「事後的検証が弱い」 補助金~外部監査
昨年の外部監査で「ムダ」としてきされたビデオの記事が地元紙にのっているが、先日公表された「補助金」の外部監査から「意見」を中心にした気になる点の資料。監査人の意見にすべて「同意」するわけではないが、業務の詳細や検討課題を知る点でも貴重なデータである。
監査は問題点として「主な共通項として補助金を交付した後の事後的検証が弱いという点に問題が集約される」としている。これはアウトソーシングでも共通している。つまり、目的がはっきりしていない、ということ。外部監査の扱いそのものが、そうなのだが・・・ ガバナンスの劣化と言える。
【補助金等に関する事務の執行について 2011年度 高知市・外部監査】
なお、以下のメモでは最後に記してある「総括意見」を最初に配置した。
≪補助金等に関する事務の執行について 2011年度 高知市・外部監査≫
【総括意見】
個別補助金に対する結果や意見に加え、全市的な取組が必要な共通事項として、次の6つの結果及び意見を提示している。
1)補助対象経費の執行確認について(結果)
2)補助対象経費の非効率な執行有無の確認について(結果)
3)補助金リストの作成と公表について(意見)
4)補助金の一時中断について(意見)
5)補助金の交付方法について(意見)
6)市職員への福利厚生事業に係る補助金の調査について(意見)
「第1.包括外部監査の概要」における「3.事件を選定した理由」でも述べたように、包括外部監査における改善要望等が、行政機構の中で広く活用され、より一層の効果を挙げるためには、特定の機関や部署に対する指摘内容を市役所内で共有し、全市的な取組みとする必要があると考えられる。
この点、上記6つの改善要望等は、まさに市役所内で情報を共有し、全市的な取組みを図るべきものとして提示した内容であり、こうした趣旨を十分に理解した上で、全市的な取組みを期待するものである。
主な共通項として補助金を交付した後の事後的検証が弱いという点に問題が集約される。
社会的あるいは経済的な要請等から、行政の支援(補助金)が必要なケースも多いと考えられるが、こうした行政の支援(補助金)は、補助金交付前の事前検証と補助金交付後の事後検証という2つの検証機能が整備・運用されることによって、はじめて公平性や経済合理性において概ね妥当との判断が可能になると考えられる。
この点、現状の市の体制は、事前検証に多くの時間が割かれ、事後検証は十分に機能していないように感じられる事例が多く見受けられた。こうした市の風土が、補助金に対して支出の事実に紐づかない経費を計上している事例や、年度末に予算残額に見合う執行を実施し繰越差額が生じていない事例等を生じさせていると思われる。
今後は、補助金交付後の事後検証を強化する必要があると考える。
最後に、すべての市職員に対する、注意喚起を申し添える。
今回の包括外部監査では、補助金名称単位で254 の補助金を抽出し、その内100 万円以上のものを個別調査の対象としており、すべての補助金を検証した訳ではない。
これは監査人として、一定の金額的重要性を加味して、監査時間や補助者という監査資源を適切に配分した結果であり、検証対象とならなかった補助金が何ら問題ないことを保証したものではない。
したがって、検証対象とならなかった補助金についても(特に100 万円未満の補助金)、本報告書の趣旨を十分に理解し、本報告書で取り上げた補助金と同種の問題がある場合には、同様の対応を図るべきである。
【総論】
◇全庁的テーマとなる「補助金」を選択した理由を、前年「委託料」をテーマした前任の包括外部監査人の指摘――「特定の部署を対象に指摘を行った場合、指摘の対象となっていない部署では直接的な対応をとらない傾向がうかがえた。」「外部監査による指摘事項が市の事務執行全般に波及しにくい風土があったことは否定しにくい。」を「非常に共感できる内容である」としている。
◇補助金リストの作成と公表について(意見)
本監査にあたり、全市的な補助金リスト(予算・決算ベース)の有無を確認したところ、そうした資料は存在せず、行政改革推進課が情報公開用に作成している一覧表(当初予算ベース)があるのみであった。
補助金がどういった趣旨で、どういった団体に、どれくらい交付されているかを一元的に把握し、時系列比較することは、各種の行政改革を実施する上では、極めて有意義であると考えられる。また、こうした情報は、市民が適切な団体に補助金が交付されているかを自ら点検できる材料になり、市民サービスの状況を間接的に確認することもできるものと考えられる。
今後は、全市的な補助金リストを当初予算ベースで公表した後、補正予算・決算の情報を追加したものを作成し、再度公表する必要がある。
なお、全市的な補助金リストには水道局が交付する補助金は含まれないため、水道局も上記の補助金リストと同様に取り扱う必要がある。
◇特定団体に対する運営費補助金
☆全体意見 /補助金の一時中断について
「特定団体への運営費補助金や、実質的に運営費補助金と同様の性質を有しているもの」については「一定額以上の余剰金がある団体については、運営助成目的の補助金交付を一時中断し、一定期間は余剰金による団体運営を図るべきである」
◇高知市社会福祉協議会
平成22 年度の一般会計の当期資金収支差額は66,063 千円であり、仮に補助金が交付されなかったとしても17,510 千円(66,063 千円-48,553 千円)の資金収支差額があったことになる。
