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資本主義 「根本的矛盾」と「生きている矛盾」(メモ)

 石川康弘・マルクスの資本主義分析と「震災後の新しい日本」/「マルクスの思想を今に生かす」より
 “資本に対する「社会」の強制は、資本主義発展の「必然的産物」”など、資本主義の根本矛盾を立体的に、そして動的に、変革の見地で簡潔ながら骨太に紹介している。 そのメモ。

【資本主義 「根本的矛盾」と「生きている矛盾」】

1「根本矛盾」とその展開

◇マルクスの思想の核心 ~あえて一言で要約するなら

 “過去のどの社会とも同じく資本主義社会もより進んだ未来社会へ席をゆずる。ただし、それには労働者階級を中心にした国民のたたかいが必要”
→ この結論に学問的裏づけを与える重要な根拠が「資本論」など資本主義の分析
→ 資本主義の構造(繰り返しの法則)とともに、資本主義の歴史(繰り返しを通じた発展の法則)の探求

◇「資本主義の根本矛盾」論 ~ 「構造」と「歴史」をつらぬく運動の原動力の研究成果

・「資本主義の真の制限は、資本そのものである。資本とその自己増殖とが、生産の出発点および集結点として、生産の動機および目的として、現れる」「生産は資本のための生産にすぎないということ。そして、その逆に、生産諸手段は、生産者たちの社会のために生活過程をつねに拡大形勢していくためにだけ役立つ諸手段なのではない」
・「資本主義的生産様式が、物質的生産力を発展させ、かつこの生産力に照応する世界市場をつくり出すための歴史的な手段であるとすれば、この資本主義的生産様式は同時に、このようなその歴史的任務とこれに照応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾である。」
→ 「生産力と生産関係との矛盾」の資本主義的な形態

・この矛盾の根源が「資本そのもの」。
→ 資本は「自己増殖」を生産の「動機及び目的」とすることで、/生産力の急拡大 /一方で、生産力の発展を制限する壁 をつくりだす。
→ しかし、資本は「自己増殖」の衝動を満たそうとするあらゆる運動で、みずから生み出した壁を乗り越えて前に進む
→ これは現実の資本主義の運動を生み出す「生きている矛盾」。

・この内容は、マルクスにあっては「恐慌論」が主な舞台。/現代では地球環境、核戦争、マネー経済など

2.生産力の発展と階級闘争の前進

◇マルクスは、資本主義に害悪ばかり見出したのではない~ そんな体制ならとっくに破綻していた

・その論理には/産業革命以来、飛躍的に生産力を拡大/ 男女共通の普通選挙権、社会保障制度、労働時間の短縮をはじめ労働環境の改善、人間の平均寿命の延長などを実現(メモ者 個人の人格の尊重と個性の発展)など前進的な変化を積極的に究明する論理が含まれ
→ 前進的な変化を生み出すのは/ 階級闘争の発展、資本の利潤第一主義に対する社会のたたかいの発展

◇たたかい~ 資本に対する「社会」の強制は、資本主義発展の「必然的産物」

・たたかいを通じた前進的変化も、「自己増殖」を運動の原理とする資本自身が、その内部から引き出したもの。

・労働時間をめぐるイギリスの労働者のたたかい
「資本は、社会によって強制されなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない。肉体的、精神的萎縮、早死、過度労働の拷問にかんする苦情に答えて資本は言う――われらが楽しみ(利潤)を増すがゆえに、われら、かの艱苦(かんく)に悩むべきか? と」
→ このような資本の性質にかかわらず、たたかいは「強制」を強めていった

  1833年15時間労働、1834年児童に対する8時間労働、1848年10時間労働

・「工場立法、すなわち社会が、その生産過程の自然成長的姿態に与えたこの最初の意識的かつ計画的な反作用は、すでに見たように、綿糸や自動紡績機や電信機と同じく、大工業の必然的産物である」
→ 機械性「大工場」は、資本主義が自分の足で立つにいたった「独自の資本主義的生産様式」の中心的な指標/ その「大工場」が、資本主義的生産の「自然成長的姿態」への反作用を必然的に生み出す。

・工場立法に見る「資本主義の発展過程」への洞察
「工場立法の一般化は、生産過程の物質的諸条件および社会的結合とともに、生産過程の資本主義形態の諸矛盾と諸敵対とを、それゆえ同時に、新しい社会の形成要素と古い社会の変革契機とを成熟させる」

→ 「工場立法の一般化」は
 ①「生産過程の物質的諸条件」(機械設備)と労働者の「社会的結合」(労働組織)を発展させ
 ②資本主義以前の支配を一層することで資本の支配に対する労働者たちの直接的な闘争を一般化し
 ③「新しい(未来)社会の形態要素」と「古い」資本主義の「変革契機」を成熟させる。

・マルクスは、資本主義生産様式の発展を
①生産力と生産関係の矛盾の展開と 
②資本家と労働者階級の展開  との両面からとらえた。

→ 「自己増殖」への制限を越え、生産力を発展させようとする資本 / それに対し、労働者は「資本の生産力」を、「社会の生産力」にひきつける「強制」のたたかいを余儀なくさせる。
→ そして発展する生産力と階級闘争が、同時に新たな未来社会への準備を深めていく。

◇20世紀の歴史 ~ 国家独占資本主義のもとでの生産力の発展/たたかいを通じて民主的改革
①ロシア革命 8時間労働制、社会保障の理念の資本主義国への普及。ILO設立
②有給休暇などフランス人民戦線政府のもとでの大幅な改善 マティニヨン協定1936
③戦後、国連の創設、各国の普通選挙権の確立、植民地体制の崩壊と平和を求める運動の広がり
④女性差別撤廃条約 1979年(この部分はメモ者が追加)
⑤「社会的市場経済」をめざしたEUの設立 1993
⑥リーマンショック後、G7からG20への経済管理の主体の拡大、金融投機規制への問題意識の広がり

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