がれき処理 「大手」丸投げで進まず 宮城
大手プレハブ会社まるなげで、仮設住宅の建設や防寒対策で不手際の目立った宮城県。がれき処理でも、地域のこと、廃棄物処理の知識に欠ける大手ゼネコン丸投げによって遅れをきたしている。
広域処理の問題点は、当ブログでも触れてきたが、宮城での遅れの要因もあきらかになっている。
本日の赤旗のレポと、横田ゆうし宮城県議団長のブログから
【宮城県 ゼネコン“丸投げ”がれき処理進まず 広すぎる地域・地元業者を軽視 赤旗4/23】
【石巻と岩沼のガレキ処理の状況を視察して・・・『早く処理する為のゼネコン丸投げ』の偉大な誤りを改めて実感。横田4/18】
なお、岩手県の処理計画は、8割は埋め戻し・リサイクル処理するので、街の復興プランが決まれば処理が進むとのこと。処理が進まないから復興が進まないというのはあべこべと言える。
「議会と自治体」2012.4月号に、被災3県の県議らの座談会がある。宮城からは、
“がれき撤去でもゼネコン丸投げ。石巻圏の事業を請け負った鹿島建設は、半分近くは県外で処理する計画でシミュレーションしていたが、引き受け手が見つからず進んでいない。
しかも半分は、県外に船で運ぶという鹿島の計画は、事業費がべらぼうに高い値段になっている。県外搬出という計画自体が見直さなければならない”
宮城県は、「ショックドクトリン」よろしく、復興計画から地元の人を排除して野村総研の全面支援で、市場原理主義型の「創造的復興」をめざしている。漁港集約化と漁業特区、被災地の遺伝子情報などを集めたバイオバンクなどメディカル・メガバンク構想、カジノ誘致など・・・ 一部巨大資本の利潤追求が優先されるもので、カトリーナ被害のニューオーリンズの「復興」と同じ。住民が置き去りにされている。
政府は、各自治体に広域処理の協力を要請している。高知県は、政府に質問もし、環境省から担当を招いて市町村参加のもとで学習会をし、それを受けて回答している。
質問の中心は・・・
・がれき処理計画の全体像が不明で、本当に400万トンの広域処理が必要なのか
・クリアランスレベルとのダブルスタンダードが住民の理解を得ることを難しくしている。合理的説明を。
・ガイドラインで示された内容で本当に安全性が担保できるのか
など、本質に迫るもの。それに対する勉強会の環境省役人の説明は通りいっぺんのもので、なんら疑問の解消にならなかった。
県の回答は、処理能力などのことも含め、市町村の側で“受け入れるという最終判断に至っていない”と行政用語で回答しているが、実質上、受け入れは無理というものである。
広域処理見直しのためにも、宮城での大手ゼネコン任せのやり方を止めさせる声、その実態のレポートが必要と思う。
【宮城県 ゼネコン“丸投げ”がれき処理進まず 広すぎる地域・地元業者を軽視4/23】◆「現場を知らない」と地元
東日本大震災で発生した膨大ながれき(災害廃棄物)の処理は、復興にむけた重要課題です。環境省によると岩手、宮城、福島3県の災害がれきは約2250万トン。最も多い宮城県は1573万トンにのぼります。同県の処理進捗(しんちょく)率は約8%。「効率よく進めるため」とがれき処理業務をゼネコンに“丸投げ”したことが、逆に大きな妨げとなっています。(森近茂樹)
津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市のがれき量は616万トンと、県内最多です。市内に何カ所もある一時仮置き場には、がれきが小山のように積み上げられています。
◆洗濯物を干せない
同市渡波の仮置き場には塀が設けられていますが、がれきの山の方が高く、風が吹くと砂ぼこりが周辺に舞い上がります。仮置き場近くの、津波で被害を受けた自宅2階で暮らしている高野庄治さん(66)は、「砂ぼこりがひどいので洗濯物は外には干せない。庭いじりが楽しみなのだが、外に出るとのどが痛くなる」と訴えます。
宮城県は県内被災自治体を5ブロックに分け、政令市の仙台市以外の4ブロックを県主導で処理にあたるとしています。しかし実態は、ブロックごとに大手ゼネコン中心の共同企業体(JV)に業務委託して一括発注するという、事実上の“丸投げ”です。談合情報が県に寄せられるなど、契約の不透明性も指摘されています。
ゼネコンがすすめる処理方法には、地元から疑問の声が―。
契約額1924億円と最大規模の石巻ブロックは鹿島を中心とするJVが受注。しかし、その中には焼却施設のプラントメーカーや専門の廃棄物処理業者が入っていません。
「ゼネコンは、廃棄物処理のことがよくわかっていない」。県内大手の廃棄物処理業者は、こう指摘します。「何社ものゼネコンが、処理技術について相談に来た。広い地域から集めて大型焼却場で燃やすというが、まだ焼却施設もできていない。廃棄物処理を迅速にやるこつは、小まめに集めて小まめに燃やすことなのに」
◆分離分割発注求め
日本共産党の宮城県議団は、処理地域の規模を細かくした分離分割発注で、地元業者をできるだけ使うように要求してきました。
横田有史県議団長はこう強調します。「ゼネコン丸投げで処理地域の規模を大きくしたことが遅れの要因になっている。小規模の方が、がれきの輸送時間も短縮できて効率的。さらに地域に詳しい地元業者が加わると業務ははかどる。同時にがれき処理が地域経済の活性化にもつながり、復旧・復興にとって一石二鳥です」県は業務委託を理由にゼネコンにおまかせ状態です。昨年末時点で、地元業者の参入状況も正確には把握していませんでした。
石巻市の建設業協会幹部を務める地元建設業者はこう要望します。「鹿島から建設業協会に相談はきていない。もっと行政が主導して地元に仕事が回るようにしてほしい」
昨年8月に成立したがれき処理法は、「喫緊の課題」と処理を位置づけ、国の責任を明記しました。しかし実態は、県がゼネコンに丸投げするという責任放棄の構図です。前出の地元廃棄物処理業者はこう強調します。「今頃になって、環境省の役人が何人も訪ねてきて『処理が進まない原因を教えてほしい』と聞いてきた。驚くほど実情がわかっていない。国も県もゼネコンまかせではなく、現場に出てわれわれとも力を合わせて処理をすすめてほしい」
【石巻と岩沼のガレキ処理の状況を視察して・・・『早く処理する為のゼネコン丸投げ』の偉大な誤りを改めて実感。4/18】今日は朝9時に県庁出発で、環境生活・農林水産委員会の県内視察。
石巻の鹿島を中心とするJVの巨大な瓦礫処理。日量300tの焼却炉5基を建設中で、最初の稼働は5月末で全てが稼働出来るのは9月と言う。一次処理の約40%を一旦県外に搬出するという民民の確認は、10月には破断していたことが鹿島の所長の答えで明らかになりました。ただし相手は北海道・室蘭ではないと言明しています。
岩沼は、間組以外は奥田・上の組等の地元建設とのJV。ダンプの多くは宮城ナンバー。焼却炉3基も昨日には「火入れ式」が終わり、着々分別作業が進んでいるように見えた。
『小さく分けて、小さく処分・焼却する』と言う“廃棄物処分の原則”の違いが如実に再認識された調査であった。
石巻で、昨日出来たというDVDが上映されたが、知事が「広域処理を引き受けてほしい」と言う内容。最早、「輸送費のかからない、近隣を選択する」と言う“傲慢な考え”を記者会見で述べた直後であり、このDVDを放映する事は極めて愚かな行為と言わざるを得ない。
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