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電源構成 「経産省」の思惑どおりに集約させず

  将来の電源構成を議論している総合エネ調の委員会。委員長(原発推進の財界を代表する新日本製鉄会長)の強引な運営がなされ、委員からも抗議の声や原発ゼロをめざす国会議員も是正の申し入れをしていたが・・・  「新設なし40年廃炉」の15%がもりこまれたり、今回の「集約できなかった」というのも成果と言える。
 こうした諮問委員会。往々にして事務局となる省庁の筋書きを追認させることに利用されているから・・・
 委員会の動画の配信など「国民注視」という環境があったことも大きい。
【電源構成:集約できず4案を報告へ…原発「目標」なしも 毎日5/20】
 検討会へのISEPからの提出資料。こうした客観的なデータ等を対置して議論した結果と思う。運動にとっても大きな足場となる。
【エネルギー需給および原子力維持のリアリティ】
【「各々の選択肢案に関し提起された主な指摘について」への回答】

【電源構成:集約できず4案を報告へ…原発「目標」なしも 毎日5/20】

 将来の電源構成について議論している経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の基本問題委員会は21日、30年の原発比率(10年度は26%)について「早期にゼロ」「緩やかに削減(15%)」「一定比率を維持(20〜25%)」「数値目標を設けない」の4案を選択肢とする方向で最終調整に入った。各案を支持する委員の意見が対立して集約できず、原発ゼロから維持まで複数案が残る形となる。【丸山進】
 月内に最終案をまとめて政府の「エネルギー・環境会議」に報告し、夏までに策定するエネルギー基本計画に反映させる。
 基本問題委員会は、福島第1原発事故で原発への信頼が損なわれたことから、エネルギー基本計画を抜本的に見直すため昨年10月に設置された。主に原子力のあり方を含め、電源構成の将来像を議論し、学識経験者や環境NPO、消費者団体など25人で構成する。委員長は三村明夫・新日本製鉄会長。30年時点の電源構成について、原子力、再生可能エネルギー、火力の構成比のあり方を議論。原発比率を0%、15%、20%、25%、35%、数値目標なし−−とする6案から絞り込みを進めてきた。


◆エネルギー需給および原子力維持のリアリティ

【1】2030 年度まで省エネ深掘りの可能性について

1.はじめに
 省エネ対策の予測について、対策別限定列記で計算されることが多い。この方法は固い見積もりをしたい時の
方法だが、これでは多くの対策の余地を落としてしまう。例えば熱利用における排熱回収対策、電気ではインバ
ータ化や台数制御、不用機器の削減などの対策余地を落とし、昨年夏の節電経験も見込めず、過小見積もりになる。
 GDP 成長の予測ではこういう方法は用いない。各業種でどの製造・サービスで付加価値を高めるのかを列記
してその和がGDP 成長、例えば各サービス業に生産台数予測と付加価値の増加あるいは減尐を求めて和をとり、細目の予測のつかないものは成長しないものとみなすことはせず、おおまかな率をかけて判断するはずである。
 経済産業省の省エネ行政でもこうした限定列記だけで省エネ判断をしているわけではない。省エネ法には毎年
1%効率改善の努力目標があり、また中期的な目標である「ベンチマーク指標」があり、いずれも「率」で効率
改善を予測している。
 こうした現実的な予測手法に基づき、省エネ余地を評価することが必要である。

2.対策の考え方について
 現状で商業化された技術あるいはその改良で得られる技術を、更新などの機会をとらえ、全ての発電所・工場・事業所に普及させることを原則とする。
 工場については、排熱回収や機器のインバータ化などの改良回収技術が更新だけでは見込めない。そこで、既
に上げられている目標や、省エネ改修工事の例を参考に、省エネ対策後の水準を推定する。