また、当期末支払資金残高が499,204 千円、運営基金積立金が183,389 千円、介護保険事業積立預金が120,000 千円と、合計8 億円(802,593 千円)以上の余剰資金も有している。
多額の余剰資金を抱える団体への補助金の交付については、補助の必要性、妥当性を踏まえつつ、余剰資金の積極的活用を図る視点で、補助金交付の一部取り止めも含め、早急に見直しを行うべきである。
◇クンペル高知
補助金の中断は行う必要はないと考えられる。
しかし、平成22 年度に国庫補助金が廃止された理由が自立化であることを考慮すると、会費(職員1人につき月額500 円を)の値上げ等による自立化に向けた取り組みを促進させることが望まれる。
◇スポーツ振興事業団
事業団のコピー用紙や新聞代等までが補助金の積算に含められている事実は、事業団に自己財源の確保に向けた自助努力を促す気があるのかを疑わざるを得ない。
最終的には、財政課との調整によって一定の減額がなされ、さらに精算によって約3 百万円が市に返還されているものの、当初の積算内容を見る限り、交付要綱における「事業団の運営に要する経費」が拡大解釈されている感が拭えない。
早急に積算項目を検証し、交付要綱に規定されている「事業団の運営に要する経費」を厳格に解釈すべきである。
◇高知市観光協会
収益会計に区分される龍馬に大接近事業は、従来、入場料を徴収していなかったが、龍馬伝ブームにより観光客が増加した平成21 年度、平成22 年度は、100 円の入場料を徴収している。
また、当該事業に対しては、平成21 年度、平成22 年度の各年度において3,000 千円の補助金が交付されている。
平成22 年度の決算書及び事業報告を閲覧したところ、龍馬に大接近の入場者は99,908 人であり、事業収入は入場者数に入場料100 円を乗じた999 万円であったと推測される。
他方、龍馬に大接近に係る事業支出は決算書上848 万円となっており、当該事業は補助金の交付がなくても約150 万円の利益があったと考えられる。
利益がでている事業に対する補助金は必要ないものと考えられるため、平成21 年度、平成22 年度に当該事業に対して交付されている補助金の合計600 万円については、返還を求めることが望まれる。
◇姉妹友好都市交流事業
各委員会とも、補助金が交付されない場合の単年度収支に対して3 年を超える繰越金及び積立金を有しており、仮に補助金が交付されないとしても、フレスノ及び蕪湖については2 年程度、北見及びスラバヤについては10 年超は資金不足に陥る懸念はないと考えられる。
「1.全市的な取組が必要な共通事項」の「4)補助金の一時中断について」に記載したとおり、補助金の交付を一時中断することが望まれる。
◇市の外郭団体に対する取組について 指定管理者の公募について(意見)
財団法人高知市スポーツ振興事業団は、平成18 年度から平成23 年度まで高知市総合運動場等の5 施設の指定管理者として選定されているが、当該選定にあたって公募はなされていなかった。
市はプロ野球のキャンプ誘致等において実績と経験のある当事業団が指定管理者として適切であり、プロ野球のキャンプを継続的に獲得するため、平成24 年度以降の3年間も公募はしない方針であった。
また、財団法人高知市都市整備公社は、平成18 年度から平成23 年度まで桂浜公園駐車場やわんぱーく高知の指定管理者として選定され、桂浜公園や市内公園の管理業務の委託も受けているが、当該選定にあたって公募はなされていなかった。市は公園管理の実績と経験のある当公社が指定管理者として適切であり、平成24年度以降の3 年間も公募はしない方針であった。
先にも触れたように、市は「指定管理者制度対応方針」において、自ら「平成18年4 月以降の指定管理者の選定は公募を原則とする」旨を宣言している。平成18 年度以降9 年間も公募がされず、両外郭団体に対して数千万円もの運営費補助金を交付するという事実は、随意契約と変わる所はない。
市民に向けて公表する資料において、原則公募という方針を掲げたのであれば、こうした方針を遵守すべきであり、プロ野球キャンプ誘致等の一定の行政施策の観点から公募としない事例があるのであれば、こうした例外的な取扱いを市民向けに公表すべきである。
また、公募時の選定に際しては、運営費補助金の交付を受ける両団体と、こうした補助金を受けない他の応募者が公平に取扱われるよう、運営費補助金が交付されている事実を適切に加味する必要がある。
◇町内会等の地域コミュニティー関連の補助金
町内会に代表される地域コミュニティーの取組を支援することは必要不可欠であると考えられるが、各種団体への特定名目の補助金を交付するにあたり、総額を均等に配分する結果、一団体当たりの補助交付額が極めて僅少になっている事例が散見された。
団体間での取組み内容を定量化することが困難なため、こうした配分方法になっていると考えられるが、この配分方法は熱心な取組みを実施する団体とそうでない団体の差別化が図られず、結果的に不公平な配分になっていると考えられる。
また、限られた財源を広く薄く交付すること(一団体当たり数万円程度)によって、補助効果が十分に発揮されていないのではないかという懸念がある。
総額を均等に交付する方法に代えて、活発な活動が見受けられる団体に傾斜配分する、あるいは、斬新な事業提案のあった団体に傾斜配分する等、補助効果を意識した方法の検討が必要と考えられる。
