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PAC3配備「意味ない」 元官房副長官補

 イラク派兵、北朝鮮のロケット発射に官邸で対応した防衛省出身の元官房副長官補・柳沢協二氏が、「PAC3は届かない」「軍事的な意味はない」とし、大型輸送艦や輸送機、ヘリ、化学防護車を含めた大規模動員に「展開の訓練と、先島進出に向けた地ならしが目的だ」とコメント。
 軍事対応色を強めることへの懸念-- 沖縄2紙の社説。
【PAC3配備「意味ない」元官房副長官補 沖縄タイムス4/9】
【[「衛星」打ち上げ問題]ちぐはぐな政府の対応 沖縄タイムス4/6】
【PAC3初配備 外交圧力強め平和的解決を 琉球新報4/5】

【PAC3配備「意味ない」元官房副長官補 沖縄タイムス4/9】

 元内閣官房副長官補で、2009年の北朝鮮「ミサイル発射」に首相官邸で対応した柳沢協二氏が8日までに沖縄タイムスの取材に応じ、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を今回沖縄へ配備したことについて、「軍事的な意味はない。展開の訓練と、先島進出に向けた地ならしが目的だ」と明言した。(阿部岳)

 防衛省出身の柳沢氏は、04年から09年まで安全保障・危機管理担当の官房副長官補を務めた。09年の発射では「破片が日本に落下する可能性を検討した結果、ほぼゼロだと考えていた」という。
 しかし、鳴り物入りでPAC3を導入した防衛省は当時、「何もしないわけにはいかない」と主張。政府として「万が一に備える意味」で、北朝鮮が発射する軌道の真下に当たるよう秋田、岩手に配備した。
 これに対し、今回は予想される軌道から約300キロ東に外れた沖縄本島を含め、宮古島、石垣島と東西に広がる形で配備。PAC3の射程は半径約20キロの範囲とされている。
 柳沢氏は「PAC3は届かないし、北朝鮮の技術の進歩を考えれば、破片が落下する可能性は09年よりさらに低い。それでも配備するのは、別の思惑があるからだ」と指摘する。
 「念のため中枢である那覇基地に置くことはあり得るが、知念分屯基地は完全に(既存の基地なら)置きやすいから置くだけ。先島では、自衛隊と地元がお互いに慣れるための関係づくり、既成事実づくりを意図している」
 また、仮に破片が落下した場合について、「ミサイルと違って放物線を描かず、空気抵抗で揺れるため、軌道が計算できない。PAC3の有効性は不明、というのが自衛隊のプロの見方だった」と明かした。
 自衛隊は今回、大型輸送艦や輸送機、ヘリ、化学防護車を動員し、与那国島の「救助部隊」を含め県内に約950人を派遣した。「必要以上にはしゃいでいるが、移動訓練としての意味がある」と分析した。
 配備をめぐる報道については、「全国メディアは絵になるミサイルばかり報じるが、北朝鮮に対しては地道な方法しかない。制裁強化など、外交的にどう解決するかを議論してほしい」と、冷静さを求めた。