3.対策内容と期待される原単位改善率
(1)火力発電所の発電ロスについて
 火力発電所は日本で最大のエネルギーロスであり、この対策が最大の省エネ対策である。
 対策の一つは発電の高効率化である。LNG 火力についてはコンバインド化でガスタービン入口温度を高める
ことで、高位発熱量で見て発電効率54%のものが商業化され、技術的にはコスト等検証委員会で検討された発電
効率57%のものが見込まれる。コークス炉ガスや高炉ガス・転炉ガスなどを用いた発電所でもコンバインド化技
術が商業化されている。石炭火力では実験中で、まだ商業化されていないと言える。
 2030 年には、旧型LNG火力の置き換えにより、「モノジェネ」(発電のみで排熱利用なし)のLNG火力発電
所のストック効率が54%に達していると見ることができ、投入エネルギーを22%削減できる。温暖化対策による
ガスシフトとあわせ、LNG割合が増えれば火力全体のストック効率も向上する。
 もうひとつはコジェネと排熱利用である。日本では排熱利用が限定的、とりわけ事業用発電で排熱利用が尐な
い。2030 年にむけて政策的に増やすことが考えられる。
 発電ロスは最終消費部門の電力消費削減とあわせて大きく改善することが見込まれる。

(2)素材製造業
 素材製造業の鉄鋼、化学、セメント、製紙などの工場では、エネルギー消費のメインとなる高炉やキルン、各
種加工設備、自家発電や産業用蒸気設備などで多くの省エネ機器や断熱、排熱回収技術を組み合わせて対策が行
われる。

(2−1)省エネの徹底
 工場では、改修の時期に商業化された省エネ技術を駆使し、全工場が省エネトップランナーになることが求め
られる。トップレベルではないが、手がかりとして経済産業省が省エネルギー政策の一環として、「ベンチマーク」を設定している。機器別積み上げでなく排熱回収利用などを判断するのに、生産量あたりのエネルギー消費量やCO2 排出量で判断するのは妥当といえる。中期的に目指すレベルであり、しかも事業所別トップランナーでなく、事業者別で平均値より標準偏差分だけ上のレベルである。2030 年は最低でもこの水準をストック効率で達成すると予測するのが妥当である。

 経済産業省は、これらの業種ごとにベンチマーク指標に基づく現状の業種平均値を公表し、業種ごとにベンチ
マークを達成した場合の削減率を試算可能にすべきである。
 以下では限定的情報により推定を行う。

 高炉製鉄業のエネルギー原単位は2008 年まで石炭年鑑で公表されていた。JFE スチール西日本製鉄所倉敷地区の2〜4号炉は、ほぼ平均に位置する。岡山県の排出量公表制度ではベンチマーク指標に基づくエネルギー効率現状値が公表され、2010 年度は、ベンチマーク指標達成まで6%改善の余地があることが報告されている。

 セメント製造業については排出量公表制度と生産量からCO2 分布を求めると、トップレベルまでで15%改善
が見込まれる(平均ー標準偏差まで見ればもっと小さくなる)。

 その他の業種は情報が乏しいが、先に示した岡山県の公表例で、ベンチマークと現状の差は電炉普通鋼では24〜39%、電炉特殊鋼では10%、石油精製業では10%、化学工業のうちソーダ工業では0〜5%、石油化学では1〜18%、板紙製造業では8〜60%となる。言うまでもなく各工場でこれだけの追加削減が見込めるかは議論があるだろうが、業種ごとの目安として考えられる。しかも、このベンチマークは決して「省エネトップランナー」を目指しているわけでもなく、しかも「省エネトップランナー工場」があらゆる省エネ対策を実施し、排熱を100%回収しているとは考えられない。

 業種全体では、鉄鋼で6%、その他業種で10%の削減を見込むことができるであろう。より精緻な議論は、経済産業省が事業所ごと(名称特定をするかはともかく)の情報を開示することで行うことができる。

(2−2)リサイクル材の利用
 リサイクル材の利用割合を増加させると、エネルギー消費が減尐する。
 鉄鋼の場合には、高炉の鉄と電炉の鉄を比較すると、表1.2 のように普通鋼ではエネルギー原単位に約4倍の
格差がある。日本にある膨大な鉄のストックを有効利用し、建設材や、一部機械用などで電炉利用の拡大を計画
的に進めると、電気をやや増やすものの鉄鋼業のエネルギー消費を大きく減らすことができる。
 高炉割合を75%から50%に減らすと、鉄鋼業のエネルギー消費は23%減尐する。