こうした手法を導入するにあたっては、交付額の決定にあたり異論や反論等、乗り越えるべきハードルが多く待ち受けていると考えられる。しかし、市財政が逼迫し、一団体当たりの交付額が減少傾向にある中で、現状の交付方法は早晩行きずまると推測される。
市職員の努力と創意工夫によって、より地域住民に必要とされる補助金の交付を実現することを期待する。
◇高知市交通安全推進会議
各校区交通安全会議以外の各団体の事務局は交通政策課内に設置されており、交通政策課員が事務処理を実施している。
①決算書の次年度繰越金が0 円となることは通常考えられない。担当課に理由を確認したところ、イベント等で市民に配布する反射リストバンド1,484 本を年度末近くに購入した際、次年度繰越金が0 円となるよう業者に3 円の値引を依頼したためとのことであった。
監査日現在の在庫数量は1,239 本であった。前年度末以降は追加で購入していないことから、購入数量がほぼ在庫として残っていることになる。また、これとは別に、市が保有する反射リストバンドも監査日現在において1,961 本あった。
年度末近くにそもそも購入する必要がなく、購入自体が次年度繰越金を調整するために行われており、適切な支出であったかどうかが疑問に残る。
②費用対効果の検証について(意見)
交通安全指導員協議会の支出総額2,396 千円の内訳として研修旅行961 千円があった。研修旅行の主な内容は、奈良市の交通指導員との交流研修及び大阪市の交通科学博物館の見学。
研修旅行の参加者は34 名で、参加者も一人当たり13 千円を負担しているとはいえ、交通費及び宿泊費等の協議会負担分519 千円には市と県指導員協議会からの補助金が使用されている。
担当課によると、奈良市の交通指導員との意見交換等によって、今後の活動内容等の参考にしているとのことであるが、研修旅行が補助金の目的である交通安全の増進にどのように寄与しているのか明らかではない。
また、代表者による意見交換でもよいと考えられ、そうすれば出張者数が少なくなるため費用は低く抑えられる。研修旅行の目的を明確にするとともに、費用に見合う効果が上がっているのかという費用対効果を検証することが望まれる。
③補助金の交付方法について(意見)
当該補助金は、各校区交通安全会議へ再交付されており、平成22 年度の再交付額は1校区当たり10 万円程度で、合計4,832 千円となっている。
補助金の基準額には均等割部分が含まれている。こうした交付方法は、限られた財源を広く薄く交付することはできるが、各校区交通安全会議の活動の程度が反映されない。そのため、校区交通安全会議によっては、必要としていない額の補助金が交付されることもあれば、反対に必要としている額の補助金が交付されないこともあり、十分な補助効果が上がっていない可能性がある。
均等割部分については、「1.全市的な取組が必要な共通事項」の「5)補助金の交付方法について」で記載したとおり、より補助効果が発揮できる方策の検討が必要と考えられる。
◇地区人権啓発推進委員会
・25地区。1地区につき定額の7万円を交付。
・各地区の支出合計額に対して、会議費及び事業費の占める割合が高い。会議費の内容は、主に総会及び懇親会の飲食代である。また、事業費及びその他費用の内容は、子供向け人権啓発アニメの上映会で配布する啓発グッズ及び文房具類の費用、講演会の謝金等、各地区により様々である。その中で、日帰りの視察研修費用を計上している地区も7地区あった。
視察研修費用には、参加者からの負担金と市からの補助金が充てられている。視察研修の行き先は高知県立龍馬記念館等であった。担当課によると、幕末から大政奉還、そして近代日本へと移る時代背景において身分制度の変遷等史実を学ことにより人権意識の高揚が図られ、また委員以外の市民が気軽に参加できる機会を提供することで、新たな人材確保を目指すとのことであるが、視察研修が当該目的にどの程度寄与しているのか明らかではない。
視察研修の目的を明確にするとともに、費用に見合う効果が上がっているのかという費用対効果について、報告書を提出させること等により検証することが望まれる。
・補助金の交付方法について(意見)
当該補助金は、平成22 年度では1地区につき7万円程度が交付されている。
補助金を交付するにあたり、総額を均等に交付する方法は、限られた財源を広く薄く交付することはできるが、各地区人権啓発推進委員会の活動の程度を加味していないため、補助した額に見合う効果が上がっていない可能性がある。
「1.全市的な取組が必要な共通事項」の「5)補助金の交付方法について」で記載したとおり、より補助効果が発揮できる方策の検討が必要と考えられる。
◇自治公民館
・市内には、市が設置する40 の公立公民館に加え、地元自治会が設置する184 の自治公民館がある。
自治公民館の運営補助金であり、1 施設につき最大6 万円を補助している。平成17年度からは厳しい財政状況を受けて2 割の削減が実施されており、最大4 万8 千円となっている。
平成22 年度については、171 施設に総額6,860 千円を交付している。
・市職員による検査について(結果)
交付要綱第8 条では補助事業の実施状況について、関係書類の検査をすることができる旨が定められている。
この点、市は171 の交付先団体について、領収書等の証憑を添付して決算書を提出する団体分のみの証憑確認を実施しており、添付のない団体についての証憑確認を実施していなかった。
