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再稼動基準は「暫定的、限定的」「十分なのか」 事故調委員長

 福島事故の国会事故調の保安院に対する質疑で判明したことの委員長コメント。再稼動の安全基準は「暫定的な原因分析がもと」「福島事故と同ケースが前提。あらゆるケースを想定してない」「必要な対策を先送り。避難計画などは判断基準の範囲外」など「原発の安全を確保するに十分なものなのか」と疑問を呈している。

 「対策」「ストレステスト」について、大阪エネルギー戦略会議に、佐藤暁(元GEの原発トップエンジニア)資料を提出している。 会議の議論でも電力会社が「安全神話」に未だにとらわれている姿がわかる。。
 安全に万全をくつすのは当然、それでも、もし事故が起きたらどうするかを想定する・・・ これが福島の教訓ではないか。「再稼動」の判断には、その思想が欠けている。

【東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 第9回委員会 黒川清委員長 コメント4/18】
【再起動問題 安全性についての公正な議論を始めるための条件 佐藤暁4/24】
【第7回大阪府市エネルギー戦略会議 関電との意見交換4/23 映像】

【東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 第9回委員会 黒川清委員長 コメント4/18】

 本日の第9回委員会では、原子力安全に関する規制機関である原子力安全・保安院の現職のトップである深野弘行氏に対する参考人質疑を行った。さる3月28日に原子力・安全保安院が出した「技術的知見」やそれを根拠にする今般の政府による、いわゆる「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」(以下判断基準)について質疑を行った。

 本日の参考人聴取では、いくつかの重要なことが判明した。

1. 政府の策定した判断基準の基礎となっている「技術的知見」に示された対策は、暫定的な原因分析に基づいている。

2. 判断基準で想定する事故は、東京電力福島第一原子力発電所事故と同じ事故シーケンスのもの、との前提がついている。

3. 安全に稼働するために必要な以下のような対策も先送りされ、判断基準の想定を超える災害が来た場合の対策が出来ていない。

①東京電力福島第一原子力発電所事故の対応で重要な役割を果たしたとされる免震重要棟の設置は「中長期的課題」とされている。

②欧州の多くの国で採用されているフィルタ効果のあるベント設備の設置も「中長期的課題」とされている。

③住民の安全確保にとって非常に重要な住民避難計画等の防災は、判断基準の基礎となっている「技術的知見」において、検討の範囲外と位置付けられている。


これらの議論を聞き、当委員会への意味合いとして、特に以下の点について更なる検討が必要であると認識した。

1. 規制当局は、事故原因を特定の事象に限定してそれに応じた対策を立てるだけではなく、地震、津波、火災あるいはテロも含めたあらゆる事象にも耐えられる対策を立てるべきではないか。

2. 住民・国民の健康・安全を最優先に、事故防止、事故拡大防止、住民の安全な避難、を含めた多層の安全対策を策定すべきではないか。

3. 政府の設定した判断基準について、必ずしも上記のような対策をベースにしてはいない以上、原発の安全を確保するに十分なものなのか。

4. 政治からの独立、事業からの独立が必要な規制組織の在り方を考えるにあたって、その独立性を実質的にどう担保すべきか。

 今後の委員会では、引き続き事故の原因を深く分析し、東京電力福島第一原子力発電所事故のようなことが二度と起きないような対応策あるいは規制のあるべき姿などを検討する。立法府ならびに行政府において、国民の疑問に十分にこたえる審議をお願いしたいという姿勢は変わらない。

 われわれ国会事故調は、委員会報告のとりまとめに向け、引き続き鋭意取り組んで参りたい。

≪再起動問題 安全性についての公正な議論を始めるための条件 佐藤暁4/24≫

【概要(1) 30項目の対策について】

• 四大臣連名で発行された「・・・再起動にあたっての安全性に関する判断基準」が技術的根拠とする30項目の対策の原典である原子力安全・保安院による「・・・技術的知見について」は、それ自体は入念な調査結果に基づくもので、有益な情報を含んだもの。但し、
• 過酷事故の防止策に偏重気味で、一旦過酷事故に至ってからの緩和と緊急対応の領域が不十分。
• 国外の権威ある機関からの提言が活かされていない。
• 福島事故から汲み取るべき多くの教訓が言及されておらず、将来に活かされないまま忘却されてしまう懸念がある。
• 国による国民に対する安全の押し付けと事業者に対する再起動のプレッシャーが感じられる。


