、月曜日退院が4割超の場合、午前中の退院が9割超の場合、入院基本料を減額
▽地域一般病床(高度急性期から亜急性期まで対応)の創設
 高度急性期・一般急性期に位置付ける「急性期病床群(仮称)の認定制度」を医療法改定で導入。患者の疾病・病態や処置内容などを評価。病棟単位で「認定」し、病床機能分化を誘導

→ 入院から在宅・地域へ、医療から介護への オンパレード


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