171 の交付先団体のすべてについて、証憑確認を実施することは膨大な事務処理が必要となるが、市による証憑確認をまったく実施せず、専門知識を有しないと推測される自治公民館の監事監査のみによるモニタリングでは、補助対象経費が適切に執行されたかの確認を十分に実施できない。
今後は、交付先団体をサンプル抽出し、抽出された団体についての証憑確認を実施することで、モニタリング体制を強化する必要がある。
なお、この対応を図るにあたっては、「1.全市的な取組が必要な共通事項」に記載しているように、全市的な方針に準拠することに留意が必要である。
・補助金の交付方法について(意見)
補助対象経費の上限額の2 分の1 を補助することから、概ね4 万円程度の補助金が171 施設に交付されており、総交付額は7 百万円程度で推移している。地域住民による公民館活動を支援するために、自治公民館に補助金を交付する趣旨は理解できるが、すべての自治公民館に対して結果的にとはいえ、同額の補助金を交
付するやり方が、限られた財源の中で十分な効果を発揮しているかについては疑問が残る。
「1.全市的な取組が必要な共通事項」の「5)補助金の交付方法について」で記載したとおり、より補助効果が発揮できる方策の検討が必要と考えられる。
◇高知市体育会
・40 の地区体育会(本項では以下「地区会」という。)及び賛助会員で構成される高知市体育会(本項では以下「体育会」という。)に対する補助金である。/約170万円
・補助金の一時中断について
少年団については、補助金が交付されない場合の単年度収支に対して5 年を超える繰越金を有しており、4 年間は繰越金での団体運営が可能と考えられる。
・補助金の交付方法について(意見)
体育会では地区会から徴収する分担金という自己財源があるものの、当該分担金は結果的に地区会に還元されており、市が交付した補助金も当該還元金に充当されていると推測される(1地区当たり2 千円で合計は80 千円)。補助金の使途として、1 地区当たり2 千円の還元金を支給すること自体に問題はないが、こうしたやり方にどれ程の補助効果があるのかは疑問である。
◇青少年育成協議会
・大半は校区会の活動費として校区会へ交付されている /約490万円
・各校区会が実施する各種の青少年育成活動を支援する趣旨は理解できるが、各校区会に10 万円程度の金額を交付するやり方が、限られた財源の中で十分な効果を発揮しているかについては疑問が残る。
補助金である以上、公平性に十分な配慮が必要であることは当然であるが、真の公平性は活発な事業推進が見受けられる校区会に対して多くを配分することにあるはずである。
上記の均等割部分については、「1.全市的な取組が必要な共通事項」の「5)補助金の交付方法について」で記載したとおり、より補助効果が発揮できる方策の検討が必要と考えられる。
◇町内会連合会
・900 を超す単位町内会及び27 地区の地区町内会連合会 /247万円
・連合会は、人件費が平成22 年度決算で1,806 千円と、事務職員1人
分しか計上されておらず、これを3人交代で行っている状況であり、担当課によると、これらの活動を実施するのに十分な人員体制にはなっていないとのことであった。
人員体制の充実にあたっては、増加する経費について、連合会にその財源がないため、補助金の増額により賄うことが予想される。連合会の活動活発化に伴い補助金を増額するにあたっては、連合会への事務移管により市の経費が削減されること等の補助金の増額に見合う効果が上がることを慎重に検討することが望まれる。
◇公衆街路灯電気料
・1灯につき1年度当たり2,000 円 4360万円
・事務手続の省力化について(意見)
毎年の補助対象となる街路灯は増加傾向にあり、平成22 年度においては、900 を超える町内会等に対して補助している。その交付申請書の受付から、交付決定通知書の発送及び補助金の振込手続等の一連の事務手続は煩雑である。
このため、担当課によると、事務手続の省力化のため、高知市町内会連合会(本項では以下「連合会」という。)へ事務を移管することを検討中とのことである。
これが実現すれば、市が連合会へ補助金を交付する事務手続は必要であるが、交付先は連合会1件だけとなるため、市の事務手続は省力化される。一方の事務を移管されることとなる連合会は、27 地区の地区町内会連合会へ事務をさらに移管することによって、事務手続を省力化することができる。また、各町内会等への補助金交付に際しては、各町内会等が地区町内会連合会へ支払っている負担金との相殺によって振込手続を省き、振込手数料を発生させない方法も考えられる。
事務の移管に当たっては、移管先での人手の確保等の課題もあるが、実現に向けて早急な取り組みが望まれる。
◇自主防災組織育成強化事業
・補助金申請の受付は、交付事務を効率的に行うため事実上8月頃で締め切られており、それ以降に申請があれば、翌年度の申請を申請者に依頼しているとの説明を受けた。
事業の実施期間は交付要綱で1月末までと規定されているため、申請の受付にも期限を定める必要があることは理解できる。
・申請の受付期間が短いと、翌年度に申請できるとは言え、申請を行う機会を失わせるため、申請者の自主防災組織結成の機運を低下させる恐れがある。
自主防災組織の結成を促進するため、申請者に申請を行う機会を確保させるよう申請の受付期間を見直す必要がある。
◇高知市自主防災組織育成強化事業費補助金との一本化について(意見)
自主防災組織に対する補助金及び助成金には、高知市自主防災組織育成強化事業費補助金と高知市防災施設等整備事業助成金の2種類がある。