【概要(2)ストレス・テストについて】

• ストレス・テストは、一次、二次に拘らず、原子力安全のフルスコープ評価ではない。
• IAEA が掲げている安全目標の“グローバル・スタンダード” に対する諸対策実施前後の適合状況が定量的に示されていないため、実施された諸対策が、どれだけ安全性の向上として寄与したのかが分からない。
• 地震に対する従来の設計基準が非保守的であるため超過が頻発。そのように設定された設計基準と比較してのストレス・テストでは、計算結果の尤度に定量的な意味を見出し難い。
• 津波に対する設計基準の確率論的根拠が不明であり、そのような設計基準と比較してのストレス・テストでは、計算結果の尤度に定量的な意味を見出し難い。

◆ストレス・テストの問題点
• それ自体がフルスコープの安全評価ではなく選択的。従前の安全評価・対策に十分取り組んできたプラントには意味があるが、そうでなければ「付け焼刃」。
 – 台風、火災、内部溢水、地震の誘発事象(タービン・ミサイル、電気部品への影響〔リレーのチャタリングなど〕)、デジタル・コンピューターの共通故障事象、テロ(サイバー・テロ含む)など、原子力発電所に対する脅威は多種。
 – 複雑な相互作用、不可知な現象もある。

• 不統一な評価方法もある。
 – 地震に対する尤度の評価が、Gal で統一されていない。
 – Gal、MPa、Von Mises 応力?(蓄電池)、「すべり安全率」(崖)
 – 経年劣化の考慮が不明。

• 地震、津波の設計基準が曖昧。「確率論的ハザード解析」が世界的に導入されている標準手法。(スロベニアのレポートにも言及。)

【概要(3)設計基準】

 設計基準は、国際的に認められた最新の確率論的ハザード評価に基づいて設定されるべきで、これをストレス・テストの二次評価の出発点とすべき。定量性のない設計基準では、二次評価の実施が不可能。
• 本来は、予め対象項目を選択したストレス・テストではなく、リスク全般の評価を網羅するIPE/IPEEE のアプローチが望ましかった。
• 現行の取組み方では、安全対策への投資と安全性の向上との関係が不明。単に世論に対する迎合性を優先してしまっている可能性がある。真の安全性の向上に重点を置くべき。

【概要(4)再起動の議論を始めるための条件(17項目)】
• 事業者に対する条件(9項目)
• 国に対する条件(9項目)
• 必ずしも全てが解決している必要はない。但し、解決のための明確な方針と期限に関するコミットメントが必要で、当面の弱点を補完するための有効な代替措置が必要。
• 深刻な国の不作為によって犠牲を強いられるのは、周辺住民だけでなく、電力会社も同じ。是正のために一緒に立ち上がろう。欠陥行政の片棒を担ぐべきではない。
• 今が是正のためのラスト・チャンス。

【結論(1)】
• 原子力の「安全性に関する判断基準」が政府からの下達として示され、その直後に適合性が宣言されるのは、歴史的にも国際的に極めて異例。
• 安全性受入れの押し付けは、原子力の安全文化の基本に逆行。もし、電力事業者の経営者が従業員に対して同じ態度で臨んだならば、重大な問題に発展。
• 国による原子力発電所の再起動に対する「ゴー・サイン」は、電力事業者に対する「助け舟」の積りなのか、プレッシャーなのか。世論の過半がネガティブ。
• 「ストレス・テスト」の評価報告書は有益な参考情報となり、その一環として実施された対策には一定の効果が望める。但し、原子力安全のフル・スコープに対してではなく、飽く迄選択項目に対する「付け焼刃」として認識されるべき。リスクのポテンシャルはまだまだある。
• 現行の決定論的に設定された設計基準のままでは、国際的レベルでのリスク評価も(グローバル・スタンダードに対する適合性)判定も不可能。
• 国自体の所掌範囲についてはほとんど手付かず。原子力安全のフル・スコープ対応が進展しない主因。対応の必要性の認識も取組む意思表示もない。
• 全ての懸案の解決を再起動の条件とする必要はないかも知れない。但し、少なくとも懸案を解決するコミットメントは要望すべき。

【結論(2)】
(少々エモーショナル?)
• 大飯3、4号機の再起動は、国の不作為のままでの「匍匐前進」を許すきっかけとなる恐れがある。
• 片輪がパンクした状態で走り出してはならない。
• 関西電力は、無責任な国に利用されてはならない。不名誉な「村」からは脱却すべき。
• 電力事業者は、原子力安全文化の精神に対する露骨で強引な国の圧力に対し、国民、メディアと一体になって反旗を翻し、国の不作為の是正を強く促すべき。
• 不作為の是正に対する明確なコミットメントを国から得るまで再起動の検討を無期限で保留にする旨を明言すべき。
• 世界が注目。英断への期待。
• 現場で働く第一線の原子力技術者の思い(不満)にも傾聴すべき。今は従順であっても、将来の求心力が低下してしまう。優秀な技術者にとって魅力ある産業とするための決断が必要。
• 我が国の原子力行政更生のためのラスト・チャンス

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