四国広域連合・考
四国経済産業局(120数名、予算50億円)の一括移管をめざし、4県の知事が広域連合を立ち上げる方向で一致。この点について2月議会で質問したが、知事は、道州制を視野に入れたものではなく、「地域の実状に応じた事務の移管」と答弁している。
四国経産局長は「広域的な災害対策は国でないとできない」国と地方には上手な役割分断がある」と一括移管には否定的発言をしている。市町村から、災害対策など国の出先機関廃止に懸念の声がでている。
【広域連合で四国経産局長/一括移管には否定的 四国新聞社2/18】
【四国広域連合 地方分権をリードしたい 徳島新聞2/6】
全国の市町村長の1/4が賛同する「地方を守る会」は、その決議で
「今回の大震災では、発災直後から地方整備局や地方経済産業局と市町村が一体となって、迅速かつ懸命な救援活動やインフラ・産業の復旧が行われるなど、地域における国の出先の役割が改めて認識された。」「地域住民の安全安心に直接責任を有し、産業・雇用を守るべき基礎自治体の意見を十分に反映した上で議論を行い、拙速に国の出先機関廃止論を進めないよう、また今後とも国の出先機関と十分な連携が担保されるよう要望」している。
福島県市長会の「地方整備局及び地方経済産業局存続に関する決議」(2/6)も、同趣旨で「現在行われている国の出先機関廃止もしくは地方移管の議論は、こうした東日本大震災の教訓を全く鑑みることなく、東北のインフラ・産業の復興を遅らせるのみならず、地震、津波、風水害等の大規模な自然災害の危険性に常にさらされている我が国において、国民の安全安心を守る国の体制を弱体化させることになり、大きな危機感を持たざるを得ない。」と述べている。
ただ「地方を守る会」の論議でも、地方整備局については非常に明確に存続の意義がかたられている(知事の認識もほぼ同様と思う)が、経済産業局については「災害からの復興」で重要な役割を果たしたとの記述をみるが、あまり見えてこないので、県として調査、検討をもとめていくなど今後の議論の中で詰めていく必要がある。
国と地方の関係については、現状の体制がベストとも言えない一方、根拠のない「二重行政」論に組みするものでもない。どの事務をどのレベルの行政体が担うのがふさわしいかは、住民の立場で1つ1つ検証していくことが大事である。移管がよい事務もあるだろう。国の責任を明確にさせ、そのもとで都道府県と国の連携を強める方がよい場合もあるだろう。一括移管でなく部分移管もありうるだう。どの体制にしてもメリット、デメリットがメダルの裏表のように出てくるので、その具体的見極めとなる。
その際、どの場合も、要は専門的知識、技能を蓄積できる人員配置、それを担保する財源に対する国の責任にあると思う。
財界の地域主権改革への期待は、自治体リストラ、規制緩和にあるので論外だが、事務配分にあたっては、単純な反対でも賛成でもない対応が求められるように思う。
なお2012年国家予算メモにも書いていたが、中小企業関係の予算は、復旧・復興関係以外の分は8.5%減、史上最低水準で、しかも「強い企業」中心となっており、そうした政策への地方の反発という側面があるのかもしれない。
【2012年2月議会 知事答弁】
道州制のレールに乗る危惧があるという質問には・・
「県と広域連合が併存することを前提に、地域の特性に応じた広域的な行政体制の設立を目指す方向での一致でございまして、将来的な道州制の導入を視野に入れたものではないということで、4県知事の間での考え方は一致」「地域の実情に応じた事務の委譲につながり、結果として、地域の住民にとりまして、より大きな効果をもたらす」と答弁している。
道州制については「本県のような中山間地域を数多く抱える地方が、条件不利地域といった形で切り捨てられることのないようにするためには、まずは、最低限の競争条件を整えるための道路などといった基礎的なインフラ整備に加えて、道州間及び道州内での財政調整の仕組みが確実に担保されることが、前提条件として不可欠になるものと考えています。加えて道州の歳入のしくみ、歳出のしくみ、それぞれの権限、決定機構などなど多数の問題についての検討を加えていかねばならないものだと考えております。総合的な観点からの、時間をかけた議論が必要な問題だ。」