両者は、交付目的が類似しており、対象事業も一部重なっているが、両者を同じ年度に申請する自主防災組織がある場合、現状では各々手続を行っている。両者の制度を一本化すれば、手続を合わせて行える等事務負担が軽減される。事務の効率化を図るため、県との連携も踏まえた両者の制度の一本化を検討することが望まれる。
◇民生委員児童委員事業
・4336万円
・補助金の管理について(結果)
当該補助金は民生委員・児童委員の活動を実施するための費用として交付されるものであり、社会通念を超えて民生委員・児童委員らの忘年会費用や懇親会費等に充てるべきものではないはずである。
この点、現在の管理方法では、支出がどういった財源で賄われているかの特定ができないため、当該支出が民生委員・児童委員の活動費の留保分からなされたのか、民児協の事務費部分からなされたかの検証もできない状況である。
こうした問題に対処するため、民生委員・児童委員の活動費部分と民児協の事務費部分を区分管理する必要がある。なお、調査対象となった3 地区のすべてが、こうした状況であるため、上記3 地区以外についても早急に調査し、同様の状況であれば、資金の区分管理をする必要がある。
・各種の研修費用等の検証について(結果)
先の3 地区の支出内容から、相対的に金額の大きい研修費用及び、事務局人件費を抽出した…。
研修費用については、主に研修旅行費用が多額となっており、研修旅行の目的、効果、委員の自己負担額の有無等の内容を所管課として把握すべきである。今後は、研修旅行費用の詳細を把握する必要がある。
また、3 地区とも事務局人件費が計上されており、所管課として、事務員の採用方針や勤務実態の有無等も把握しておくべきである。
◇市職員への福利厚生関連の補助金
・厚生会では、事業財源の50%を職員が負担し、50%は市が負担金を拠出している。なお、厚生会では慶弔見舞金の支給や人間ドック費用の助成、職員から徴収した掛け金に基づく退職後の医療費補助金の給付等の福利厚生事業を実施している。また、水道局では局独自採用者が多いことから、厚生会とは別に独自の福利厚生組織である高知市水道局水睦会を設けて、クラブ補助や保険事業を行ってきた。
・補助金交付の見直しについて(結果)
厚生会への補助金の見直しに対する市の近年の取り組みは一定の評価ができる。しかし、福利厚生を実施することは市の職員の公務能率の向上に資するとされている一方で、市の負担は市民の税の負担を意味することから、福利厚生が市民感覚から乖離していないものであるかを十分に吟味する必要がある。
互助会が実施する退職福祉部事業は、会員の退職後の福祉の増進と生活の安定向上を図るため、医療費補助金等を給付することを目的とした事業である。したがって、当該事業の事務費負担金に充てるため補助金を交付することは、職員の退職後の福祉の増進等にまで市が負担することであって、このような福利厚生は市民感覚から乖離していると言わざるを得ない。廃止を含め補助金の交付を見直す必要がある。
・(民間保険加入の補助)当該補助金は水道局の職員のみを対象としており、他の職員との公平性に照らして問題があると言わざるを得ない。また、市財政が厳しい旨を各方面で訴え、市民負担の増加さえも議題(ごみの有料化等)とされるような環境下にあって、職員の団体生命保険料等の半額に公金が充てられているのは、一般の市民感覚では到底理解できない事態である。
既に補助金の交付は中止されているものの、こうした制度を黙認してきた市の感覚に問題があると考えられる。水睦会への補助金は、こうした社会通念上妥当であろう範囲を逸脱していると考えられ、二度とこうした事態が生じないよう、全市的な周知が必要不可欠である。
◇高知競輪従事員共済会
・従事員から競技開催日数1 日当たり140 円を徴収し、運営費に充てている。共済会の事業内容は、①疾病見舞金の給付、②死亡弔慰金の給付、③結婚祝い金の給付、④出産祝い金の給付、⑤災害見舞金の給付、⑥その他福利厚生に関する事業への給付、⑦退会金である。
市の臨時職員や非常勤職員への福利厚生事業に対する補助金交付はないが、従事員の年間の勤務日数は200 日を超えており、勤務日数において市の正職員とほぼ変わるところがないことから、市の正職員と同様に、福利厚生事業に対する補助金を交付している。
・共済会の収入のうち、市の補助金の負担が1,000 千円であるのに対し、従事員の会費負担が488 千円となっており、補助金額が会費負担を上回っている状況である。
一方、市の正職員が加盟する福利厚生事業を実施する厚生会では、補助金額と会費負担は同額となっていた。市の正職員とほぼ同水準の勤務日数である従事員に対して、市の正職員と同様に福利厚生についてある一定の補助金を交付することは許容できるが、市の正職員より手厚い補助を行うことは、市の正職員との間に不均衡が生じることとなり、公平性の観点から問題である。
補助金による負担額が、共済会の会費による負担額より同額以下となるよう、補助金額に限度額を設定することが必要である。
*共済会の支出の大部分を占める福利厚生費の内容は、次のとおりである。
(単位:円) 内容 金額
大会記念品(50 周年記念) 980,000
三翠園・桂浜荘にて組合員交流会 1,086,470
(8 月3 日~8 月31 日)
出前寄席協賛 59,000
乳癌マンモグラフィ検診 13,150
鞆の浦・福山競馬日帰り研修(3/月7) 455,335
合計 2,593,955
