国保の最高限度額~議会論戦と「国・地方の協議」
国保の最高限度額。政府は続けきた限度額の引き上げ見送ったが、「中間所得層の負担の軽減」という説明が破綻、「所得の低い層への負担増」を認めた形となっている。
この点について、1月の「国と地方の協議」の場で、国保中央会会長である高知市長が「500万円を切った段階で最高限度額に行き着いてしまう」と議会で市議団が追求した同じような論点で国に発言している。最高限度額は77万円にもなる。
【2012年1月24日 第2回 国民健康保険の基盤の強化に関する国と地方の協議】
◆第二回協議の場での岡崎市長・発言
「非常に住民の所得が下がっていますので保険料も上げにくいという現状になっております。例えば最高限度額に行き着く所得の範囲は、これまで厚労省の方々とも協議をしておりましたが、何となくかみ合ってこなかった。具体的にワーキングチームの方で資料も出させていただきましたが、例えば厚労省の単純計算では、国保の保険料の最高限度額が行き着くのが820万円程度という算定をされていたと思います。我々は、中核市41市ありますが、全部データをとりまして一回弾き出してみました。中核市41市の平均で、上限額が行き着くのが一人世帯の場合で給与所得で617万円程度、二人世帯で559万円程度です。高知の場合は更に所得が低く、例えば一人世帯で523万円で上限額に行き着いてしまいます。二人世帯であれば498万円。500万円を切った段階で最高限度額に行き着いてしまう。」
◆第一回会議での発言より
「市町村国保の実質的な保険料負担率9.1%という説明がありました。これはあくまでも全国平均なので、高知市は人口35万ですが、高知市の国保の保険料の負担率を計算すると13.4%です。我々は全国の中核市と比較していますが、中核市は41都市あり、その中での水準と比べれば非常に高く上から十番目になっており、いかに実際の保険料が高くなっているかという現場の声がありますので、全国平均だけで見ないようにしてほしいことをお願い申し上げます。
また財政の基盤強化につきましては、他の委員会などの場でも申し上げていますが、人口減少の中で医療費が伸びていますので、国保は都市部・町村部ともに、限界に来ているところです。今年の春の各市町村の議会でも相当の保険料引き上げをせざるを得ない状況で、保険料の引き上げの議決を行っているところが多いです。国保の保険料上限の引き上げも法改正に伴いありますが、実質所得は下げていますので、これも厚労省の方にはお願いしていますが、全国平均で見ても地方都市の所得は低いので、所得の高くないところで上限の保険料に行き着いてしまうということがあります。厚労省の考え方におきましては上限を引き上げて高額所得の方には一定の負担をしていただくというのはよくでてきますが、地方都市ではあまり所得が高くない人が上限に行き着いてしまうので、そこらのご理解を賜りたいと思います。」
高知市の国保料は、低所得なうえに高い、と市長。・・・ぜひ高知市も一般財源を繰り入れて、「住民の負担は限界だ」ということを身をもって示してほしい。
【2011年3月市議会の論戦】◆(下本文雄君) 限度額を引き上げる場合,国はこれまでその理由について,中間所得層への配慮としてきました。つまり,保険料の軽減措置の対象にならず,保険料の限度額に達しない所得階層への配慮という意味です。
高知市もこれまで中間所得層の負担の軽減のためと説明してきた経過がありますが,今回の引き上げについても同様の考えのものか,部長に伺います。●健康福祉部長 厚生労働省の限度額引き上げの考え方は,中間所得者層の軽減を想定しております。限度額の引き上げは,所得割のかかる世帯の保険料引き上げを抑制する効果があり,本市においても中間所得者層の軽減につながるものと考えております。
◆(下本文雄君) 保険料率が高くなれば,必然的に限度額に達する世帯の所得水準は低くなります。国保中央会の資料では,平成20年度の全国の国保世帯の所得に占める保険料率の割合は10.5%です。逆算すれば,20年度の上限額68万円で,その所得金額は約647万円となりますけれども,高知市の場合は保険料率が12%です。2人世帯で約448万円の世帯で,既に上限額に達することとなっております。448万円といえば,他の自治体より200万円低い額です。高い所得とは言えず,他の自治体では限度額に達しない所得階層ですけども,高知市においては他の自治体より200万円低くても最高限度額に達する世帯となってしまいます。
高知市の場合は,国保世帯の所得は全体がもともと低いために,実際は所得の低い層への限度額が重い負担増となっております。高知市の実態では,これ以上の負担をかけてはいけない所得階層にまで最高限度額が及んでいるのではありませんか,健康福祉部長にお聞きします。●健康福祉部長 本市の場合,全国平均と比べ1人当たりの医療費が高く,一方,被保険者の所得が低い構造となっており,国保財政を安定的に維持するため,所得割保険料率が高くなっています。このため,他都市と比べ低い所得階層で最高限度額に達する結果となっておりますが,本市の国保制度を維持するためには,国基準までは御負担をお願いせざるを得ない状況と考えております。
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