(3)その他製造業
 製造業のうち非素材を中心に、省エネ対策事業、ESCO事業が取り組まれている。設備更新だけでなく、生産
設備の熱回収や設備のインバータ化や台数制御導入、不用設備撤去、各種運用で大きな削減が見込まれる。
 製造業では従業員むけの一般空調や照明などのユーティリティ設備もあり、業務なみの省エネが見込まれる。
 環境省の自主参加型排出量取引の実績では、大手が加わっていた時期の平均で25〜30%のCO2 削減を得ていた。これは投資回収年を広げれば広範囲の事業者で実現できる。他にも、省エネルギーセンターの優良事例で、機器更新でも、熱回収など部分改修、運用改善でも、20%以上の削減を実現した例が多数報告されている。加えて、昨年の節電経験もある。
 これらにより、全体のエネルギー効率の20%改善は無理なく実現できると考えられる。

(4)業務部門
 国立環境研究所の試算した機器と建物のストック効率とトップ効率の比較を行う。
表1.3 に代表的な対策を示す。床面積あたりの電力消費で2030 年に2010 年比42%削減、世帯当たりの熱利用で40%削減が可能である。

(5)家庭部門
 国立環境研究所の試算した機器と建物のストック効率とトップ効率の比較を行う。
表1.4 に代表的な対策を示す。これらにより、世帯あたりの電力消費で2030 年に2010 年比40%削減、世帯当たりの熱利用で50%の削減が可能である。

(6)運輸旅客部門
 国立環境研究所の試算した車種などのストック効率とトップ効率の比較を行う。
 乗用車では燃費が75%向上し、43%の削減が可能である。他の機関もあわせると、輸送量あたりの燃料消費で
39%の削減が可能である。
 電気については、乗用車の2割が電気自動車になると想定、その増加を考慮している。

(7)運輸貨物部門
 国立環境研究所の試算した車種などのストック効率とトップ効率の比較を行う。
 乗用車では燃費が12%向上し、11%の削減が可能である。他の機関もあわせると、輸送量あたりの燃料消費で
12%の削減である。

4.まとめ
 表1.5 のように、電気と熱、運輸の削減を、機器更新を中心に手堅く見積もると、2030 年度に2010 年度比約
40%の省エネが可能になる。

 最終エネルギー消費については全体で36%削減が見込まれる。熱利用だけでも16%、運輸燃料だけでも11%削減が見込まれる。
 一次エネルギー供給では、全体で39%の省エネが可能になる。このうち、エネルギー転換の発電ロスだけで13%分の削減に寄与、最終消費部門の削減で24%の削減に寄与する。
 上記から考え、最終消費部門で3 割の省エネも展望可能であり、一次エネルギーでも3 割を上回る省エネが展
望可能と言える。

(参考)BAU について
(1)活動量
 今後の日本経済は他の先進国と同様、従来型産業構造を維持することは考えにくい。製造業では素材から機械など高付加価値化、またサービス業の割合が高くなると考えられる。従来のような産業構造では、単にエネルギー削減やCO2 削減が難しくなるだけでなく、雇用を維持するのも困難であろう。
 産業構造の転換は、エネルギー消費削減を考える場合にも有利に働く。