*厚生会で支出されている福利厚生費の内容
福利厚生事業費/生活相談窓口事業。よさこい事業、文化、体育事業、クラブ活動助成
人間ドック等助成事業
共済会の福利厚生費の内容は、まさに職員の福利厚生のための活動費用であるが、市財政が厳しい中、職員の福利厚生の内容についても一定の制限を設けてしかるべきである。
補助金の交付要綱において、補助対象経費は「助成対象者が行う福利厚生に係る給付事業に要する経費の額を限度として、予算の範囲内において市長が認める額とする。」と規定されているのみであり、具体的にどの経費が補助対象となるかが不明瞭であるが、少なくとも厚生会が実施する福利厚生事業とレベルを併せる必要がある。共済会構成員の特色もあり共済会独自のものも考えられるので、福利厚生費として認められる補助対象経費を明確に規定すべきである。
◇市教職員への研修
・補助金のあり方について(意見)
市教職員が研修会等に参加すること自体は有意義と考えられるが、ここに補助金を交付する必要性には疑問が残るところである。
業務上必要な研修は市が用意すべきであり、教職員の自己研鑽のための研修は教職員の自己負担を原則とすべきである。また、やむ得ない場合に補助金を交付するとしても、一定の経済的資力を有するであろう教職員への補助は、必要最低限に留めるべきである。
今後は、事業の実施にあたり、市の教職員負担が耐えきれない程に高額となり、事業遂行が困難な場合に補助金を交付することとし、現在の補助金交付は取り止めるべきである。
なお、教職員が参加する各種研修が業務上必要不可欠なものである場合には、教職員の自主的な参加に委ねるのではなく、市の研修として実施すべきである。
★高知市教育研究会
市立学校の教職員の自主的な研修を推進するために、団体を組織し専門的な研修会の開催等を実施する意義は認められる。
一方で、教職員の自主的な研修を実施するためのものである以上、教職員等の会費による運営が基本原則と考えられるが、事業費の概ね50%を補助金によっている現状には疑問を持たざるを得ない。
厳しい市財政の中にあって、一定の経済的負担に耐え得ると思われる市の教職員の負担が千円程度で、これで賄いきれない事業費を補助金で交付することは、有用な補助金の交付とは思えない。
★高知市夏季教職員研修会
平成22 年度における夏季研実行委員会の決算書を確認したところ、事業費1,412千円のほぼすべてが補助金で賄われていた(利息収入が64 円)。先の高知市教育研究会でも述べたが、市の教職員が自主的に開催する研修会等の費用は基本的に教職員の自己負担で賄うべきものであり、こうした事業の実施を全面的に補助金で支援することは、行き過ぎた補助金交付と言わざるを得ない。
★人権教育研修費
・市立学校の教員が特定の研究大会に参加するにあたり、大会参加費の一部を教員に交付する補助金である(費用の2/3 を補助)。
・市では、補助金交付の対象となっている4 つの研究大会への参加が、市の教員としての業務上の必要性があるため参加費用の一部を補助しており、高知市職員等旅費条例に基づく日当も支給している。
業務上の必要性(職務命令の範囲内)から大会に参加しているのであれば、教員の自己負担が生じるのは、問題があると思われる。一方、一定の自己負担を求めた上で費用の一部を補助している現状に照らせば、これらの大会への参加は教員の自己研鑽によるものとも解釈できる。
上記の4 つの研究大会への参加が、職務命令の範囲内か否かを明確にした上で、次のような取扱いをすべきである。(以下、略)
◇競輪事業
競輪事業は公営競技(公営ギャンブル)として、その収益を市の財政に寄与することを目的としているが、高知競輪においても一般会計への繰出ができていない状況である。
こうした中で、選手育成等の補助金が競輪事業関連の団体に交付されている(高知県競輪選手発掘育成事業補助金、日本競輪選手会高知支部に対する補助金)。累積赤字70 億円のうち60 億円は、高知市総合運動場の一施設であるりょうまスタジアム建設に伴う投資的経費を、競輪事業で負担した結果生じている。選手育成等の補助金を交付することで地元出身の有力な選手を育成していくことにより、特別競輪誘致や開催、参加選手のあっせんに有利に働くこととなり、車券発売収入の増加につなげていくことが可能となる趣旨は理解できる。
しかし、約70 億円の累積赤字を抱える事業に対して、数百万円の補助金交付が収支構造の抜本的な解決につながるとは考えらず、その補助効果には疑問を呈さざるを得ない。当該補助金は、廃止することが望まれる。
①平成16 年度包括外部監査指摘事項について(結果)
平成16 年度の包括外部監査のテーマは、「高知市競輪事業に関する財務事務の執行について」であった。その中で、実績報告書が簡単な抽象的な内容の実績報告となっているため、数量的に報告させるべきであるとの指摘があった。こうした指摘を踏まえて、実績報告書に添付されている平成22 年度高知県競輪選手発掘強化育成事業完了報告書を閲覧したところ、競輪選手新規発掘事業の報告について、「県内の高等学校を訪問」と記載されているのみで、いつどこに訪問したのかが明確になっていなかった。
また、強化訓練の実施についても、「合宿訓練(高松競輪場等)を数回実施し」と記載されているのみで、いつどこで何回実施したかが明確になっていなかった。平成16 年度の監査から6 年が経過している中で、適切な改善がなされているとは到底言えない状況であった。早急に改善することが必要である。
