防衛局の宜野湾市長選介入
防衛省が、宜野湾市長選に介入・・・赤嶺質問が暴露。これまでも国政選挙ではぐるみ選挙はたびたび指摘されてきたが、熱い政治課題をめぐった地方選への介入・・決定的証拠(メールの全文は下記に添付)にもとづく追及である。
勤務時間中に「講和」は実施されていたことを官房長は認めたが、「特定候補に投票を指示してない」と説明。が、特定候補に投票しないよう示唆することも公選法違反である。
【「局長講話」疑惑、新たな火種に=民主内に防衛相責任論も 時事1/31】
【沖縄防衛局長に更迭論…宜野湾市長選で投票要請 読売2/1】
【防衛局選挙介入 公僕にあるまじき行為 琉球新報・社説2/1】
そもそも「海兵隊は抑止力」と言う話は、米国内でも否定されてきている。
【「普天間は閉鎖を」元米高官が論文 沖縄タイムス1/31】
「公職選挙法・第百三十六条の二」では 、
行為の目的について
「推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的をもつて」と「反対」も明確に規定している。
行為の形態も、
「一 その地位を利用して、公職の候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
二 その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。」
「投票を棄権しないよう」呼びかけたことは認めている。話の中で、“県内移設絶対反対の市政では大変なことになる”“辺野古移設(県内移設)は絶対にやりあげないといけない”という類の話をしたら、立派な「違反」である。
原発やらせメールもそうだが・・・ 「日本共産党ならとりあげてくれる」という信頼が、内部告発に結びついている。主張の内容の賛否は別にして、こうした政党の存在は、民主主義の機能にとって極めて重要である。
【「局長講話」疑惑、新たな火種に=民主内に防衛相責任論も 時事1/31】2月12日投開票の沖縄県宜野湾市長選をめぐり、防衛省の沖縄防衛局が職員の身内に有権者がいるかどうか調べさせた上、真部朗局長が職員を集めて「講話」をしていた疑惑が31日明らかになった。公権力による選挙への不当介入につながりかねず、民主党内には、田中直紀防衛相らの責任問題に発展する可能性を指摘する声もある。野田政権は田中氏の「資質」問題に加えて、新たな火種を抱えた格好だ。
「重大な内部告発があった」。共産党の赤嶺政賢氏は31日の衆院予算委員会で疑惑についてこう切り出し、「職権で有権者リストを作ることは国家機関の選挙の中立公正義務に反する」と指摘した。さらに、赤嶺氏は「証拠」として、防衛局総務課が各部の庶務担当者宛てに送ったとされる2通のメールを同委理事会に提出した。
メールには(1)職員や親族の居住調査への指示(2)1月23、24両日に局長講話を行う-との内容が記されている。自民党予算委筆頭理事の石破茂前政調会長は記者団に「局長講話の記録はあるはずだ」と公表を求めていく考えを示した。
これに対し、政府は防戦に追われ、野田佳彦首相や田中氏は予算委で「まずは事実関係を確認したい」と答弁するにとどめた。防衛省内では「局長が講話で特定候補への投票を指示していれば、更迭は避けられない」との見方も広がり始めた。
田中氏に関しては、就任直後から不適切な発言が続き、同氏の安全保障政策などへの認識不足を懸念する声が政府・民主党内にはもともと強かった。31日の参院予算委員会でも、自民党の佐藤正久氏から米海兵隊の沖縄駐留の理由をただされ、田中氏が的確に説明できず、審議が一時ストップする場面があった。
「赤嶺氏の指摘が事実なら、田中氏の責任も免れない」。民主党幹部の一人はこう言って、事態を深刻に受け止めたが、場合によっては政権全体を揺るがしかねない状況だ。
【沖縄防衛局長に更迭論…宜野湾市長選で投票要請 読売2/1】米軍普天間飛行場を抱える沖縄県の宜野湾市長選(2月12日投開票)をめぐり、防衛省沖縄防衛局の真部朗局長(54)が、同市に住む同局職員と親族に関するリストを作り、市長選への投票を呼びかけていたことが31日、明らかになった。
同省は公職選挙法などには違反していないとしているが、普天間移設問題に新たな打撃となるのは必至で、真部氏に対し、更迭を含む厳しい処分は避けられない情勢となった。野田政権の国会運営にも影響を与えそうだ。
防衛省によると、宜野湾市長選をめぐり、沖縄防衛局の総務部職員は1月4日付の電子メールで各部庶務担当者に、同市に住む職員とその親族を報告するように要請。18日付のメールで、23、24両日に真部氏の講話を聴講するよう求めた。真部氏は両日、局内で計約20人の職員に対し、5分程度の講話を行い、「宜野湾市長選では投票を棄権しないように」などと話した。また、普天間移設問題をめぐる各候補者の主張にも言及したという。講話の議事録や録音は残っていない。
同省は、真部氏が特定の候補者への投票を指示しておらず、国家公務員の地位を利用した選挙運動を禁じる公職選挙法などには違反していないとしている。
しかし、野党からは、普天間移設にからむ政府の選挙介入だったのではとの批判が出ている。県内では、名護市など一部の自治体が議会で真部氏の辞任を求める決議を行う動きをみせるなど、反発が広がっている。
【防衛局選挙介入 公僕にあるまじき行為 琉球新報・社説2/1】2月12日投開票の宜野湾市長選挙へ向け、沖縄防衛局が同市に在住する職員や選挙権を有する親族を持つ職員の名簿を作成の上、該当する職員に真部朗局長の講話を聞くよう指示していたことが明らかになった。
