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「国の出先機関廃止」がもたらすもの 自由法曹団

自由法曹団の意見書は“2012年通常国会に法案提出が予定されている「国の出先機関改革」について、その正体を明らかにした上、とくに国民生活への影響の大きい(1)ハローワークなど厚生労働行政、(2)地方整備局など国土交通行政について、どのような影響が出るかを、明らかにしようとするものである。”
高知県では、震災対策もあり地方整備局には慎重。福祉政策や県の産業政策との連携を理由にハローワークについては積極的である。以下、意見書の総論部分と県議会の答弁
【「国の出先機関廃止」がもたらすもの 自由法曹団2/21】 

【「国の出先機関の原則廃止」は国の責任による福祉経済施策と組織の解体】

(1) 「身近だから」は理由にならない

「大綱」は国の出先機関について、住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねるという「補完性の原則」により、原則として廃止するとしている。しかし、「身近」な行政だから国の機関が不要だという立論は、論理的にもまったく成り立たない。「身近」な施策にこそ、国が十分に責任をもって体制と施策を整える必要がある。

(2) 国の出先機関の役割

そもそも、国として地方に出先機関を設けている部署は多岐におよぶ。そしてそれぞれの国家機関は、社会権その他の基本的人権保障のために、それぞれの地域で重要な役割を果たしている。たとえば国立病院は「医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする」(独立行政法人国立病院機構法3条)とされている。労働行政として、労働基準法の定める労働者の保護の実施のために、都道府県労働局や労働基準監督署に労働基準監督官が置かれている(労働基準法97条1項)。地方運輸局長は、たとえば道路運送事業について「輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進する」(道路運送法1条)ために、この法令上の国土交通大臣の一定の権限を委任される(同法88条2項)。道路・河川・ダム・砂防・港湾・住宅・下水道などは、地方整備局が維持・管理している。

(3) 国の出先機関の役割は地方に委ねられない

こうした国の出先機関は、たとえば、労働行政が地方の財政力によって左右され、「働くルール」や監督の体制・程度が地方によって異なることになれば、体制が不十分で監督の緩やかな地域では労動者の保護が不十分になってしまうおそれがある。運輸行政が地方に委ねられることになれば、運輸の安全確保に格差が生まれたり、長距離交通について監督が不十分になったりするおそれもある。道路・河川などの維持・管理や防災は、国の共通の方針にしたがって、整備の計画や資材の有効活用がはかられる必要がある。

(4) 国の施策と組織の解体は許されない

結局、「出先機関の原則廃止」は、国の責任で行われてきた福祉国家的施策とこれを担う組織を解体し、地方自治体の財政力によって福祉施策の体制や水準に差異をもたらすことになるものであり、許されない。

【2011年12月県議会】   ■土木部長  国土保全や防災、災害復旧などは国が責任をもって実施すべきであり、その体制を維持すべきではないか、とのお尋ねがございました。  国土交通省の出先機関であります四国地方整備局は、およそ1,300人の職員と、20の事務所を擁する組織であり、年間およそ1,000億円の事業費をもって、四国8の字ネットワークをはじめとするインフラ整備や、国道、一級河川の維持管理などに携わっております。  また、ヘリコプターや排水ポンプ車、照明車などの災害対策用機械も多数保有しており、災害発生時には、これらの機械を派遣して早期復旧を支援しているほか、広域的な災害に関しては、緊急災害対策派遣隊いわゆるTEC-FORCEを派遣し、災害初期段階における、応急対策を支援する体制も整えております。  一方、本県の社会資本整備は、全国的に見ても大幅に遅れており、四国8の字ネットワークをはじめとする「命の道の整備」等、インフラ整備は極めて重要な課題であります。  加えて、台風等による風水害や土砂災害、南海地震等から県民の生命・財産を守る対策も喫緊の課題でございます。  このようなインフラ整備や災害対策に関しては、大規模で高度な技術を要するものや、県域を超えた広域的なネットワークを形成するものについては国が、それ以外のものは県が整備していくという、一定の役割分担のもと進められているものと認識しております。  今後は、国の地域主権戦略会議等における国の出先機関廃止に関する議論を注視して行くことになりますが、本県のように社会資本整備が不十分なうえ、南海地震等の大規模災害に備えなければならない地域にとっては、国と役割分担をしながら効率よくインフラ整備を進めていくことが一定程度、必要であると考えています。

■商工労働部長
 労働関係の国の出先機関の意義、そして地方移管についてのご質問にお答えします。
 お尋ねのありました労働関係の出先機関、地方における国の労働行政を統括する労働局のもと、労働基準監督署におきましては、労働基準法の順守に向けた企業等の指導監督や職場の安全衛生に関する業務を、また、公共職業安定所では、職業紹介を通じた求人・求職の業務や雇用保険の認定・給付などの業務について、それぞれ、一律の基準に基づき、全国的な組織のネットワークを活用しながら、全国共通のサービスを提供するという重要な役割を果たして頂いております。
 しかしながら、こうした国の出先機関につきましては、社会経済情勢が大きく変化する中で、住民に身近な行政は、出来る限り地方自治体に委ね、地域における行政は、地方自治体が主体的かつ総合的に実施できるよう、地方に業務を移管することを含めて、そのあり方の見直しが必要になってきているところであります。
 全国知事会におきましても、こうした考えのもとに、国に対して、労働局などの出先機関が所管する業務の地方移管を主張してきたところであり、特に公共職業安定所が行っている職業紹介や雇用保険の認定・給付といった業務を最重点分野として、移管に向けた働きかけを行ってきております。
 これらの業務が、雇用創出にむけた産業振興をはじめ、福祉や教育など幅広い分野の業務を担っている都道府県に移管されますと、雇用を生み出す産業施策と雇用対策を一体的に実施することが可能になります。
 また、求職者に対する職業紹介にとどまらず、求職者が必要とする住宅の確保や生活保護の受給、多重債務に関する相談などについても、よりきめ細やかに応えることが可能となります。
 さらに、すでに国から大部分が移管されている職業訓練と都道府県と地域の企業とのつながりを活かして、企業が求める人材を育成し、雇用につなげていくといったことも可能となり、県民の皆様へのサービスや利便性の向上にもつながっていくものと考えております。
 また、地方移管にあたっては、労働基準監督や労働保険の認定・給付など、全国的に統一した運用が求められる業務につきましては、それらの重要な基準は国が法令などで定めたうえで、運用は地方が責任を持って実施していくことで全国共通のサービス水準を担保していくことが可能であると考えています。
 国におきましては、こうした地方からの提案も踏まえて、「出先機関の原則廃止にむけたアクションプラン」を閣議決定し、本年2月からは、地方自治体も参加する「アクションプラン推進委員会ハローワークチーム」を設けて、公共職業安定所の地方移管に向けた具体的な検討を進めているところですので、今後とも、全国知事会とも連携をしながら取り組みを進めて参りたいと考えています。

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