【[「衛星」打ち上げ問題]ちぐはぐな政府の対応 沖縄タイムス4/6】

長距離弾道ミサイルとみられる北朝鮮の「人工衛星」打ち上げへの対応で、自衛隊がかつてない規模で県内へ緊急展開している。
 3日以降、ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)と自衛隊員約950人が続々と沖縄入り。配備地の那覇、南城、宮古島、石垣の各市でPAC3やレーダーが設置され、まるで“有事”想定の物々しさだ。
 5日には災害用の全国瞬時警報システムを使い、県内26市町村へ情報を伝達した。試験放送とはいえ、「攻撃対象地域沖縄県」などの文言が受信した市町村のパソコン端末に表示され、こちらも“武力攻撃”が前提だ。
 こうした、明日にでも沖縄が攻撃されるような国の対応には、多くの県民が戸惑い、疑問を抱かざるを得ない。
 そもそも「衛星=ミサイル」との確証から、PAC3の迎撃能力、県民への影響の度合い、発射・迎撃後の北朝鮮や国際社会との関係がどうなるのかなど、政府は明確に説明していない。日本に落ちてくる「万が一」を御旗に着々と「破壊命令」が進み、沖縄へ軍事力が展開される空恐ろしさだけが募る状況だ。
 日本のミサイル防衛(MD)システムは、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」の発射された1993年を契機に米国と共同研究を始め、20年近くかけて整備している。
 しかし、ミサイルの迎撃試験で成功事例を国が強調しても、「ピストルの弾をピストルの弾で撃ち落とすようなもの」と実戦能力を疑う日米の専門家は少なくない。
 今回の実戦配備は、北朝鮮による「衛星打ち上げ」を利用したMDの運用訓練との見方が多い。開発費を含む最終的な経費は1兆円規模ともみられ、こうした「高額な兵器をリアルな環境で試したい」(前田哲男氏)という自衛隊側の要請が強いというのだ。
 実際、MDの拠点として日米合同で作戦を練る「共同統合運用調整所」の運用が、先月末から米軍横田基地(東京都)で始まり、防衛省幹部から「絶好のタイミング」と意気込む声も上がっている。
 前のめりな防衛現場とは裏腹に、田中直紀防衛相ら政府や国会の中から危機感が伝わってこないのも異様だ。
 3日の参院予算委員会でミサイル対応を審議中、防衛相の失言で委員一同が大爆笑、審議が一時滞った。防衛相は迎撃判断の責任やPAC3の配置も説明できず、国会の緊張感のなさを国民にどう説明するのか、首をかしげたくなる。
 日本の外交努力が見えないのも今回の特徴だ。北朝鮮とは国交がないとはいえ、「衛星打ち上げ」を重大視するならなぜ、積極的な予防外交を展開しないのか。ちぐはぐな政府対応が目に付く。
 外務省は、北朝鮮にさらなる圧力をかけるため、発射前に国連安全保障理事会で新たな決議ができないか、理事国と協議を始めた。常任理事国でもないため、米国頼みと厳しい観測もあるが、発射予定まであと1週間。野田内閣は心血を注ぎ、発射阻止を国際社会へ訴えるべきだ。

【PAC3初配備 外交圧力強め平和的解決を 琉球新報4/5】

 長距離弾道ミサイルと疑われる北朝鮮の「衛星」打ち上げに備え、自衛隊の地対空誘導弾(PAC3)が、初めて県内に運び込まれた。ミサイル防衛の運用部隊など、自衛官約900人も沖縄入りし、きなくささが立ち込めている。
 PAC3を積んだ濃緑の大型自衛隊車両の列と観光客が乗るレンタカーが、道路を並走する光景を目にした県民の多くが、穏やかでない感情を抱いたことだろう。
 過重な米軍基地を抱える県内に自衛隊を増強する足掛かりとし、さらなる軍事要塞化の布石とすることがあってはならない。
 与那国島や宮古島への陸自配備をにらみ、防衛省内には「(沖縄に)自衛隊が受け入れられやすくなるとの期待がある」という。
 「衛星」発射に不安を抱き、急加速した迎撃態勢への反対やためらいを口にしにくい県民感情を突き、南西諸島の防衛力強化を図る防衛省の思惑がうかがえる。
 PAC3の性能にも疑問符が付く。「衛星」が長距離弾道ミサイルであれば、秒速約5~10キロで飛ぶため、確実に撃ち落とすのは困難との指摘が付きまとう。
 「衛星」が落下する不測の事態への備えとはいえ、過剰な物資と人員の投入の側面はないのか。
 詳細を明らかにしない政府の説明では、疑念が拭えない。
 「宇宙の平和利用」を強調する北朝鮮は国際機関に打ち上げを事前通告し、発射時の視察に日本を含め多くの国の機関を招いている。
 透明性を高めて理解を得るつもりだろうが、実態は核開発を進めつつ「衛星打ち上げ」と称して、核兵器の発射可能な技術を整えるのが狙いではないのか。そこに国際社会の重大な懸念がある。
 田中直紀防衛相とパネッタ米国防長官が電話会談で、国際社会が協調して自制を促す必要性で一致した。日米は、北朝鮮に影響力がある中国、ロシアと緊密な連携を取り、外交圧力を一層強め、発射を思いとどまらせるべきだ。
 「沖縄の平和のイメージに(北朝鮮による)外部要因で影響が出るのは大変残念だ」。翁長雄志那覇市長の言葉は、県民の大多数の思いを代弁していよう。
 修学旅行取りやめなど、県内観光産業への影響が出ている。軍事優先色が濃い対応は、沖縄社会にとってマイナス面が多いことを、防衛省は深く自覚してもらいたい。

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