衆院予算委員会で共産党の赤嶺政賢氏が防衛局の人事係が局内各部の庶務担当に送ったメールの内容を「内部告発」として暴露した。告発通りなら公務員の政治的中立性への疑念を招き、防衛局の組織ぐるみの選挙妨害とされかねない大問題だ。国家公務員法違反や公職選挙法違反に問われる可能性がある。田中直紀防衛相は直ちに真相を究明し県民に説明すべきだ。
国家公務員法102条1項【政治的行為の制限】では「職員は、政治又は政治的目的のために(中略)選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」と明記。これを受けて人事院規則は「政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること」など17項目を「政治的行為」として規定し、職員に禁じている。
赤嶺氏は「内部告発」を職権を使った「指示、命令」と位置付け、「講話は勤務時間中に庁舎4階の講堂で行われている。国家権力による選挙の自由への不当な介入ではないか」と防衛相を追及した。告発内容は日時、場所、指示内容など具体的で、信ぴょう性が高い。
防衛局が市長選挙で一方の当事者に肩入れし、普天間飛行場の名護市辺野古移設を強行する環境整備を画策したのなら、公僕にあるまじき行為であり、民主主義を否定する暴挙というほかない。
防衛省はどう釈明するのか。組織ぐるみの選挙介入となれば、現地責任者の真部局長はもとより、防衛相も監督責任を免れない。
防衛省への県民の信頼は失墜している。昨年末から田中聡前沖縄防衛局長の暴言、1995年の米兵少女乱暴事件をよく知らないと述べた一川保夫前防衛相、普天間第二小学校の騒音被害を軽視するかのような田中防衛相と、不適切発言が後を絶たない。
大多数の県民が普天間の県外・国外移設、撤去を訴えても取り合わない政府の姿勢は罪深い。沖縄は無視しても構わないのか。米国では在沖海兵隊の撤退論が広がるなど変化が起きているのに日米両政府の思考停止ぶりは嘆かわしい。
【「普天間は閉鎖を」元米高官が論文 沖縄タイムス1/31】米政府幹部向けに発行されている専門紙「フェデラル・タイムズ」の電子版は29日付で、元国防副次官のレイモンド・デュボア戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問らの論文を掲載した。この中でデュボア氏らは「普天間の閉鎖と沖縄における海兵隊全体の見直し、数十億ドルに上るグアム移転計画の縮小」などを訴えている。
論文では、日本の思いやり予算などのため海外の米軍基地は相対的に安上がりとの主張に対して「兵士や家族への住居、交通の提供、子どもたちへの教育、基地内の安全確保や外国への〝賃料〟の支払い」などのコストが存在すると反論。
その上で、これらを外国に支払うより、国内で支出した方が米経済によい影響を与えると強調。さらに、コスト面以上に同盟国との関係を悪くする例として「おそらく最も悪影響が大きく、しばしば反米主義を生んでいる」普天間飛行場を例に挙げ、米国内基地の整理縮小(BRAC)と同様、同飛行場を含む海外基地の閉鎖とグアム計画の縮小や西欧での一段の基地縮小が必要とした。
論文はまた、大統領選・議会選を控え超党派の活動がほとんど消えた米政界で、海外基地の整理縮小に取り組む超党派議員の取り組みを、米軍の海外展開を見直して無駄な在外基地を閉鎖し、かつ同盟国との関係を改善する千載一遇の好機とすべきだとしている。
普天間移設問題をめぐっては、昨年11月にジョセフ・ナイ元米国務次官補が、米海兵隊の豪州配備は同盟国・日本との関係をこれ以上悪くしないためにも賢明な政策だと指摘。今月は保守系シンクタンクの研究員が、辺野古移設は日米と沖縄いずれにも利益をもたらさないとする論文を経済誌「フォーブス」電子版に発表した。米大統領選・議会選を前に、歳出削減と日本との良好な同盟関係維持の観点から、同飛行場の県内移設を見直すべきとの主張が最近相次いでいる。
◆共産党が公表した沖縄防衛局の指示メール全文は次の通り(中国新聞より)。
いずれも発信は「総務部総務課人事係」、送信先は「各部等庶務担当者殿」。
▽1月4日付「調査依頼について」
お疲れ様です。
次の調査に協力をお願いします。
現在、人事係においては、宜野湾市に在住する職員については、把握しているところでありますが、職員の親族等が宜野湾市に在住しているか否かについては把握していないことから、下記の件について調査を依頼したいと思います。
○当局職員の宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)がいる者の状況について
各部等庶務担当者は、別添のファイルに、(1)宜野湾市在住の職員及び(2)宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)状況を調査し例のとおり記載して、1月6日までに人事係に提出願います。
▽1月18日付「宜野湾市在住職員及び選挙権を有する親族がいる職員に対する局長講話」
お疲れ様です。
先般、宜野湾市在住職員及び選挙権を有する親族がいる職員の調査を実施したところですが、その対象者に下記の日程で局長からの講話を実施しますので、指定された日に必ず聴講するよう、別添「聴講者リスト」の職員に通知願います。(指定された日が都合がつかない場合は変更可)
【日時】
○1月23日16時~(別添の指定された者)
○1月24日10時~(別添の指定された者)
【聴講対象者】
○別添参照
【講話者】
○局長
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