(2)BAU原単位
 自然減の部門もあると見られるが、当面、一定としている。

【2】原子力発電の発電量割合について

1.原則
 原子力依存からの脱却の方針、40 年廃炉の方針についてまず確認する。
 原発の重大事故を二度とおこしてはならない。原発のリスク回避を重視する必要がある。地震の影響について
は、全ての原発で地震の影響が懸念され、また周辺の断層についての懸念がある。ここでは最低限の考慮として、東日本大震災で被害を受けた原発の廃炉、東海地震震源域などに立地し特に地震の影響が懸念される原発の廃炉を考える。
 今回の事故により、いったん事故があれば地域がまるごと機能停止させられることが判明した。今後の新規立
地は困難、新設は不可能である。現実性の観点から、新設なしと考える。
 なお、コスト等検証委員会でも報告されたとおり、原発はコストが安いから選択ということはすでに成り立たない。今回の事故では補償に多くの税金が使われた。コスト等を考える際に、損害賠償については、無限責任保
険にせよ、基金による互助制度にせよ、原子力発電所を持つ会社が100%負担するしくみが不可欠である。果た
してそうした負担のもとで、原子力発電所を稼働させる事業者があるかどうか、疑問である。

2.設備容量
 まず設備容量を考える。
 福島第一原発6基を廃炉にし、他も運転開始後40 年廃炉、新設なしとした場合、2030 年度末の原発の設備容
量は1891 万kW となる。また、東日本大震災で損傷した福島第二、女川と、東海地震震源域の浜岡を廃炉にし
た場合、2030 年度末の原発の設備容量は1486 万kWとなる。これに加え、中越沖地震で損傷した柏崎刈羽も廃
炉にした場合、2030 年度末の原発の設備容量は995 万kWとなる。
 こうした現実的な想定に比較して、「20%ケース」3000 万kW、「25%ケース」3600 万kW、「35%ケース」5000
万kWは全くリアリティがない。

 さらに、設備利用率が80%と想定されている。1990 年以降、80%を超えた年は1995〜2001 年の間だけであ
る。2002 年以降は一度も経験したことのない高い値である。
 今後安全点検を徹底し、また老朽化が進み点検期間も長くなる傾向にある。再稼働した場合のことを考えるに
しても設備利用率はもっと小さくなり、大きな想定をするにしても2002 年以降の60〜70%が上限になる。
 仮に設備利用率70%を確保できたとして、40 年廃炉だけの場合でも2030 年の原発発電量は1160 億kWhで,2010 年の発電量比で約12%である。しかもこの場合には浜岡原発が動く想定である。女川、福島第二、浜岡を止めた場合には911 億kWh、さらに柏崎刈羽をとめると610 億kWh に減る。

 2010 年度の発電量約1 兆kWh との比較で、原発再稼働で2030 年に残存するケースを議論するにしても、6〜9%程度にすぎないと言える。20%以上の選択肢は過大見積もりも甚だしいと言える。

3.使用済み核燃料
(1) 直面する現実の原子力問題は、使用済み燃料問題に尽きる

① 原発維持をするにしても原発および六ヶ所再処理工場の両方で、使用済み燃料が溢れかえっており、あと数年で使用済み核燃料プールは満杯になるため、早晩、行き詰まる。
② 核燃料サイクル、とくに六ヶ所再処理工場は現実に破綻しており、経済的にも環境的にも核リスク的にもこのまま廃炉に向かうことが妥当
③ 使用済み燃料プール自体が、危険な「剥き出しの原子炉」であること
④ 脱原発をするにしても使用済み燃料「貯蔵・処分」問題は残る。
⑤ こうした問題を直視せず、その場しのぎで目先の乾式貯蔵施設を作るのではなく、使用済み核燃料問題に、国民全員で向き合う好機

(2) この「原子力行き詰まり」という「今ここにある危機」に対して、使用済み核燃料の乾式中間貯蔵は、「原子力ニューディール」のカギを握る。具体的には、

① 直面する危機回避:まずは、すべての原子力発電所サイトにおいて、水プールにある使用済み燃料を輸送可能な乾式貯蔵キャスクに移すことで、危険な「剥き出しの原子炉」になりかねない状態を改善する
② 国は、これまでの「国のウソ」(原発から核のゴミを持ち出す、再処理は生産工場など)を陳謝し、現実に基づく本音の議論を開始する。
③ 核燃料サイクル凍結・脱原発依存を前提に、「使用済み核燃料の乾式中間貯蔵」を当面の「問題出口」として、最終的な処分方策を決定するまでの中長期的な貯蔵場所(50〜100 年単位)について、国民的な議論に付す。
 I. 現状の場所に置くか
 II. どこか集中的に貯蔵するか。それはどこかの地方か、もしくは都市か。
④ 今後の使用済み核燃料の総量抑制を、政府と電力会社との間で合意する(第5 策)。


