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世界の自然エネ投資 史上最高2570億ドル

 3.11以前の頭で、原発固執していれば、自然エネを軸にしたものづくり、経済の面でも乗り遅れる。

 REN21(21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク)が発表した「世界自然エネルギー白書2012」の主要トピックでの紹介。
・ 2011年 自然エネルギーの投資が17%増加し、史上最高の2570億ドルに達した。
・ 自然エネルギー源により世界の最終エネルギー需要の16.7%が供給。
・ 2011年の1年間で導入された発電設備容量208 GWの約半分が自然エネルギー。総発電設備容量の25%以上を占め、電力の20.3%が供給された。
【世界の自然エネルギー投資が史上最高の2570億ドルを記録 REN21  6/11】

【世界の自然エネルギー投資が史上最高の2570億ドルを記録 REN21  6/11】

2012年6月11日、UNEP(国連環境計画)のレポート「自然エネルギー投資における国際的な動向」“Global Trends in Renewable Energy Investment”およびREN21(21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク)のレポート「世界自然エネルギー白書2012年版」“Renewables 2012 Global Status Report”が同時に発行されました。

 益々激しくなる競争的な状況の中で、昨年2011年には大規模な水力発電を除いた自然エネルギーの投資が17%増加し、史上最高の2570億ドルに達しました。これは2004年の投資額の6倍、世界金融危機前の2007年と比較しても94%上昇したとUNEPのレポート「自然エネルギー投資における国際的な動向2012年版」で述べられています。このレポートは、UNEPのCollaborating Centre for Climate and Sustainable Energyにより Bloomberg New Energy Financeの協力のもとに作成されました。昨年の17%増加は2010年の37%増加と比べれば低くなっていますが、ヨーロッパで広がっている公的債務の危機などの状況にも拘わらず、自然エネルギーの発電設備の急速な価格低減を背景に達成したものです。

 さらに多くの国々では、自然エネルギーが「ニッチ市場のプレーヤー」の状態から抜け出して、エネルギー供給の中で大きな割合を占めるまでに急成長しています。 REN21が今回発表したレポート「世界自然エネルギー白書2012年版」によると、2011年には、電力分野・熱分野・交通分野、自然エネルギーによる全ての最終エネルギー消費の分野で急成長しました。自然エネルギー源により世界の最終エネルギー需要の16.7%が供給されました。このとき、伝統的なバイオマス燃料の割合が少し低下し、現代的な自然エネルギーの割合が増えています。2011年には、自然エネルギーが新しい市場にも導入されており、およそ50ヶ国が風力発電を導入し、太陽光発電が新しい地域・国に急速に導入されています。太陽熱温水器は、世界中で2億戸以上の家庭で導入されているだけではなく、多くの公的ビルや商業ビルに導入されています。

 電力セクターでは、2011年の1年間に世界中で導入された発電設備容量208 GWの約半分が自然エネルギーによる発電設備でした。2011年末までには、世界全体の自然エネルギーによる発電設備容量は1,360 GWを超え、2010年と比べて8%増加しました。自然エネルギーによる発電設備容量は、世界全体の全ての発電設備容量(2011年の推計値5,460 GW)の25%以上を占めました。そして自然エネルギーにより世界全体の電力供給量の20.3%が供給されました。

 太陽電池モジュールの価格は50%近く低下し、陸上風力発電の価格も約10%低下しました。この価格低下は、これらの主流となる自然エネルギーによる発電技術が、価格競争力の面でも石炭や天然ガスのような化石燃料の代替となりつつあることを示しています。2011年には、これまでの風力発電よりも太陽光発電が、世界中の投資家により選ばれる自然エネルギー発電技術になりました。風力発電に対して、太陽光発電に2倍近い投資が行われましたが、自然エネルギー産業にとっての困難が伴うなか、自然エネルギーのセクターにとっては記録的な年でした。太陽光発電への投資額が1,470億ドルと、一気に52%増加しました。急速に競争的な困難な状況が強まり、特に太陽光発電の市場においては、価格が急激に低下し、消費者にとっては利益になったとしても、いくつかの製造メーカにとっては撤退を余儀なくされたり、改革が求められました。