②収支決算書の検証について(結果)
先に示したように、育英会での事業別収支決算書は収支差額が生じていない状況であった。
この点、所管課に確認したところ、競輪選手のOB が設立した会社に運営を委託しており、人件費及び事業費として6,192 千円の委託料を支払っているため、収支差額が生じていないとのことである。
しかし、所管課においては、委託料の内容についての十分な検証を実施していなかった。今後は、補助対象経費が適切に執行されたことを確認するために、支出の多くを占める項目について、所管課による検証を実施すべきである。
③ 補助金交付のあり方について(意見)
本節「(1)全般事項」で記載したとおり、当該補助金は廃止することが望まれる。
【商工・観光振興関連の補助金】
◇観光情報発信事業補助金
高知県旅館ホテル生活衛生同業組合に交付。インターネット上の雑誌である「旅色」の高知版の作成及び掲載。300万円。「旅色」は民間事業会社により運営されており、組合が「旅色」高知版の掲載料3,000千円を当該会社に対して支払っている。市はその全額である3,000 千円を定額で補助している。
・補助金交付先の財務内容の検証について(結果)
所管課は組合の決算書を入手しておらず、組合の財政状態を確認することができな
かった。
一般的に補助金を交付するにあたっては、交付団体の財務状況を確認し、真に補助金が必要な団体であるかを確認する必要があるはずである。
・補助金交付の妥当性について(意見)
「旅色」高知版の掲載により、高知市の観光資源について情報発信できることから、市が補助金を交付することには一定の妥当性を見出せる。
「旅色」高知版の中央エリアを確認したところ、見開き11 頁中4 頁が高知市、南国市及び大川村の高知県の中央エリアの観光資源の紹介であり、その他7 頁がホテルの紹介であった。
このように、「旅色」高知版ではホテルの紹介が主要な情報であるにもかかわらず、組合の費用負担が全くないのは、他の補助金と比較して公平性に欠ける。したがって、市が掲載料全額について、補助金を交付することは適当ではなく、組合にも一定の費用負担を求めるべきである。
◇高知市役所よさこい祭り等参加事業
・補助金の交付目的について、交付要綱では、よさこい祭りの育成発展及びよさこい鳴子踊りの普及を促進し、もって本市の商工観光の振興を図ると規定されている。
よさこい祭りは今や、高知県外を含む189 の団体、踊り子約18,000 人が参加し、全国から約120 万人を集客する大祭りへと発展し、またよさこい鳴子踊りは、北海道のYOSAKOI ソーラン祭りや原宿表参道元氣祭スーパーよさこい等、全国各地へ普及している。
当該目的はすでに十分に達成されたと考えられるため、廃止も含め補助金の交付を見直すことが望まれる。補助金の交付廃止は市の職員のよさこい祭りへの参加を否定する意図ではなく、市の補助金に依存しないよさこい祭りへの参加の形態を考えられたい。
【農業振興関連の補助金】
◇高知市農業用廃プラスチック類処理対策推進事業
事業者においても同様の問題を抱えている。それにもかかわらず、農家にだけ産業廃棄物の処理に対して補助金を交付することは公平性に問題がある。
農業用廃プラスチックの適正処理を推進する目的は理解できるが、農家だけ特別に優遇されるべきものではなく、当然に適正に処理すべき事項である。農家に対する過度な補助金の交付を即刻に中止することが望まれる。
【福祉・医療関連の補助金】
◇民営保育所等に対する補助金
★民間児童福祉施設特別委託金
この補助金は、公私の給与格差の是正と民営保育所の円滑な運営に資することを目的として、認可民営保育所に対して交付されるものである。
市が交付する運営費の中には保育士等の人件費相当(本項では以下「対象人件費」という。)が含まれており、対象人件費と市が定める基準給(本項では以下「市基準給」という。)との差額を民間児童福祉施設特別委託金として認可民営保育所に補助している。また、民営保育所では保育士等の人件費を市の基準に合わせて支給することが多く、市基準給と実際の人件費はほぼ同等の水準になっている。
なお、対象人件費の算定は国家公務員の初任給に近い給料が基になっているが、昇給等が確実に保障される仕組みではないため、勤続年数が長い保育士等の場合には対象人件費と実際の人件費の乖離が大きくなる場合がある。
・民営保育所では一般的に市基準給と同等の人件費を支給しているため、結果的に勤続年数の長い正職員が多いなどの理由により人件費の水準が相対的に高い施設には補助金が交付されるが、人件費の水準が相対的に低い施設には交付されない仕組みになっている。
また、当該補助金を受領している10 施設中4 施設は、補助額を上回る収支差額を計上している。
補助金の交付にあたっては、公平性の視点が重要と考えられるが、相対的に人件費が高い施設には交付され、低い施設には交付されないという状況は不合理と言わざるを得ない。
また、当該補助金は保育需要が高まった昭和50 年代において、民営保育所と市営保育所の給与格差を是正し、民営保育所の給与水準を一定に保つことを目的として開始したものであるが、制度発足時から約35 年が経過しており、制度開始時に要請があった官民給与格差の是正のために数千万円もの補助金を交付し続ける必要があるのかは甚だ疑問である。
早急に補助金を廃止すべきと考えられる。
なお、平成16 年度の包括外部監査での指摘等を受けて、一定の余剰金(支払資金残高に一定の積立金を加えて算定)がある施設にはついては、交付対象から除外する取扱いがなされている。
