発注者にこそ責任 バスツアー事故
旅行業者が発注した業務が、ひ孫請けまで行ってブラックな業種が請負、悲惨な事故をおこした。一連の報道は、ひ孫請した業者のモノがほとんど。
公務のアウトソーシングについてこれまでいろいろ書いてきた。ふじみ野市や泉南市のプールや浜名湖のボート転覆などの死亡事故。プール死亡事故では、発注した市の担当者の刑事責任が問われた。
【ふじみ野プール事故判決 民間委託への警告 2008/5】
【浜名湖ボート死亡事故 指定管理者制度が生み出した悲劇2010/8】
【泉南市プール死亡事故 またも民間委託の犠牲2011/8】
なお、苛酷な労働実態について、5年前、吉井議員が追及している。
【背景に過酷な労働実態 バス規制緩和 07年に吉井議員が追及 5/3】
請負という業務形態は、「専門性がある」「単に労務提供でない」ということで、業務の結果を受け取り、そのかわり発注者は、請負業者の労働者に直接指揮命令できないことで、労災などが起きたときに、労働者が不利益をこうむらないように、その責任の所在を明確にしている。
だからこそ、きちんとした業者を選定したのか、その業者の実態に問題がないのかモニタリング調査を実施したのか、も含めて、最終責任は、発注者にある、と思う。
これが、例えば行政が企画した視察や研修での事故であれば、「お任せ」「丸投げ」を見過ごした行政の責任が問われていただろう。
今回なぜ発注者の責任を追及する論調にならないのか。強い立場にある発注者の責任をきちんと問わないと、トカゲの尻尾きりになる。影響が大きいので触れないのか・・・
すでに、公務の現場での「請負」では、厳しい判決が出ている。
発注段階から、安全性(労働条件、保守点検費用の確保)などを織り込んだものにしないと、業界全体の改善には行き着かない。
規制緩和の論理は、「悪い商品、サービスは、市場で淘汰される」という事後のチェック。おそらく陸援隊という会社は淘汰されるだろう。でも、次のブラックな業者が出ない保障はない。
簡単に代えのきく商品なら「市場の作用」で「淘汰」も有効だろう。
命や健康に代えはきかない。そこに規制緩和の原理の根本的な欠陥がある。それはアメリカのタクシー規制緩和が事故の多発で見直され、日本も同じ轍を踏んだことでも経験済みのこと。当然、予想された安全軽視につながる規制緩和。それを実施したのは政治である。
この規制緩和に賛成した政党、政治家は、コメントを発するべきである。
「よいサービスには、それなりの費用がかかる」・・・これは高知市の開いたアウトソーシングの説明会で、企業の担当者が言った言葉である。
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