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再稼働なしで今夏の電力は足りる(関電版) ISEP

 環境エネルギー政策研究所から「原発を再稼働しなくても今夏の電力は足りる(関西電力版)4/17」を発表。

  再稼動しなければ、「電気足りない。集団自殺」との発言。国民をバカにしている。

【原発を再稼働しなくても今夏の電力は足りる(関西電力版)4/17】

【原発を再稼働しなくても今夏の電力は足りる(関西電力版)4/17】

■ 概要

 環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、関西電力の需給見通しの分析を行った。
政府は、関西電力の原発が全て停止した場合、2010年なみの猛暑なら18.4%の電力不足が予想されると発表した(経済産業省、2012年4月13日)。しかし、これは2010年8月の最大需要、つまり福島原発事故前の節電をしない中で発生したものであり、これを予測に使うのは間違いである。

以下に、需給予測と、追加対策オプション、節電のオプションを示す。

◆1. 関電の電力需給、夏も電力は足りる

表1に、今夏、関西電力の原発全停止の際の現実的な需給予測を示す。

表1. 今夏の関電の需給予測(原発全停止)
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 供給力で昨年からの更新点は、海南石油火発2号再開、姫路第一のガスタービン新設、自家発の若干の増加(関電実績)、再エネの域内容量増加(関電2011年末実績)である。また、関西電力から、夏季の火力発電は水温の影響で出力低下するとの情報が提供されたため、供給力予測に織り込んでいる。

 揚水発電の使用可能性は、需要に追従した運転を行うこと、あるいは運転必要時間を短縮することにより、ピーク時には2011年度の実績値の465万kWが供給可能とした(補論1)。

◆2. 追加対策〜多くの手段の中から対応可能

 表1で見込んだ150万kWの追加対策は、需給に余裕を見るためのものである。

 これは、表2のように多様な手段がある。主に、関電が他社融通あるいは自家発からの受電を追加する方法、需要家が節電する方法、需要家が関電以外から受電する方法がある。

表2. 追加対策の例
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 このうち、需要削減については大きな余地がある。関西電力エリアも2011年夏には多くの企業・家庭が節電を行い、ピーク電力を2010年比10%削減した。それでもピークに近い需要はごく限られた時間しかない。例えば2684〜2784万kWの100万kW分を記録した時間は、年間15時間しかない。この様子を図1に示す。

図1. ピーク重要はごく限られた時間
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 こうした電力ピーク発生の短時間に集中的に節電を実施すると、大きな効果が得られる。

 関西電力エリアで、2011年夏の東京電力エリアなみの節電率(ピーク電力を2010年比18%削減)を確保した場合、表2に示したように、2011年夏の関西電力エリアの節電(2010年比10%減)に加え、246万kWの削減になる。150万kW追加対策は、例えばこの一部を実施するにすぎない。

 政府は、4月13日の4大臣会合の文書で、大口・小口(いずれも企業)について、一部業種は「節電不可能」、他の業種は東京電力の昨年の対策で「深夜休日シフト」「減産」でコストがかかったと、非常にネガティブな例ばかり列挙し、あたかも負担のないスマートな省エネが不可能であるかのように示しているが、省エネ事例を少し調べれば、機器の更新や改良、使い方の工夫でスマートに削減する例を数多く見つけることができる。
次に主体別の対策例を示す。表3に例を挙げる。

表3. スマートな節電の例
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 政府の挙げた経済縮小のような対応ではなく、これらのスマートな節電対策を促すには、表4のようなインセンティブが考えられる。

 表4. ピーク時の節電を促す各種インセンティブ
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 表2に示した追加対策手法のうち、PPSからの購入を増やすことは、関西電力エリアの企業や自治体が協力して実施することもできる。PPSの供給力に余裕はないとの報道もあるが、PPSに不足しているのはベース供給力である。部分供給(PPSが負荷追従部分を供給する、いわゆる横切り部分供給)を促進すること、夏季に期間を限った供給(広義の縦切り部分供給)を促進することにより、PPSからの実質的供給を増やすことが可能である。