◆「各々の選択肢案に関し提起された主な指摘について」への回答

【再生可能エネルギー】No.6、No.7、No.14、No.15、No.16 への回答
 再生可能エネルギーの導入可能性については、環境省中央環境審議会の「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会/エネルギー供給WG」において、詳細な検討が行われている。このエネルギー供給WG には委員として検討に参加しており、この分野の有識者と共にその内容に対して十分な評価・検討を行ってきている。
 まず、導入ポテンシャルについては、これまでの環境省および経産省における導入ポテンシャル(エネルギーの採取・利用に関する種々の制約要因による設置の可否を考慮したもの)に関する調査検討結果を踏まえており、2050 年までにこれを最大限顕在化させることを目指して、施策を最大限強化する場合を高位ケースでは想定している。その結果、高位ケースでは2020 年までに発電電力量の20%程度、2030 年までに20~40%の発電電力量なる
ことが見込まれる(高位ケース2020 年1983 億kWh、2030 年に3441 億kWh)。2030 年の高位ケースの内訳は、以下の図および表のとおりであるが、条件が整えば2050 年までの導入見込量を前倒しすることも可能と考えられる。

 発電コストについては、コスト等検証委員会での検討結果が参考になるが、太陽光発電、風力発電などは導入量が増えるにしたがって、学習・経験曲線あるいは大規模化によるコストダウンを将来的に見込むことができる。すでに日本国内においても導入が進んでいる住宅用太陽光発電については、コストダウンが加速しており、メガソーラーや風力発電についても、海外での事例と同様のコストダウンが期待できる。コスト検証委員会の試算で
は2030 年には、再生可能エネルギー発電コストは他の電源と同じレベルになるとされているが、世界の趨勢をみれば、これは前倒しが十分に可能である。また、バイオマス発電以外の再生可能エネルギーでは燃料調達が原則として不要であることから、20 年を超える長期間の運転(設備更新を伴う)を想定すれば、その発電コストはさらに下げることができる。
 すでに世界の再生可能エネルギー市場は急成長の段階に入っており、市場の拡大に伴う波及効果はすでに明確である。再生可能エネルギーの市場に関する最新レポートとしては、Bloomberg New Energy Finance “Who’s Winning the Clean Energy Race?2011 Edition”http://www.newenergyfinance.com/WhitePapers/download/68 を参照。世界の再生可能エネルギー市場の規模は2300 億ドルを超え、成長を続けているが、そのうち日本は86 億ドルで約4%の市場シェアとなっている(日本の市場のほとんどが住宅用太陽光発電)。


 再生可能エネルギーの導入に伴う経済的な影響については、設備投資などに伴う費用と便益を評価することが重要であり、固定価格買取制度など市場メカニズムを活用した施策が十分に効果があることが欧州などで証明されている。再生可能エネルギーの便益としての①温室効果ガスの削減②エネルギー自給率の向上③化石燃料削減④産業活性化⑤雇用の創出などを勘案すれば、その費用を固定価格買取制度を通じて電気料金の賦課金とするこ
とは十分に合理的な施策であり、市場を活用した資金の調達や設備投資が実現可能である。
 電気料金への影響についても、現在の燃料費調整制度が上限としている5 円/kWh を下回る賦課金で2030 年までの長期的な制度の運用が可能と考えられる。しかも、将来の化石燃料の上昇を考えれば、回避可能原価の上昇に伴い、再生可能エネルギーの導入により電気料金の上昇を抑制する効果を持つと考えられる。


