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消える年金? 「一体改革」

「一体改革」で、年金はどうなるか。垣内氏の論稿(議会と自治体2012.3)を軸にしたメモ。
「消えた年金」を問題にしてきた民主党だが、給付減、支給開始先延ばしなど「消える年金」にしてしまおうとしている。
 「物価スライド」「連続して減る年金」「公務員給与引き下げとリンク」「支給開始先延ばしなど検討」「中山間地・地域経済との関係」と整理したもの。

◇物価スライド  消費者物価の変動の反映

・昨年1年間 ▲0.3% → 4月分(6月支給)から0.3%減
・過去の据え置きの「差額」2.5%を、2013年から3年間で減額
→ 1年目分として10月分(12月支給)から0.9%減 
・年金給付総額 年50兆円なので、6千億円の給付減

 ~ 問題点 ~
①5万円にも足りない基礎年金(平均)をさらに減額

②障害年金、児童扶養手当、原爆被爆者の手当も連動して引き下げに

③物価下落分の「差額」は1.7%。(98-2010 物価下落3.6%、年金給付減1.9%)
→残り0.8%。07,09年に物価は上昇したが、「賃金が上がってない」と「本来水準」を抑制した分。これを引き下げれば、「物価下落」以上の削減となる。

④消費者物価下落の主力は、液晶テレビ、ビデオ、パソコンなど。
 食料品などは下がってない。水光熱費・医療費などは上がっている。年金生活者の日常の必需品では、負担はへっていない。

⑤税金、社会保険料は、「消費者物価」の対象外
 負担の大きいのが税金、社会保険料だが、その負担増は、「消費者物価」調査の対象外。
 99年以降、介護保険料(00年)、高齢者への増税(05.06年)。4月以降、後期高齢者医療、介護保険の保険料アップがある。

◇連続して減る年金

 2012年 6月  昨年物価下落分0.3%の減
 2012年10月 後期高齢者・介護保険料アップ
 2012年12月 「差額」分0.9%減
 2013年2月  復興増税(所得税)
 2013年6月  「差額」分0.8%減
 2014年6月  「差額」分0.8%減、復興増税(住民税均等割分)

◇公務員給与削減 数年後に年金給付減に

・年金額は ①前年の消費者物価変動率、②過去(5年前から2年前までの3年間)の賃金変動率(被用者年金加入者の平均標準報酬月額の変動率)の組み合わせで決まる
  「①<0%」のとき①、「0%<②<①」のとき②、「②<0%<①」のとき0% 
・公務員600万人(国・地方/非正規除く)の給与が7.8%下がると(民間給与への波及分をのぞいても)、被用者年金加入者3900万人の給与が1.2%さがる。物価変動との関係もあるが2-3年後に影響がでる。

◇今後「検討」となっている「課題」

・「マクロ経済スライド」 毎年0.9%減。10年続けると1割削減に。現役世代収入の約6割あった水準(所得代替率)を4割程度まで切り下げる。
・支給開始年齢の引き伸ばし  68~70歳にする。

◇「年金」は、中山間地、過疎地の経済を支える

自 治体研究所の岡田知弘理事長(京都大学教授)は、以下のように指摘する。

“・地域には、年金を支出し経済を支える社会層が存在/ 地域経済を支えている地域も少なくない
・長野栄村/2000年 人口2500人、高齢化率40%。年金経済は推計10億円、村役場の財政規模の1/3、村の小売販売額に相当/ この年金が福祉医療事業所、小売店、大工、タクシー運転手の仕事と所得の源泉に。
・年金と負担と給付をめぐり、高齢者と若者をマスコミは対立的に描く/ が、地域における経済循環と再生産の視点でとらえると、年金給付によって若者の雇用と所得が確保される側面も見える。”と
 
  こうした中山間地の集落の存在が、森林、国土、水を支えている。

【地域再生に何が必要か 岡田知弘  備忘録 2010/9】

 そもそも「年金」は、生きていくために労働力の「急迫販売」「安売り」が強制される事態を防止し、質の良い労働市場をつくる、「労働市場の組織化」として、現役労働者の労働と生活を守るという流れの中に位置づけられるもので、高齢者と若者・現役世代が対立する性格ではない。


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