伊方再稼働 「安全を示す確かな情報ない」 高知県
本日、伊方原発の再稼働問題等で、党県議団が県に申し入れした。副知事、危機管理部、新エネルギー課が対応した。申し入れ(全文は下記参照)は、①再稼働反対 ②地元として安全協定締結 ③事故が発生した場合の汚染予測を国に求める。の3つ。県は、3.11後、四国電力と勉強会(昨年5回実施)というフレームをつくり、課題をつめてきているが、全体として、申し入れ内容に同意する立場での回答であった。以下、私のメモ。
①再稼働反対について
情勢は日々変化し、情報収集につとめている。安全基準がきっちりしたものか四電と勉強会している。申し入れの前半部分はそのとおり。今も16万人が避難している。福島の事故は終わっておらず、安全を検討する確かな材料がまだない。高知県は隣の県ではない。「地元」のこととして対応している(四電も「となりの県」という認識はかわってきたが、これには知事も相当話をしてきた)。県民の命と生活を守っていく立場で対応。様々な情報があり、不確定な状況で再稼働とはならない。
4県は密接に連絡をとりあっている。愛媛県知事がゴーサインを出して、高知県が後から知るようなことはない。
個人的見解としては、電力供給の情報提供のあり方に課題がある(「不足」といいながら、あとから、その内容は実はこうでした、というようなものは信頼をなくす。)と思っている。
②安全協定
地元という自覚を持っている。情報提供だけでない安全協定を4県で共同して締結することを考えている。内容についてはこれから。
③SPEEDIを活用した拡散予測の実施
「まったく同感」。30㌔ではとどまらない影響。「すぐに逃げなくてもよい」という情報も重要。文部科学省に働きかけていきたい。四国の知事会としても取り組みたい。本来全国で実施すべきもの。
~ と全体として、いい内容の意見交換となった。
ただ、電力供給問題については、勉強会のテーマとなっていないようで、今後、ネガワットの取り組み含め、ピークマネジメントをどう実施し、地域独占体としての「電力の安定供給」責務を果たすのか、を新エネルギー推進の問題ともあわせて、県として四電に迫っていく必要がある、と感じた。
伊方原発の再稼動反対と徹底した安全管理についての申し入れ福島原発事故から一年以上経過しましたが、福島県内外で避難生活を送る人たちは16万人にものぼり、事故の収束や除染、賠償を政府の責任で急ぎ、命と健康、暮らしを守ることは待ったなしの課題です。
“安全神話”にどっぷりつかり、過酷事故を招いた原発行政の抜本的転換させることは、福島事故の最大の教訓の1つです。ところが、政府は、自ら「安全性が確保されるわけでない」(枝野経産相3月9日)というストレステストの一次評価と新たな「安全基準」にもとづく「政治判断」で再稼動を押し付けようとしています。
「ストレステスト」はもともと原発がどの程度の地震や津波に耐えられるか確かめるもので、とくに1次評価は深刻な炉心損傷を起こすまでの余裕がどの程度かを見るだけのものです。地震や津波への対策が十分かを調べる2次評価はまだ行われていません。なにより福島原発の事故原因の究明が尽くされなければ、地震や津波がどの程度原発に影響を与えるかを見定めることさえ不可能です。南海トラフの巨大地震に関し、新たな想定も示されており、徹底した検証が必要なことは論をまちません。現状での再稼動は、新たな「安全神話」を振りまくことで、到底、国民、県民の理解を得られる状況にはありません。
また、この3月、原子力安全委員会は、新たな原発防災新指針案を承諾しましたが、事故で住民の避難や屋内退避などが必要な範囲を原発50キロ内としました。伊方原発から50キロの範囲には四万十市、梼原町などの地域が入っています。何より、福島第一原発の事故では、距離では100キロ、200キロ離れた広範囲な地域に放射性物質が拡散しています。福島原発事故の被害の実態を見れば、高知県は「地元」と言える位置にあります。伊方原発で、福島第一原発と同様の事故が起きた場合の影響について、高知県民が出来るだけ正確な情報をえることは避難計画の策定にとって極めて重要です。文部科学省は、昨年10月、各地の原発で東京電力福島第1原発のような事故が起きた場合を想定し、「今回の事故の経験からそうした危機管理が必要だ」として、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」を使った放射性物質の拡散予測の実施を検討する考えを明らかにしました。3月23日には、京都府が、SPEEDIを活用し、関西電力高浜原発で事故が起きたことを場合の放射性物質の拡散範囲や大気中の濃度の予測結果を公表しています。原発は稼動してなくても核分裂反応が続いており、再稼動の有無にかかわらず徹底した安全対策、避難計画の策定が求められています。
よって、高知県は、「再稼動」にあたって愛媛県の判断を待つという姿勢にとどまらず、徹底した安全の確保を求める立場にたって、以下の内容を実施することを強く求めます。①福島原発事故の原因究明とそれにもとづく安全指針、安全対策も未解明、未確立のもとでの「再稼動」は、県民を代表、株主として認めないことを、政府、四国電力に明言すること。
②地元として県民の意見を届けるために、四国電力との安全協定を締結すること。
③原発事故の影響について、県民に積極的に情報提供するために、SPEEDIを活用した拡散予測の実施するよう求めること。それは、四国4県だけでなく大分県や瀬戸内海に面した府県にも関係する重要な情報であり、関係する府県とも連携し、早急に実施すること。
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