★民間保育所施設整備費元利償還金補給補助金
児童福祉法第56 条の2 では、児童福祉施設の施設整備について都道府県及び市町村が補助する金額の合計はその費用の3/4(75%)を超えてはならない旨が規定されている。
先に示したように、市単独の元利償還補助金によって、施設整備費の100%が補助されている状態であり、児童福祉法に抵触しているおそれがある。この点、所管課から市の法規部門に照会したが、本件事例のみで判断できない旨の回答を得たとのことである。国や県に照会することで、元利償還補助金が適法である旨の確認をとる必要がある。
★民営保育所借地料補助金
①補助金交付の妥当性ついて(結果)
交付要綱の第3 条では、「定員増により借地を余儀なくされた保育所の借地料であって、当該借地料の大幅な高騰により、当該保育所の運営に支障を来すと市長が認めるもの」を補助対象としている。
朝倉くすのき保育園について、補助対象となっている借地料の原契約を確認したところ、昭和52 年に土地賃貸借契約を締結していた。借地を余儀なくされた時から35年が経過した現段階においても、なお借地料の大幅な高騰によって保育所の運営に支障を来す状況があるとは思えず、交付要綱に定める要件を満たしていないと考えられる。
また、35 年前と現時点の定員も相違しているはずであり、もはや補助金を交付する意義は乏しいと言わざるを得ない。早急に補助金の交付を取り止めるべきである。
②借地料の調査と取扱いについて(結果)
五台山吸江保育園及び塚ノ原保育園は、平成14 年4 月に公立民営から民立民営に移行しており、平成14 年度から借地料部分の補助金交付を受けている。なお、塚ノ原保育園は運営主体である社会福祉法人の理事長が所有する土地を賃借しており、補助金を交付する必要性に疑義が残る。
また、公立民営から民立民営に移行した施設について、市有地に施設をもつ29 施設は無償貸与を受けており、五台山吸江保育園及び塚ノ原保育園と同様の補助金を受領している状況にあると言える。
一方で、民立民営の施設の決算書を確認すると、借地料を運営費から支出していると推測される施設も見受けられた。民立民営の施設における借地料の負担状況等(他の中核市の状況等)を調査し、旧の公立民営保育所のみに補助金が交付されているであれば、旧の公立公営保育所への補助金を減額する、もしくは一定の土地使用料を徴収する等の措置が必要である。
◇私立幼稚園運営等に関する補助金
当該補助金は、私立幼稚園の教職員の資質向上を図るために実施する事業及び幼児保育の充実を図るために交付されるものであるが、実質的には各私立幼稚園に対する運営費補助的な性格を有している。
市は、連合会の収支決算書において、連合会に多額な繰越金が存在しないことを確認しているが、個々の施設にどの程度の繰越金等が存在するかまでは確認していない。財政状況が良好な施設にまで補助金を交付する必要性は乏しいと思われるため、各施設の財務状況を確認し、財務状況が良好であれば補助金を交付しない措置が必要である。
◇公衆浴場経営安定化事業費
自宅風呂の普及が進んだことや、スーパー銭湯等が増加したことによって、一般公衆浴場が減少していると推測される。こうした社会環境を加味した場合に、1 施設当たり年額20 万円の資金で一般公衆浴場の経営安定化に寄与できるのか、疑問が残る所である。
また、一般公衆浴場の確保に向けて、市は老朽化した機械設備等の更新や改装に必要な資金の3 分の2 を補助する「高知市公衆浴場施設整備等事業費補助金」を1,375千円交付している。
さらに、高知県が交付していた公衆浴場経営安定化事業費補助金は、すでに廃止されているとのことである。これらを総合的に捉えた場合には、当該補助金は交付条件となっている無料入浴の機会収入を補填しているに過ぎない状況と考えられ、一般公衆浴場の経営を安定化に導く効果は限定的と推測される。
この点、市は、旭地区の一般公衆浴場が平成16 年12 月に閉鎖された際に、市民から再開についての要望書が提出された事例を踏まえて、市民の入浴機会を確保する視点から当該補助金の有用性を認識していた。経済的資力がないために入浴機会を確保できない高齢者等が存在し、一定の補助が必要なことは理解できるが、当該補助金によってこうした機能が十分に果たせているとは考えられない。
当該補助金は廃止し、経済的資力がないために入浴機会を確保できない市民がいる場合には、他の施策で対応すべきと考えられる。
◇高知市社会教育関係団体に対する補助金
・高知市文化協会、鏡文化推進協議会、土佐山文化推進協議会、土佐山文化祭実行委員会、春野町文化祭実行委員会の5 団体
・旧鏡村や旧土佐山村は5 年以上が経過し、旧春野町も3 年が経過しており、財団法人高知市文化振興事業団や文化協会が類似の事業を実施している中で、文化協会以外の4 団体に補助金を交付し続けるのは合理的でないと考えられる。また、所管課に確認したところ、市内における他地域においても文化祭を実施している場合があるが、土佐山文化祭実行委員会、春野町文化祭実行委員会以外には補助金を交付していないとのことである。
補助金交付の公平性の観点から、鏡文化推進協議会、土佐山文化推進協議会、土佐山文化祭実行委員会、春 野町文化祭実行委員会への補助金は、廃止の方向で見直しを行うことが望まれる。
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