 再生可能エネルギーとして太陽光発電および風力発電を大量に導入した際の送電網への影響については、合理的な費用の範囲で対策を行うことが可能である。環境省のエネルギー供給WG でも詳細な評価・検討が行われている。太陽光発電と風力発電が大規模に導入された上記の2030 年の高位ケースでも、地域ブロック別・1 時間レベルの需給バランスに対する調整能力を考慮した試算が行われている。この場合、広域の系統運用でカバーできない局面では、需要の能動化、揚水発電の利用、出力抑制の順で対策を実施することを想定している。火力発電などバックアップ電源による調整も必要になるが、上記の対策と組み合わせることにより、既存の設備を活用した合理的な範囲での運転が可能と考える。2030年までの系統対策費用の試算では高位ケースで合計5.1 兆円(2690 億円/年)となり、十分に合理的な設備投資の範囲に収まると考えられる。

 再生可能エネルギー導入の実現性については、すでに日本よりも10 年先行している欧州の導入実績および政策、今後の政策目標について参考にすべきである。日本が1990 年から2010 年にかけて再生可能エネルギーの電力の割合をほとんど増やさず、寧ろ減尐させているのに対し、EU 各国では2000 年以降、着実に再生可能エネルギーの導入量を増やしている。ドイツ、スペイン、英国においては2000 年からの2010 年の10 年間で再生可能エネルギーによる発電量を約3 倍に増やしている。さらにEU では2020 年までの再生可能エネルギーの導入目標を最終エネルギー消費の20%と定め、さらに国別の導入計画(NREPA:National Renewable Energy Action Plan)を策定している。発電量に占める再生可能エネルギーの国別の実績と、2020 年までの政策目標を以下の図に示すが、EU 各国は2020 年までに35%を超える再生可能エネルギーの導入目標を掲げており、日本の2030年の目標として35%はむしろ最低限のレベルと言える。


【原子力】No.27-2 への回答
 雇用に関する効果では明らかに大規模集中型の発電設備よりも分散型の再生可能エネルギーほど雇用効果は大きい(以下の表)。原子力発電所については、今後、廃炉に伴う雇用がある程度考えられるではないか。太陽光発電などの再生可能エネルギーの機器については、国際競争下にあり、機器そのものの国内シェアだけでその経済効果や雇用効果を判断することはできない。すでにドイツでは再生可能エネルギー分野において、日本の数倍の市場規模に達しており、様々な政策面・経済面の調整が行われている。再生可能エネルギー分野では機器そのもの経済効果もあるが、事業を行うための制度、金融、設計、施工、メンテナンスなど多岐にわたる経済効果がある。さらに導入に伴う環境面、エネルギー安全保障、農林水産業や地域活性化など様々なメリットが得られるなど多面的な評価が必要である。詳しくはISEP ブリーフィングペーパー「ドイツは自然エネルギーへのシフトを継続する」(2012 年4 月18 日) http://www.isep.or.jp/library/2772 を参照。ドイツでは日本と比べて設備容量で約5 倍(発電規模では10 倍相当)の太陽光発電がすでに導入されており、毎年の導入量も日本の5 倍を上回るペースとなっていることに注意(以下の図)

No.23 への回答
 従前のエネルギー基本計画にあわせて経産省がエネルギー需給の試算を行い、BAU では業務で2030 年に向けて2008 年比でエネルギー原単位(電力だけでなく熱利用も含む最終消費全体)が約10%悪化、家庭で2008 年比約20%悪化としていた。こんなBAU から省エネを考えても余り減らないが、実際には2000 年代のトレンドは業務、家庭共にエネルギー全体では原単位改善傾向にあり、電力消費原単位も家庭は横ばい、業務は改善に向かい、こうした架空のBAU は見いだしにくい。
 今後の省エネは、労働環境にせよ生活環境にせよ悪化・我慢を求めるのは慎重にすべきである。新築建築物の断熱規制すら導入できず、一方で浪費型機器の製造販売を一部で放置する従前の不十分な政策の結果としてエネルギー浪費でかつ劣悪な生活環境があった。
 政策転換で大きな省エネと生活環境改善の両立は十分可能である。逆にエネルギーを使えば必ず豊かになるという因果関係はなく、その浪費を前提にする必要はない。

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