 中国は、依然、大規模水力を除く自然エネルギーへの投資額が520億ドルと世界のリーダーですが、米国が510億ドルでそれに迫っています。欧州は依然として最も大きな自然エネルギー市場であり、2011年には1,010億ドルが投資されています。その他の主要な開発途上国の中では、インドが大きな市場になっており、国家的な太陽光ミッションのプログラムを通して、市場規模が62%増加したことにより、120億ドルに達しました。これは世界で最も成長した自然エネルギー市場です。一方、ブラジルの自然エネルギー市場は8%増加し、70億ドルに達しました。
 2012年の初めまでに、少なくとも118ヶ国では自然エネルギーの政策目標を掲げており、その半分以上は開発途上国でしたが、1年前の96ヶ国から増加しました。しかし、幾つかの開発途上国では政策支援の停滞が見られました。それは財政危機による減退(特にヨーロッパに)や米国の議会での膠着状況が原因になっています。自然エネルギーによる発電への支援が依然として最も一般的な政策オプションであり、現在、65ヶ国と27の地域(州)で固定価格買取制度(FITs:Feed-In Tariffs)が実施されています。

 「自然エネルギーへの投資が加速している理由には、気候変動、エネルギー安全保障、発展途上国の農村部や都市に電力を供給することにより貧困を撲滅することの緊急性などがあります。推進力が何であれ自然エネルギー部門の強力で持続的な成長は、多くの経済活動を低炭素で資源効率的なグリーン経済”Green Economy”へと転換することを支援する重要な要因です。」とAchim Steiner氏、UNEP事務局長は述べています。
「これはもう一つの強力なシグナルを6月に開催される「リオ+20」サミット(国連持続可能な開発会議)に出席する代表や世界のリーダーに送る機会となります。すなわち、すでに存在する技術を政策の実現や確固たるリーダーシップと組み合わせることにより、70億人の人々のために持続可能な発展をこれまでの不十分な進展状況から現実化に向けて変えることができます。」とも述べています。

 フランクフルト経営・金融学校の学長兼CEOのUdo Steffens博士は「自然エネルギーはエネルギー供給にとって、とても重要な影響を与え始めていますが、私たちは急速な特定分野の成長の様な多くの古典的な問題にも直面しています。例えば、大きすぎる成功、痛みを伴う破綻、国際的な貿易摩擦などです。これは新たな経済を形成し強固なものとする中で、勝者として戦略的な政策決定を行うための重要な時期であることを示しています。」と述べています。

 REN21議長のMohamed El-Ashry氏は「幾つかの重要な市場において経済危機や政治的な不安性が続いていますが、昨年は、これまでで最も多くの自然エネルギーが導入されました。政策が自然エネルギーの推進を支援したのです。政策の展開と実施は、日本で発生した福島第一原子力発電所の大災害の影響もあり、自然エネルギーのコストや技術の改善により促進されました。その結果、自然エネルギーは世界中で多くの国や地域に拡大しています。世界的に自然エネルギー産業の雇用は500万人以上となり、新しい雇用の創出が自然エネルギー政策を推進する大きな原動力となっています。」と述べています。

その他の地域や主要国での注目点:

 アメリカ合衆国では、2011年に自然エネルギーにより国内電力の約12.7%を賄っており、2010年の10.2%、2009年の9.3%から増加しています。2011年に導入された発電設備容量の約39%は自然エネルギーによる発電設備であり、そのうちの多くが風力発電でした。自然エネルギーが米国内の一次エネルギー供給の約11.8%を占めています(比較すると原子力は11.3%)。

 中国は、2011年には再び風力発電の導入量で世界一となり、水力発電の発電規模や太陽電池モジュールの生産量で世界一でした。一年間で風力発電が48.2%以上も増加しています。

 EU(欧州連合)では、2011年に導入された発電設備の容量のうち71%以上を自然エネルギーが占め、そのうち太陽光発電だけでおよそ半分(46.7%)を占めました。

 ドイツは世界で三番目に大きい自然エネルギー投資の市場です。自然エネルギーは全ての最終エネルギー消費量の12.2%を占め、電力消費の20%を供給しています(2010年の17.2%、2009年の16.4%から増加)。

 世界の他の開発途上地域と比べると、ラテンアメリカの各国では、完全なエネルギーアクセス(特に電力)には程遠い状況です。ラテンアメリカ6ヶ国が家庭用の太陽光発電の導入を拡大し、2011年には11.3万ユニットが導入されました。  
 アフリカ9ヶ国では、2011年に8,432件の新しいバイオガスのプラントが導入されて、2010年と比べて、バイオガスの生産量が100%増加しました。

 より詳しい国別の情報はREN21の自然エネルギー対話型マップ ”Renewable Interactive Map”で見ることができます。 http://www.map.ren21.net/

 今年は、国連の「すべての人のための持続可能なエネルギーの国際年」(“International Year of Sustainable Energy for All”)であり、REN21の世界自然エネルギー白書2012でも、世界中で活動している各地域の専門家からの情報をベースに農村部の自然エネルギーに特別に焦点をあてています。自然エネルギーが急速に、何百万の人々に近代的な調理方法、冷暖房および電力のためのエネルギーを供給し、より良い生活の質(Quality of Life)が得られる様になってきています。

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