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「不正より受給漏れ深刻」 東京新聞

  つい先ごろまで札幌、埼玉、東京での餓死・凍死・孤立死が大きな課題となった。労働法制の規制緩和と社会保障の削減によって増加する貧困層の拡大。生活保護の補足率の低さは、ケースワーカーの量と専門性の不足など・・・
「もやい」のHPが、「生活保護:不正より受給漏れ深刻」(東京新聞5/26)を紹介している。

 そもそも社会保障制度の発端は、19世紀末、イギリスで大不況、貧困の拡大のもとで、高まる労働運動に対し、海運業者であったブースの調査とそれにもとづく対策にはじまる(以下、過去の備忘録の一部を再掲)。
 貧困は心がけではなく、「ひどく劣悪な条件でも、否応なく食べるために働かなければならない」という状況の結果であり、その改善が、労働者間競争圧力を緩和し、労働者の要求実現に優位に導く環境をつくろうとしたものである。
 その対策として、世界初の無拠出老齢年金(1908)、世界初の職業紹介所(1909)、世界初の失業保険(1911)等に結実に結実した。
 つまり「労働力の急迫販売」を防ぐことで、労働者・国民全体の生活を改善しようとするものである。

 日本の現状をみても、労働法制の規制緩和と社会保障の削減という「労働力の急迫販売」を加速することで、例えば、資本金10億円以上の大企業の利潤と内部留保が急速に拡大していることで実証されている。

 残念ながら日本の労働運動の主流が、企業別・正規中心で御用組合化していることで、働く者が分断にさらされ、資本の横暴に対するたたかいの足場としての社会保障の役割が不鮮明になっていると感じている。

 また、西日本では、特定勢力に屈服した同和行政の影響で、公正さを貫けない行政のゆがみが生まれていること(特定同和勢力と一体となった職員組合に見られるゆがみも・・・)が、国民の中に分断を持ち込んでいる(「この国民分断」の役割は、支配層にとって重要であり、だから同和行政のゆがみについて、日本共産党以外の政党も大手メディアもスルーしている。)


・生活保護の増加と不正受給対策について、以前紹介した内容
【問題は「貧困の拡大」~ 生活保護最多で見解 2011/11
 
・生活保護の水準は、多くの施策の基準となっており、最低賃金、年金などにも影響する。少し古いが… 
「政府・厚労省による生活保護基準見直しの影響について」 07
「seikatuhogo2007.doc」をダウンロード

【チャールズ・ブースの「常用雇用化」論】

・19世紀末、英国の世界市場単独支配が終わり、帝国主義の時代に突入/この時、英国は世紀末大不況に遭遇/この時期に、「独占」と呼ばれる寡占企業が成立、クラフトユニオンがゆきづまりを見せる一方で「新型組合」とよばれる一般労組が台頭、社会主義思想が勃興するなど騒然とした世相

→マルクスの命題に対し、資本主義の大胆な修正で貧困問題を乗り越えようとする試みが、社会主義運動の高揚に強い危機感を抱いた資本家階級に属する人々から提起された。

・ チャールズ・ブース(海運業者 1840-1914年)統計学を駆使して「ロンドン調査」を実施
 『社会階層』の概念を用い、一定の「職業と結びついた貧困層」の存在を証明したのが最大の特徴
  〜 港湾労働者、煉瓦積工、馬車の などをレーバリング・プアの代表として見出した

→ 基準「収入が規則的にあり、質素な暮らしながらも、緊急時に他人から借金しなくても済む暮らし」/この基準以下の世帯の出現率は35%強にも達した。

・ブースの分類 /標準生活E 貧困層D(収入は規則的だが低賃金)、C(間歇的収入)、B(不規則な収入)、A(臨時的労働者の最下層、浮浪者と半ば犯罪者)

→ CDの貧困原因は68%が「就労は規則的だが低賃金」「賃率は低くないが不規則」。ブースは「雇用に基づく貧困」と分類。/ 病気や大家族による貧困は「境遇に基づく貧困」19% /『個人の道徳的堕落』は全体の13%だけ

・ブースは、最大の貧困原因が雇用問題であると発見 /「半失業」問題に着目。貧困は、雇用問題という「社会的原因」であると証明した

→ なぜ社会的原因か ①資本家階級の圧倒的な繁栄の下で労働者の悲惨とも言うべき貧困が生じた ②国家が何らかの対策を採るならば解決できる貧困を放置しているから。

・ブースの処方箋 ・・・「不安定雇用労働者」を構成するB階級を、労働者階級全体の「死錘」と見なし、B階級を取り除くことで、CD階層をE階級まで浮上する。

→ B階級には高齢者や障害者が多く含まれ、公的扶助で生活を保障し、労働市場から引退させると「ひどく劣悪な条件でも、否応なく食べるために働かなければならない労働者」をなくし、労働者間競争圧力を緩和し、労働者の要求実現に優位に導く /マルクスが述べた「産業予備軍の死重」を取り除こうとした。

・ブースの「常用雇用化」/ さらに「不安定雇用」をなくすために正規労働者化を提唱し、公的な無料の職業紹介所を創設し、「雇用の質」をチェックし、不安定雇用を労働市場から除去する役割を担わした。

→この体系は、「ブースの市場論」「ブースの雇用理論」と呼ぶ
→ この考えは、「労働市場の組織化」理論として、ベヴァリッジらに受け継がれ、先進国の雇用政策、社会保障政策の基本的枠組みとなった。

◇「不安定雇用」――失業の本質

・日本は労働法制の緩和、非正規労働の増加と正規労働者の条件悪化により、大企業は巨額の利益を得た。/今の日本から貧困をなくすためには、労働者派遣法の禁止からスタートしなければならない

→ 失業問題を回避する貧困研究は、貧困問題の本質にたどり着けない。

・ブースの政策提案 / 世界初の無拠出老齢年金(1908)、世界初の職業紹介所(1909)、世界初の失業保険(1911)等に結実 /この実現は、彼一人の力ではないが「不安定雇用」という「近代的貧困の本質」の発見をつうじ、貧困認識を一変させ社会保障制度の創設という新しい政策を提起した意義は評価されなければならない
→ ブースの研究は、今も「貧困の発見」「失業の発見」と賞賛/ 労働者階級にとって普遍的価値を有する。

≪「なぜ資本主義は貧困を広げたか」(唐鎌直義・元専修大学教授)、経済2010年11月号より ≫


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