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待機児解消のカギは、保育士の待遇改善

 待機児が増えている。「施設があっても保育士がいない」ことが大きい。東京でも沖縄でも・・・。「子どもの発達支援」という責任の重さ(最近は、親の支援も含めて)、業務の厳しさの割に、給与が低いこと。しかも多くは非正規の不安定な仕事。有資格者がいるが応募しない。
新システムで、不安定な現場を増やせば、さらに保育は魅力ある職場でなくなり、待機児が増えかねない。(そもそも新システムの「こども園」には、待機児の中心の3歳までの保育を実施する義務はない)。

【那覇市、保育士不足が深刻 待機児童急増 琉球新報4/10】
【待機児童解消を阻む"保育士不足" NHK生活情報ブログ3/16】

 これは介護士、看護師不足にも共通する。働く人を大事にするルールの不十分さが社会の維持機能をも損ないつつある。

  東洋経済のこんな記事もある。

【これでいいのか待機児童対策 相次ぐ不祥事で判明した企業頼み政策の危うさ  02/01】


【那覇市、保育士不足が深刻 待機児童急増 琉球新報4/10】

 県内待機児童の多くを占め、待機児童数が急増している那覇市は、待機解消に向けて無認可保育園の認可化だけでなく、認可園の定員を増やすために保育士の増員に力を入れているが、ことし3月時点で保育士が確保できず、不足状態が深刻化していることが分かった。
同時点で保育士は19人足りず、保育園1園分に当たる乳幼児77人が入園できなかった。識者は保育士不足の原因について、市内認可園の平均正規雇用率が36・9%にとどまる“低さ”を指摘。「保育士の待遇改善がなければ、待機児童解消につながらない」としている。
 那覇市の待機児童数は昨年4月現在、前年と比べ4・4倍に当たる493人に急増、過去10年で最高になった。最近5年でみると2007年の379人をピークに減少が続き、10年度は112人まで減った。だが11年度は一転して急増、過去10年で初めて400人の大台を超えた。
 これを深刻視した同市は、市内の市立・認可保育園全70園を対象に待機児童の受け入れの余地を初めて調査した。
 一方、正規雇用率について市内60の認可保育園の調査では、11年4月現在で平均36・9%。県が目標とする6割には大きく届いていないのが現状だ。
 市内保育園の一つを運営する園長は幼児らと向き合う保育現場で、正規と非正規職員は同じ仕事をしていながらも、給料や年休取得などで差がつき「不満が鬱積(うっせき)して辞めることも多い」と語った。
 非正規雇用が多い理由として、毎年変動する園児の年齢別人数に合わせて保育士数を調整することや、将来の設備投資を見据え人件費の流出を抑えることなどを挙げた。その上で「正規職員を増やすことに限界もある」と話した。
 県によると、保育士の有資格者は11年4月現在で県内に約1万6千人いる。その中で実際に保育士として働いているのは約7千人だ。
 保育士を養成している沖縄キリスト教短期大学の山城眞紀子教授は、保育士離れが進み定着率が悪いと分析する。「非正規率が高いことに学生からも不安の声がある。保育士の待遇を改善しないと待機児童解消につながらない」と指摘した。
 那覇市こどもみらい課は「県の目標である正規雇用率6割に向け保育園長会などで呼び掛けている。保育士の確保がさらに困難になりそうな中、県とも連携し、できる限り正規雇用率を上げるよう保育園への働き掛けを強めたい」としている。


【待機児童解消を阻む"保育士不足" NHK生活情報3/16】

2月14日と15日のブログでもお伝えしましたが、新たな子育て支援策の法案が今国会に提出されることになっています。(14日のブログ記事はこちら。15日の記事はこちらです)

この法案のねらいは、幼稚園や企業などの力を活用して受け入れ枠を増やし、待機児童の解消を図ることです。
しかし、受け入れを増やそうにも実は大きな課題が立ちはだかっています。

それが「保育士不足」です。今、都市部を中心に保育士不足は深刻化しています。
その現状を保育園と大学で取材しました。

東京・世田谷区の保育園です。「入れる保育園が見つからない」と、せっぱ詰まったような親からの電話が次々とかかってきます。20人足らずの枠に80人近くが申し込んでいます。

園長は「皆さん保育園が決まらないと働くことができないとおっしゃるので、どうぞと言いたいのですが、そうもいきません」と話していました。

実はこの保育園、面積には余裕があります。
0歳と1歳が過ごす2階のフロアは36人まで受け入れられる広さです。
ところが、実際に受け入れられるのは27人。残りの9人は受け入れられないのです。

その原因は「保育士不足」です。去年秋から求人を出し続けていますが、確保できません。
園長は「保育士の勉強をしている方がいらっしゃるのに、なぜ保育士がこんなにいないのでしょうか。私たちの力ではどうにもならないところがあります」と話していました。

千葉市の淑徳大学です。
保育士の養成に力を入れていますが、保育士を選ばない学生が目立つようになっています。
総合福祉学部のあるゼミでは、保育士の資格を取得した4年生は5人。
しかし、自動車販売や職場体験施設、バイクの営業など、いずれも一般企業に就職し、保育士になる学生は1人もいません。

保育士の平均給与は34歳で22万円。早朝や夜間、週末の勤務もある割には待遇が厳しいとして、敬遠する学生も増えているのです。
女子学生の1人は「勉強したからこそ、子ども一人一人の発達に合わせた保育をする難しさを感じました。仕事にするのが大変な割には、給料とか体制が見合わないと思います」と話していました。

学生たちの選択に大学側も悩みを深めています。
保育士の養成を担当する仲本美央准教授は、3年生を対象に開かれた合同企業説明会に参加して、学生に保育園への就職を促しています。しかし、保育士になるかどうか、迷う学生は年々増えていると言います。

保育士であれば引く手あまたにも関わらず、就職が厳しい一般企業に関心が向いているのです。
仲本准教授は、保育士の専門性に見合った待遇に改善しなければ、この状況は変わらないと感じています。
「実習を経て、保育士になってほしいと望まれる学生でも、一般企業に行ってしまうのは残念に感じます。待遇面で社会的にきちんと保障されていない現状では、学生の選択としては仕方ない」と話していました。

人手不足の保育園、その一方で、保育士にならない学生たち。
こうした状況では、新しい制度で「こども園」を増やしても、特に都市部では待機児童の解消につながらないおそれがあります。
東京では保育士不足は年々深刻さを増し、求人20人対して応募は1人しかいません。子育て支援は、社会保障改革の中でも、政府が特に力を入れると言ってきた政策です。保育士の待遇改善も含めて待機児童対策をどう進めるのか、政府の姿勢が今後さらに問われることになります。

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Comments

保育士不足は私の住む市でも新年度からあります。
新年度の職員割合は正規4、非正規6
正規には直接保育に関わらない園長と栄養士が含まれています。
年度途中の入園によって臨時職員が増えていきます。

正規職員とほぼ同じ労働に対しての、
賃金処遇が改善され格差の是正が行われない限り、
今後更に職員不足は進んでいくでしょう。

私の臨時嘱託保育士の労働組合では、
これまで何度も処遇・格差の改善を要求してきました。
当局の回答はいつも同じ、
「市の財政状況と社会情勢からできない」らしい。

「いい保育」
そのための処遇の改善効果は大きいと思う。

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