「使用済燃料」がもたらす原発運転不能
各原発には、14200トンの使用済み燃料があり、あと数年で一杯になる。それに加え、破綻しているのに莫大なお金をつぎこむ核燃サイクルの政策転換が不可避な情勢。その場合、最終処分場になる懸念から六ケ所の2900トンが発生元に返り、2015年までに8割の原発が貯蔵プール不足で運転できなくなる。いずれにしても原発の破綻は明白。
大阪府・市、京都府、滋賀県の提案にも、使用済み核燃料の処理方法の確立があげられているが、政府は再稼働を言うなら最終処分の具体的方策を示すべき。いまだ危機の去ってない福島原発4号機の使用済み核燃料プール--ある意味もっとも危険な施設であり、その増設も困難である。
【燃料返送なら原発大半運転不能に 東奥日報4/23】
【米議員が4号機プールの危険性を指摘「燃料棒取り出しの迅速化を」 ウォールストリートジャーナル4/20】
【燃料返送なら原発大半運転不能に 東奥日報4/23】原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理を中止し、日本原燃の六ケ所再処理工場に保管中の燃料を発生元に返した場合、大半の原発で燃料の収容力を超え、運転ができなくなるとの試算を、国の原子力委員会が22日までにまとめた。
本年度中に返せば東海第2原発(茨城県、1基)と玄海原発(佐賀県、4基)などは停止、2015年度末には全国50基のうち39基が運転不能となる。再処理工場は3千トンの収容力に対し既に約2900トンを受け入れ、ほぼ満杯。さらに各地の原発に計約1万4200トンの燃料がある。東京電力福島第1原発事故後、原子力政策の見直しが進んでいるが、どのような政策でも、燃料を一定期間保管する中間貯蔵施設が早急に必要と言えそうだ。
日本はプルトニウムを利用する核燃料サイクルを採用してきたが、政策転換を求める声も強まっている。本県は再処理が中止となった場合、保管中の燃料の最終処分場となる事態を懸念、原燃との覚書に基づき三村申吾知事は燃料を返送させる姿勢を示している。
原子力委は、12年度中に燃料が送り返され、全原発が再稼働すると仮定し、影響を調べた。
全国の原発の使用済み燃料プールなどの収容力は計約2万600トン。東海第2原発は84%、玄海原発は78%が埋まっており、燃料返送ですぐに運転不能になる。他に柏崎刈羽原発(新潟県、7基)、福井県内の関西電力の11基などが15年度末までに停止。20年度末に運転可能なのは泊原発(北海道、3基)など8基、25年度末は東通原発(1基)だけで、26年度末にゼロになる。
中間貯蔵施設はむつ市に初の施設が建設中。各地の原発でのプール増設は地元の意向もあり、容易ではない。
【米議員が4号機プールの危険性を指摘「燃料棒取り出しの迅速化を」 より抜粋】原発問題に献身する元国連職員の松村昭雄氏が4月3日付ブログのなかで、使用済み核燃料専門家のロバート・アルバレス氏(米エネルギー省長官・次官の元上級政策アドバイザー)の試算を紹介しているが、4号機のプールが壊れて水が流れ出た場合、放出されるセシウムの量は、チェルノブイリ事故の10倍に達するという。
「一定の水位が保たれているとはいえ、燃料プールには、大量の燃料が、むき出しのまま入っている。地震の影響で建屋の強度が減じた今、新たな地震で、建屋がプールごと崩壊するような事態にでもなれば、燃料棒が、地面か残存するフロアにばらまかれ、極めて危険なことになる」と、原発危機の収束に向けて研究を重ねる、ある日本の専門家は指摘する。
彼が師と仰ぐ米国の原発専門家たちも、震災直後から、建屋の崩壊以前に、使用済み燃料の状況を最も危惧しているという。まず、プール内の使用済み燃料は、原子炉内の燃料に比べ、互いに、より近接して保管されている。次に、原子炉格納容器や、メルトダウンした他の3基の核燃料の多くが溶けてたまっている原子炉圧力容器と異なり、プールには、放射性物質の放散を防ぐ物理的な障壁がない。また、核分裂反応を制御する制御棒も存在しない。
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