「同意」でなく「理解」、「地元」とは、・・・再稼動問題
政府は「一定の理解」というだけで地元の「同意」を否定している。「危険がある」「被害が及ぶ」と正しく理解するのも「理解」である。「地元」の範囲が拡大する様相となる中、「同意」なくても「説明」をし、その内容を「一定の理解」したことでゴーサインが出る、という仕掛けになる。
防災対策の重点地域(避難や屋内退避などが必要な原発50キロ圏内)に住む総人口が、約1100万人。
しかし、福島の放射能汚染の実態を見れば、「100キロ」「200キロ」という範囲も、被害の及ぶ地域である。
京都府が、PEEDIでの拡散予測を発表したが・・・屋内退避地域が南へ大きく伸びている
【大飯再稼働、地元の理解と同意は別…官房長官 読売4/3】
【再稼働に必要な地元了解、範囲は? 敦賀市長、経産相と異なる認識 福井新聞4/2】
【大飯原発の再稼働、判断先送り 近隣府県の反発に配慮】
【放射性物質:京都府、SPEEDIで拡散予測 屋内退避レベルも 東京3/24】
◇福島原発での汚染範囲
伊方の苛酷事故での拡散予測も、県に求めていかなくてはならない。
【大飯再稼働、地元の理解と同意は別…官房長官 読売4/3】関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、藤村官房長官は3日午前の記者会見で、野田首相、藤村長官、枝野経済産業相、細野原発相による関係閣僚会議の初会合を同日午後7時から首相官邸で開くと発表した。
会議では経済産業省原子力安全・保安院などから、同原発のストレステスト(耐性検査)結果の報告を受ける。藤村氏は「何らかの判断をするのではなく、科学技術的な報告だ。きょうは入り口の1回目だ」と述べ、複数回協議する考えを示した。
また、枝野氏が滋賀県、京都府の両知事にも再稼働の理解を求める意向を表明したことに関しては、「(両知事の)理解を得るべくしっかり説明するのが重要という意味だ」と語り、再稼働決定の前提となる「同意」までは必要ないとの認識を示した。
枝野氏は3日の記者会見で、再稼働に積極的反対ではないのかとの記者団の質問に「違う」と明確に否定した。
【再稼働に必要な地元了解、範囲は? 敦賀市長、経産相と異なる認識 福井新聞4/2】関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に関連して、政府が理解を求めるべき「地元」の範囲が大きな焦点になってきた。枝野幸男経済産業相は2日、京都、滋賀両府県知事の理解が前提との認識を表明。これに対し全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の河瀬一治敦賀市長は「立地自治体が『地元』」と範囲拡大の動きをけん制した。理解の必要な範囲を隣府県に広げれば、再稼働に時間がかかるのは必至で、立地市町には戸惑い、反発の声がある。(原発取材班)
再稼働をめぐっては、野田佳彦首相と関係3閣僚が3日に協議。その後、地元の理解を求める段階に入る。ただ、政府のいう「地元」の範囲は明確ではない。
原発の防災対策の重点地域を国の方針より広い43キロまで設定する滋賀県の嘉田由紀子知事、大飯原発の半径30キロ圏内に約6万7千人が暮らす京都府の山田啓二知事は、いずれも「地元」に当たるとの立場。29日には安全性が確認できない状況での再稼働に慎重、反対の考えを示した。
また、大阪府と大阪市でつくる府市統合本部エネルギー戦略会議は、原発から100キロ圏内の自治体と安全協定を締結するよう関電に求めることを検討している。一方、河瀬市長は2日の記者会見で「周辺(自治体)が福島の事故を受けて心配するのも理解できる。原子力災害があったときは日本全体が補償の対象地域」と語る一方で「(地元理解の)範囲が広すぎると収拾がつかない」と指摘。あくまで立地県と立地市町を「地元」とすべきだと強調した。
県としても、原子力事業者と結ぶ安全協定の趣旨やこれまでの歴史的経緯から、「地元」は県とおおい町との認識。県の石塚博英安全環境部長は取材に対し「安全協定の趣旨に基づき、原発の安全や再稼働の是非について国や事業者をチェックするため暫定的な安全基準の提示を求めている」と説明した。
ただ、おおい町の時岡忍町長は「町としては発言できる立場でなく、コメントは差し控えたい」とし、「地元」の範囲についても「国が決めること」とした。
参院予算委の答弁で枝野経産相は、地元の範囲について「線引きはすべきでない」「より近いほど影響は大きく発言は重い」とする一方、両府県の意向も受け止めて判断する考えをにじませた。再稼働に向けた調整が長引くのは確実で、立地市町には「政府は本当に再稼働させるつもりがあるのか、真意が分からない」といぶかる声も出ている。
【大飯原発の再稼働、判断先送り 近隣府県の反発に配慮】野田政権は2日、定期点検で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させる政治判断を先送りする方針を固めた。福井県に隣接する京都府や滋賀県などの反発が強く、慎重に見極める。政権がめざす4月中の再稼働も厳しい情勢になった。
■枝野経産相、反対を明言
野田佳彦首相は3日夕、枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚と大飯原発の再稼働について協議。安全性の確認をするが、結論は見送る見通し。当初はこの段階で再稼働可能と判断し、地元を説得する方針だった。
枝野経産相は2日の参院予算委員会で、社民党の福島瑞穂党首の質問に「地元をはじめ国民の一定の理解が得られなければ再稼働はしない」と答えたうえで、「現時点では私もいま再稼働に反対だ」と明言した。
理解を求める「地元」の範囲は、「日本全国に福島(第一原発)の事故は直接、間接の影響を及ぼしている。そういう意味では『日本全国』が地元だ」と指摘。大飯原発から30キロ圏内に一部が入る京都府や滋賀県の知事が再稼働反対の意向であることを踏まえ、「2人の理解が得られないと地元の理解は得られたことにならない」と述べた。
【放射性物質:京都府、SPEEDIで拡散予測 屋内退避レベルも 東京3/24】京都府は23日、関西電力高浜原発(福井県高浜町)で福島第1原発級の事故が起きたとの想定で、国の「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)を使って府内の放射性物質の拡散範囲や大気中の濃度を予測した結果を公表した。
原発事故で放射性セシウム137と放射性ヨウ素が10時間放出されたとの想定。風向きなど過去の気象データを基に、24時間後の積算線量を月別で予測した。
その結果、ヨウ素は、高浜町に隣接する同府舞鶴市で2、5、9月に避難基準の500ミリシーベルトとなった。3月では、半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)を大きく超える50キロ圏の京都市右京区などが、屋内退避対象となる50ミリシーベルトの範囲に入った。セシウムは基準値(5ミリシーベルト)を超えなかった。
山田啓二知事は「厳しい結果が出た。UPZの実効性の検証が必要で、広範囲に対策を講じる必要がある」と防災対策を抜本的に見直す考えを明らかにした。【入江直樹】
毎日新聞 2012年3月24日 東京朝刊
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