【広域連合で四国経産局長/一括移管には否定的 四国新聞社2/18】四国知事会が国の出先機関業務の受け皿となる四国広域連合(仮称)を設け、四国経済産業局については2014年度中に一括移管を求める方針で合意したことを受け、同局の加藤元彦局長は17日の定例会見で、「国と地方には上手な役割分担がある」などとして、一括移管には否定的な考えを表明した。
加藤局長は、出先機関改革を受けた広域連合の発足に関し、「行政の広域化は大きな流れで、二重行政が無駄なのは明らか」とする一方、「広域的な災害対応などは国でなければできない」とし、国と地方との役割分担の重要性を強調、一括移管は難しいとの姿勢を見せた。
知事会が14年度中の移管を求めたことに対しては、「まずは(移管のための)ルールが精緻(せいち)にならないといけない」とした上で「ルール作りは簡単でなく、結果的に(移管には)時間がかかる」と述べ、14年度中の移管には懐疑的な見方を示した。
【四国広域連合 地方分権をリードしたい 徳島新聞2/6】国の出先機関の地方移管の受け皿として、四国4県で構成する「四国広域連合(仮称)」が2013年秋までに発足することになった。四国知事会が愛媛県四国中央市での臨時会議で決めた。
政府の地域主権会議が昨年末に国土交通省の地方整備局、経済産業省の経済産業局、環境省の地方環境事務所の3省3機関の事務と権限を、地方の広域連合に移すことを決定。3月に移管事務の範囲や手続きなどの全体像をまとめ、5月に法案を今国会に提出する方針を示したため、体制整備を急いでいた。
各県知事は2月定例県議会で説明し、合意を求める。国が移管時期として示している14年度からの即時受け入れを目指すという。広域連合は地方自治法に基づく団体で、10年12月に発足した関西広域連合に続き全国で2番目となる。本県は関西広域連合にも加わっているが、四国にある出先機関の移管は管轄外のため、四国広域連合に参加して対応することにした。
国の出先機関改革は”国のかたち“を「集権国家」から「分権型国家」に転換する上で不可欠だ。四国4県の人口は約400万人と少ないものの、地理的にまとまっており、一致して行動すれば国にとって無視できないパワーになる可能性がある。四国から全国的な地方分権の流れをリードしてもらいたい。
会議では、広域連合発足後にまず四国経産局を国から一括移管させることで合意した。さらに、中四国地方を管轄とする環境省の中国四国環境事務所と、農林水産省の中国四国農政局を移管させるため、中国地方知事会と連携することで合意した。
農政局は国の移管対象候補に含まれていないが、四国は農林水産品が豊富という特長を生かすために、受け入れ対象に含めたとしている。
地域の実情に合った権限移譲ができるよう、国に働きかけたい。
会議では、4県が従来から連携して進めている野生鳥獣害対策や、東アジアなど海外への輸出振興といった施策を広域連合に移す方針も確認した。事業実施のスピードアップなど、より実効性が高まることを期待したい。
一方、国の移管対象候補の四国整備局については、産業や生活の基盤となる道路や港湾などの社会資本整備で四国が他の地域より遅れていることや、東海・東南海・南海の3連動地震対策などで国の施策がはっきりしないことを理由に受け入れを見送った。
今後、東日本大震災を受けて見直される国の災害対策の中で、しっかりと検討していく必要がある。
広域連合では、防災や観光、医療などの分野での事業展開も視野に入れているようだ。広域のメリットを生かす上で当然だろう。
ただ、関西広域連合に参加している本県は、同連合でも防災や観光など7分野の広域行政に取り組んでおり、施策が重複したり、管理・運営の負担が増す可能性がある。
飯泉嘉門知事は「関西、四国の広域連合が連携すれば、事業メリットはさらに広がる」と話し、関西からの脱退は考えていないとした。財政措置などについて、議会でしっかりと論議する必要がある。
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