 PPS(独立電気事業者)には環境負荷の高い発電所もある。これについては、東京都に供給する電気について、東京都は「エネルギー環境計画書制度」により、会社ごとのCO2排出係数を公表している。他のエリアの企業・自治体にも参考になる。

 表2に示した追加対策手法のうち、自家発電気購入は、コジェネの買取価格を引き上げるなどの手段でも増加できる。

◆3. 節電・省エネなどの対策は4重の配当

 一部に、原発が止まると経済に悪影響であるかのような主張がある。しかし実際にはこれと逆に、「電力危機」を、手法によって安定、環境保全、企業の収益増、経済活性化・雇用拡大に転換することができる。すなわち、次の通りである。


1.節電で電力安定供給
2.節電で脱原発かつ化石燃料削減。関西の水瓶・琵琶湖の放射能汚染リスクを回避し、かつ大気汚染と温暖化に対応
3.省エネ設備投資をしてピークを下げ消費量を減らした企業・自治体は電力費減で儲けに。中期で投資回収可能
4.省エネ設備投資は地域企業にとっては需要増。雇用増にも役立ち、関西経済活性化に寄与(地域でお金が循環) 


 関西にはものづくりの拠点が沢山あり、優秀な技術がある。節電工事を実施した企業側は電気代を浮かせて利益を増やし、またその節電技術工事を受注した企業には需要が生まれ、雇用を増やし、増えた人材が技術を改良し、競争力を上げていくwin-win路線が期待される。

◆4. まとめ

 関西電力の原発が全て停止する場合でも、2011年なみの節電を行い、若干の追加対策を行うことで、揚水発電を活用しながら、安定的な電力需給を実現することが明らかになった。


【補論1. 揚水発電の使用可能性】

 関西電力は、4月10日の資料「第5回 大阪府市エネルギー戦略会議 ご説明資料~今夏の電力需給について~」において、揚水発電が満水の場合、3500万kWh分の発電量が得られることを明らかにした。従って、ピークの出る日の揚水発電依存分がこれ以下になる必要がある。そこで、2011年夏の最大需要を記録した日をもとに、ケーススタディを行う。

 図A1に、2011年夏の最大需要を記録した日の負荷曲線を示す。

図A1. 2011年夏の最大需要を記録した日の負荷曲線
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 最大需要は2784万kW、これに対し今夏の供給力は、追加対策込みで表1の通り2946万kWあり、これから揚水分を除くと2481万kW、朝晩はさらに再エネ分を除くと2471万kWである。この場合の揚水発電による供給カーブを図A2に示す。想定した揚水発電対応分は、2011年度最大需要発生日にも、十分賄うことができる。揚水は出力制御が容易なため、負荷変動に追従して利用することを想定。

図A2. 最大需要の日の揚水発電の1日の発電
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 1日の揚水発電量はこの積分値になり、約2200万kWhになる。これは全揚水発電が満水になった場合に発電可能な3500万kWhを大幅に下回り、12時間程度の使用時間でも余裕があると見ることができる。さらに、需要抑制により揚水の使用時間を短くすることにより、ピーク時には450万kW程度まで供給できるはずである。

 一方、政府や関西電力は、電力逼迫により、満水にするまで汲み上げる電力が不足するとしている。そこで次にこれについて検討する。揚水発電のロスを3割とすると、3500万kWhの電力を昼間得るために夜間汲み上げに必要な電力は5000万kWhと推定される。図A1の需要と表1の供給力から、図A3のように揚水に回せる毎時の電力が求められる。1日の揚水に回せる電力量はこの積分になり、約7500万kWhと、揚水発電で満水にするための電力が、最大需要の日においても余裕をもって得られることがわかる。

図A3. 揚水に回せる電力
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